宮城県作業療法士会

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県士会ニュース142号 2017.2.26

2017.02.26
県士会ニュース

目次

① 平成29年の年頭に寄せて … 道又顕
② 宮城県大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会 … 上遠野純子
③ ブロック主体での県学会を終えて … 長嶋卓矢
④ ◆職場紹介◆東北医科薬科大学 若林病院 … 皆川昌子
⑤ ◆つぶやきコーナー◆「人生山あり山あり」 … 高橋美幸
⑥ ◆つぶやきコーナー◆「宮城県での生活を振り返って」 … 二瓶智史

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① 平成29年の年頭に寄せて

 

一般社団法人宮城県作業療法士会 会長 道又 顕

遅ればせながら新年明けましておめでとうございます。旧年中は会員の皆さまには多大なご協力をいただき誠にありがとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

昨年は会長を拝命されてから初めて1年間を通して活動を行いました。会長として士会を代表して県内で行われる会議等に出席したり、日本作業療法士協会の47都道府県委員会に出席したりと忙しい1年でした。また、皆さまもご存知のように宮城県理学療法士会、宮城県言語聴覚士会と宮城県リハビリテーション専門職協会を設立し、宮城県や仙台市だけではなく関係団体へご挨拶させていただくことも出来ました。リハビリテーション三職種が一つになることで、宮城県や市町村の窓口が一本化されるだけでなく関連団体との関わりも増えていくことになっていくと思います。昨年の活動の中では、リハビリテーション専門職に対する期待は医療・介護の現場だけではなく、地域のなかで広がりはじめているように感じております。地域包括ケアシステムの構築に向けて作業療法士は何が出来るのかを、より分かりやすく地域へ伝えていくことも大切なことだと考えております。

本年も引き続き作業療法の啓発、地域包括ケアシステムに資する人材育成、さらに病院・施設で勤務している会員が地域からの派遣依頼に応えやすいシステム作りを目指して頑張っていきたいと考えております。今後とも会員の皆さまの一層のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 

② 宮城県大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会(通称:JRAT MIYAGI)について

緊急時対策委員会担当理事 上遠 野純子

平成23年に私たちは東日本大震災という未曾有な災害に遭い、多くのものを失いました。家を失い、家族を失い、また多くの対象者を失いました。宮城県OT士会は、震災後すぐに県士会会員の安否確認と会員の勤務する職場の被災状況を電話等で確認する作業を続けるとともに、被災した地域での支援活動に関する連携について、宮城県PT士会と協議を行い、協働で行う支援活動運営の流れを決定しました。また、地域保健師とともに一般避難所の巡回支援を行っていた、保健福祉事務所と県リハ支援センターの20余名のPT・OTからの沿岸地域の情報を得て、私たちは被災した沿岸地域で支援活動を継続してきました。支援活動を開始して間もなく、東北大学内部障害リハビリテーション科の上月教授から連絡が入り、関連施設の被災状況や医師の派遣状況、また連携していつでも協働で活動が行える体制を作って頂けることをご教示頂きました。私たちは、その後適宜、上月教授に、支援活動に入った地域の避難所や仮設住宅の活動状況をお伝えし、アドバイス等を頂きながら、活動を継続して行きました。その内容は先の様々な支援活動報告に示す通りです。

私たちは、昨今の国内外での自然災害後の被災者支援活動を経験する中で、平時からリハビリテーション関連団体相互が連携し、各地域にて災害リハビリテーション支援チームを発足する必要性を感じつつ、活動を続けておりました。そして、大規模災害発生時には災害弱者、新たな障害者、あるいは被災高齢者などへ、チームで適切な対応を行うことで人々が災害を乗り越え、自立生活を再建、復興を目指していけるように、安心、安全且つ、良質なリハビリテーション支援を受けられる制度や体制の確立を促進することが重要と考え、一昨年から宮城県リハ医会、宮城県PT士会、OT士会、ST士会、宮城県ケアマネ協会の各担当者が集まって協議し、準備検討を進めて参りました。そこでこの度、平成28年12月1日に「宮城県大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会」(Japanese Rehabilitation Assistance Team MIYAGI)を設立する運びとなりましたことを、会員の皆様にご報告申し上げます。活動の目的は会則にも示す通り、災害リハビリテーション支援チームの育成と組織化、都道府県を単位とする全国規模のネットワークの構築、災害リハビリテーションに関する教育・啓発のための研修および広報が主になります。ホームページも開設し、その活動のあり様はこれからも会員の皆様にお知らせしつつ、関連団体の輪を広げて、多職種でのネットワークを構築することは地域リハビリテーションの充実にも繋がると思っておりますので、研修会等には是非足を運んでみてください。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

JRAT写真

 

③ ブロック主体での県学会を終えて

 

長町病院  長嶋 卓矢

今回、仙台市民会館で行われた「第18回宮城県作業療法学会」の実行委員長を務めました仙台南・名取ブロックの長嶋です。岩沼・仙南ブロックの高梨先生と協力をして、無事終了することが出来ました。協力して頂いた各ブロックの先生方や運営などにご指導頂いた先生方、参加して頂いた皆様に感謝いたします。
生活を支援する作業療法について大貫先生に講演頂き、『対象者がその人らしく生活できるようその人の本当の目標を把握し、コミュニケーション力をもって他職種連携チームで支援する』というコミュニケーション力の必要性を改めて感じました。また、発表して頂いた5名の先生方いずれも考えの幅を広げる、深める上で貴重な症例報告、事例報告であったと思います。
研修会は他施設のOTの先生の発表を聞くことが出来るほか、今作業療法士に求められている事、悩み・共有したいことなどが少しでもはっきりする場だと私は思います。そのため、ぜひ皆様にお願いしたいのが、各ブロックでの活動に対して協力をして頂きたい事です。もちろん業務が忙しい、家庭があり遅くまでは難しい、興味がわかないなどはあると思います。ただ、「この部分だったら手伝える」など少しの事でもよいですので参加してみてほしいです。
今回、学会の運営に携わり、失敗や反省も非常に多々あります。しかし、たくさんの先生方の協力のおかげで終えることが出来ました。何かを作り上げる事は非常に大変なことであるとは思いますが、様々なつながりを作っていき(その身近なものがブロック活動だと思います)、コミュニケーション力を養っていきたいと思います。多くの皆様から意見を頂き宮城県作業療法士協会を盛り上げていきたいと思いますのでご協力を御お願い致します。

 

④ ◆職場紹介◆

東北医科薬科大学 若林病院

 

皆川 昌子

【施設概要】
病床数:199床   療法士数:理学療法士11名、作業療法士8名、言語聴覚士3名
H22.4 作業療法室開設
H28.4 NTT東日本東北病院から東北医科薬科大学若林病院に名称変更

当院の作業療法対象患者の特徴として、呼吸器疾患患者が多いこと、生物学的製剤治療を受けているリウマチ患者に定期介入していることが挙げられます。
呼吸器疾患患者は入院リハ全体の約3割を占め、医師、看護師、薬剤師、栄養士、療法士など多職種で構成された呼吸サポートチーム(RST)を中心として包括的リハビリテーションが行われています。RSTの取り組みとして、日々の関わりを見直し、より良いリハビリテーションを提供するため学会発表や院内研修会開催などチームとしての研鑽が積極的に行われています。また臨床場面において作業療法士は主にADL指導の役割を担っており、より息苦しさの少ない安全かつ自立した生活を送っていただけるよう支援しています。
リウマチ患者の生物学的製剤治療は4~8週間隔で実施されています。対象の患者は、治療日に一泊程度入院し、それ以外はご自宅で自立した生活を送られている方が殆どです。こういった方に対し自立した生活が続けられるよう、身体機能の評価、自主トレの指導、日常生活における困難へのアドバイス等を行っています。
どの疾患にも共通することですが、関わりの中で病気に対する不安や戸惑い、孤立感などの声が多く聞かれ、障害受容やメンタルケア、QOL面への関わりも作業療法士として重要な役割であると感じます。RSTでは年4回フライングディスク講習会を開催し、患者間の交流の場を作っています。このような活動をRST以外でも広げていきたいと考えています。同じ疾患を持ち似た境遇を共にする仲間との交流の場を設け不安や孤立感を軽減できるような役割を果たしていければと思います。
以上が当院における作業療法士の役割の一つではありますが、今後も地域に根ざした病院の一員として存在感のある作業療法部門を目指していきます。

 

⑤ ◆つぶやきコーナー◆

「人生山あり山あり」

 

宮城病院 高橋 美幸

今年度は何と忙しかった事でしょう。
春に現職に異動になり、前年度から準備していた学術団体の東北ブロック研修会の実行委員長としての企画運営、他に勤務している機構団体の北海道東北グループの作業療法の研修会・リハ学同窓会の企画運営等を6つ抱えていました。息切れしながら何とかやってきました。
最近、ある懇親会のご挨拶で、順天堂医院の理学療法士の保苅先生が「人生色々です。山あり谷ありと言いますが、谷はありません。山の次に山が来ます。山が無くなった時は生きる事を止める時です」と言われました。妙に納得しました。
毎日、忙しいことが何かと続いています。先日は一つ、山を登りました。ホット息をつくとまた山が来ます。保刈先生の言葉を思えば気が楽になります。
これまで色々な方々にお世話になってきました。これらの沢山の仕事も一緒に手伝ってもらえる仲間がいての事です。本当に感謝の気持ちで一杯です。人とのつながりの大切さをこの年になり更に感じます。
先日のリハ学の同窓会の話題は、「これまで仕事をしてきて、50歳を過ぎてこれからの人生をどう考えてどう生きるか、これから何をするか」でした。そういう事を考える年になりました。
今年70歳になられる恩師は、とてもパワフルで今も研修会で学び、そして世界各地で遊ばれる姿はとても感銘を受けます。私も定年まで働きたいですし、定年後も働きたいと思います。
五十肩に腱鞘炎になり、周りのセラピストに治療してもらい、自分でもリハビリをして何とか治りましたが、筋・関節の柔軟性を上げることは予防の意味でも大事だと思いました。今はメンテナンスのためにホットヨガ、ホットピラティス、日々のバランス運動をしています。年々落ちる体力、あと△年今の心身状態を維持できるでしょうか。維持することの大切さを感じ、高齢の患者さんの機能維持は生活の質に関係するとしみじみと思います。
恩師のようにいくつになっても学び続ける事が自分たちの専門職としの知識・技術、地位の向上になり、何よりも患者さんを良くすることにつながります。
資格を得た時がスタートです。ゴールはありません。生涯続きます。特に若い時程、時間、体力、気力、記憶力、自由になるお金が有ります。是非、生かして頂ければと老婆心から思うこの頃です。「山あり山あり、それが生き続ける」事です。

 

⑥ ◆つぶやきコーナー◆

「宮城県での生活を振り返って」

 

川崎こころ病院 二瓶 智史

地元を離れ12年の歳月が流れ、宮城県での生活ももうすぐ8年が終えようとしています。
大学を卒業してすぐに現在の職場に就職し、精神科療養病棟で約1年半、回復期病棟で約6年半勤めさせていただきました。また、県士会に所属し、約8年間広報部員としてお世話になりました。
社会人になりたての頃は日々の業務を覚えることに精一杯で、正直仕事以外での思い出はほとんど残っていないような気がします。2年、3年...と月日が経つにつれ、生活にも少しずつゆとりがうまれ、休日には仙台市内を観光したり鳴子まで温泉に入りに行ったりと楽しみをもって生活できるようになったことが懐かしく思えます。徐々に求められることが変化していく中、後輩育成や学生への指導の難しさに悩むこともありますが、楽しく充実した日々を送れたように感じます。県士会活動では、広報部員としてどれだけ貢献できたかはわかりませんが、多くの方々に支えられながら楽しく活動を続けてくることができました。
4月からは地元の急性期病院に勤めることになります。新しい環境での生活に不安もありますが、それ以上に期待が大きいのでとても楽しみにしています。今後は宮城県を離れてしまいますが、学会や研修会等でお会いした際には声を掛けていただけると嬉しく思います。
最後に、宮城県で過ごした8年間でお世話になったすべての方々に感謝したいと思います。今までありがとうございました。またお会いできることを楽しみにしています!

編集後記
気づけば今年も最早3月目前と月日の流れを痛感しています。朝晩の気温差や日によっての変動も多くありますので、どうぞお体に気をつけてください。今年も会員の皆様にニュースを発信していくにあたり尽力して参りますので宜しくお願い致します。佐藤(光)

県士会ニュース141号 2016.12.27

2016.12.27
県士会ニュース

目次

① 地域包括ケアシステムに関して今伝えたいこと … 大塚英樹
② MTDLP(生活行為向上マネジメント)研修について … 角山亮祐
③ ◆ブロック活動報告◆宮城野ブロック … 原田博恵
④ 福祉用具使ってますかっ!!第二報「車いすクッションの作製を通して構造を知ろう」 … 今井卓馬
⑤ 認知症トピックス … 千葉未佳
⑥ ◆職場紹介◆石巻市立病院 … 菊池梓
⑦ ◆職場紹介◆南浜中央病院 … 髙野恭平
⑧ ◆つぶやきコーナー◆ … 葛西康

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① 地域包括ケアシステムに関して今伝えたいこと

 

せんだんの丘 大塚 英樹

「皆さんもご存じの地域包括ケアシステムですが」「地域包括ケアシステムと言う言葉を聞いたことがあるでしょうか?」「地域包括ケアシステムって何?」
昨今、地域包括ケアシステムを説明する時に用いられる文章は、お示ししたように「知っていて当然」から「まだ耳慣れない」まで様々なレベルが見受けられます。宮城県作業療法士会(以下、県士会)の会員の皆様はどのレベルでしょうか。私が個人的に見聞きしている限り、地域包括ケアシステムは「介護保険で働く作業療法士(以下、OTR)のこと」とか、「老年期を担当しているOTRのこと」とか、「大事そうだけど、自分には関係ないかな・・」とか、簡潔に言えば「他人事」として捉えている方が大勢を占めている印象です。また、私は5年前から居宅介護支援事業所で介護支援専門員(以下、ケアマネ)をしていますが、ケアマネの中でも、同様に「他人事」と捉えている感じがします。
地域包括ケアシステムには、OTRも、ケアマネも、重要な役割が用意されています。それを知っている人から言わせれば、「知っていて当然!」であり、「まだ知らないOTRやケアマネがいるとは言わせない!」という想いを込め、「皆さんもご存じの・・」と説明したくなるようです。重要な役割のある職種が、その役割通りに動かないと、地域包括ケアシステムが機能しない、という危機感がそのような表現になるのでしょうか。
まだ知らないことを、「知っていて当然!」と言われると、残念な気持ちになることがあります。もしかしたら、「知らないよ、そんなこと!」と反感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。地域包括ケアシステムが、医療や介護、老年期に限らず、すべてのOTRにとって重要なこと、知らなければならないことなのであれば、それを伝える方法は多様であるべきでしょう。危機感をあおることも、地道に周知を進めることも、一つの方法です。
先日、県士会で「地域包括ケアシステムおよび地域ケア会議に資する人材育成研修会~地域に求められる作業療法士になるために~」という研修会が開催されました。私も講師の一人として、「研修会開催」という方法で地域包括ケアシステムのOTRの役割を伝えました。会員の皆様は、どのような方法で地域包括ケアシステムを伝えて欲しいでしょうか。今後も、県士会は多様な方法で説明を続けますので、ご自身に合った方法を見つけた際には、両手を広げて受け取って頂きたいと思います。

 

② MTDLP(生活行為向上マネジメント)研修について

企画調整部 地域支援班 MTDLP推進チーム 角山 亮祐

みなさんこんにちは。今回、地域支援班より、MTDLP研修について書かせていただきます。
宮城県作業療法士会では、日本作業療法士協会とともに、MTDLP基礎研修の修了者を平成28年度中に会員の60%以上に引き上げることを目標に取り組んでおります。当士会においては、既に300名以上の会員が修了しておりますが、修了率は35%となっており、目標に向けてまだまだ多くの修了者を排出していくことが必要です。
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MTDLP研修は「基礎研修」と「実践者研修」に分かれており、基礎研修を修了した方が、実践者研修に進む形となっています。基礎研修は、概論90分、演習330分の1日研修を受講することで修了となります。実践者研修はブロック会等で開催される「MTDLP事例検討会」にて事例報告を行うことで修了となります。また、基礎研修については、今年度から生涯教育制度における現職者選択研修の必修研修となり、地域支援班と教育部が合同で開催しています。既に現職者研修を修了された方にも受講が推奨されておりますので、まずは、基礎研修を受講し、MTDLPの概要や推進の背景について知って頂ければ思います。
MTDLPは、生活から失われた「やりたいこと」を「できる」ようにして、いきいきとした地域生活を継続するための支援ツールであると同時に、「作業療法の見える化」のツールでもあります。周囲の人達に作業療法というものを知ってもらうためにも、より多くの方に研修を受講していただければと思います。
研修会等の情報は下記の通りとなっています。研修会費が変更となる点などをご確認いただき、今年度中の基礎研修修了を目指し、是非 ご参加ください。
【平成28年度の研修会について】
●研修会日程・会場
第4回MTDLP基礎研修 平成29年2月18日(土)  東北保健医療専門学校
●来年度から研修会費が変わります
研修会費:4,000円 ⇒ 2,000円(平成28年度まで)
※全国介護老人保健施設協会等が主催する、生活行為向上リハビリテーション実施加算の算定資格を得るための研修会とは異なります。既にそちらの研修会に参加された方も、是非ご参加ください。

 

③ ◆ブロック活動報告◆

宮城野ブロック

 

東北医科薬科大学病院  原田 博恵

宮城野ブロックは、仙台市の若林区と宮城野区にある17施設、約70名で構成されているブロックです。施設の内訳は、身障病院7、老健4、精神2、在宅支援2、小児1、行政1施設と身障病院が過半数を占めています。
私がブロック長を引き受けて4年になります。始めの3年間は、勉強会の参加人数の増員やブロック活動の仕事が不慣れであるという理由から、近隣の青葉ブロック、東仙台・塩釜ブロックと合同で勉強会等を開催していました。4年目の今年は、ブロック内の交流を深めることを目標に、宮城野ブロック単独での催事を検討しました。宮城県OT定期総会後の6月「交流会」を開催しました。参加人数は7名と少なかったものの、ブロック活動の現状と今後の在り方について話し合いの場を持つことができました。9月、同ブロックの千葉未佳さんに講師をお引き受けいただき、全分野に共通してかかわる疾患である「認知症」をテーマに勉強会を開催しました。遠方の他ブロックからも多数参加していただきました。ブロック勉強会ならではのアットホームな勉強会になり、嬉しく思っております。
その一方で、ブロック活動を継続するにあたり、いくつか問題点も挙げられます。宮城野ブロックでは、諸事情によりブロック長と事務局が一本化されているため、他ブロックと比べて各施設での役割分担が成されていません。そのことが、施設間の交流不足、延いては勉強会の参加率の低さにつながっているものと懸念されます。今年度より県学会も「ブロック単位での運営・開催」が導入され、今後さらにブロック内での施設間交流が重要になってくると思われます。来年度を迎えるにあたり、宮城野ブロックの今後の在り方や運営方法について、ブロック会員皆で検討する事の必要性を強く感じています。どうぞ皆様のご協力をよろしくお願い致します。

 

④ 福祉用具使ってますかっ!!第二報「車いすクッションの作製を通して構造を知ろう」ワークショップ開催に携わって

 

公立黒川病院 福祉用具相談支援委員会 今井卓馬

去る平成28年10月29日に仙台市シルバーセンターにて「福祉用具の日」記念イベントが開催されました。宮城県作業療法士協会 福祉用具相談支援委員会としては去年に引き続き二回目の参加となりました。イベントは福祉用具相談支援委員会の高橋春信氏による、ワークショップ「車いすクッションの作製を通して構造を知ろう」の他、セミナー「介護リフトセミナー~導入効果と県内での取り組みについて~」「食事支援のための車いすの選び方~摂食・嚥下のためのシーティング~」を、それぞれ講師を招いて実施しました。当日、私は、ワークショップの運営に関わらせて頂きました。
今回のワークショップは「車いすのクッションの基本的な構造を知ることと、採寸やカッティングなどの作製過程の一部を体験してもらう」ことを目的としていました。内容はグループ毎のモデルの身体計測を実施し、坐骨の位置に配慮しながら、すべり座り防止のためのアンカーを作製していくというものでした。今回、参加した方々にはモノを作るキッカケとなって頂ければと思いました。
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「自分専用のクッションを作りに来ました・・・。」という91歳の一人暮らしの男性。「授業の一環で来ました!!」という笑顔の素敵な介護福祉士、社会福祉士の学生さんたちと個性豊かな面々。終始、にぎやかに作製の時間が過ぎていきました。

今回のワークショップの運営に関わり、患者のためにモノを「つくる」ことの大切さを改めて実感しました。自分が作製したモノ(クッション・自助具など)によって目の前の人(患者、家族)の生活が変わることは「スゴイッ!」と思いませんか?OTの仕事の醍醐味の一つだと私は思います!
ご利用者、家族の方々のためにも、またこの様なワークショップを開催し、今後、県士会の方々と一緒に福祉用具についてお話できる機会があれば良いなと感じました。来年も、「おしり」にまつわる企画を福祉用具相談支援委員会で考えていきたいと思っています。

⑥ 認知症トピックス

 

フォーレスト訪問看護ステーション 千葉 未佳

今回は、9月に宮城野ブロック勉強会で「認知症」をテーマに話をする機会を頂いたことを振り返りながら、「認知症になっても安心して暮らせること」について少し考えてみたい。
認知症は2025年には700万人を超えると推計されており、歳を重ねるほど誰でもそうなる可能性があるはず…なのだが、身近に関わる機会がないとどこか他人事であり、ネガティブなイメージもいまだに根強いものがあるように思う。
認知症と診断された方が、何らかの支援を必要とするまでを「空白の期間」という。診断直後の「空白の期間」は、当事者やご家族に対するフォローが足りないのが現状である。この間に孤立感や喪失感を募らせながら希望を見失っていく当事者は多く、最も辛い期間とも言われている。特に「偏見」は、医療や介護の現場や行政、勤めている方であれば職場、家庭、そしてメディアを含めた社会全体…生活のあらゆる場面に存在し、当事者が最も辛いと感じるものの一つである。また、当事者ご本人の中にある「偏見」が、生活に支障をきたす一因になることもある。逆に言えば、「空白の期間」に安心して生活が続けられるしくみがあれば、認知症と診断されても希望を見失わずに済むのかもしれない。
こんな話がある。山陰や九州の離島やアイヌには、いわゆる「認知症の人」が居ないというのだ。どういうことかと言うと、歳を重ねれば認知症の症状が出始めてもそれは当たり前の変化であり、家族単位でも社会単位でも問題とされない文化があるのだそうだ。例えばアイヌでは、認知症の症状がみられ始めた方の話す言葉を「神用語」と表現し、認知症に伴う変化を歳を重ねることで生じる価値や意味のある変化と捉え、周囲が一生懸命聴こうとするのだそうだ。決して「認知症の人」としてネガティブなレッテルを貼られることもなく、これまで以上に大切にされる文化があるのだ。いわゆる行動心理症状といわれるものは、日々の不安や混乱を重ねることにより生じる二次的なものである。そういった地域では「認知症」と診断される必要もなく、行動心理症状も起こりにくい環境があり、介護保険のサービスも必要最小限で済むのかもしれない。少なくともそこに住む人は、認知症の症状が出現しても安心して年を重ねられ、人としての尊厳を持ちながら暮らしていけるのだ。もちろん一概には言えないが、「空白の期間」のつらさを解消していくには、新オレンジプランとか○○療法とか難しい理屈を捏ねなくとも、このあたりに色んなヒントがありそう…と思いを巡らす今日この頃である。

 

⑥ ◆職場紹介◆

石巻市立病院

 

菊地梓

【病院紹介】
<診療科>内科(一般内科、循環器内科、消化器内科)、外科、整形外科、放射線診断科、麻酔科、リハビリテーション科
<病床数>180床(一般病棟140床(うち20床は緩和ケア病床)、療養病棟40床)
<リハスタッフ数>PT3名、OT2名、ST1名
<リハ対象疾患>運動器疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、廃用症候群など

【リハビリテーション室の紹介】
当院は東日本大震災にて被災し、今年9月1日に石巻駅前に場所を変え、新たに開院した病院です。前院にもリハビリテーション室はありましたが、今回の開院にあたりスタッフ数が増え、理学療法の他に新たに作業療法と言語聴覚療法が加わりました。そのため、作業療法の開設準備から関わらせていただきました。開院までは準備が間に合うか、患者様に満足していただける作業療法が提供できるかなどの不安や心配が多くありましたが、同じ作業療法士の方々にアドバイスをいただきながら開院に至ることができました。
現在、入院と外来リハビリを行っており、作業療法では整形外科疾患の術後の方を中心に脳血管疾患や廃用症候群の方と幅広く関わっています。特に肩関節疾患(人工肩関節、腱板断裂など)の方や手関節の骨折で手術を受けた方が多く、機能向上に加えて、退院後の生活状況に合わせた練習や役割(家事や復職など)・趣味活動の再獲得を目的としたリハビリも行っています。
今後は現在の疾患に加えて、がんのリハビリ研修への参加など準備を進め、より充実した作業療法を提供できるように日々努力していきたいです。
開院して間もないため、至らない点が多いとは思いますが、「市民に愛される病院」を目指しリハビリスタッフ一同、協力しながら取り組んでいきたいと思います。

 

⑦ ◆職場紹介◆

南浜中央病院~取り組み内容の紹介~

 

髙野 恭平

【日々の「マンネリ化」を感じている皆さんへ】
この表は当院の現行の週間プログラムです。
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「マンネリ化」と言われる「大枠」となるのが、「個人活動」と、「グループレク」です。これらのプログラムは「パラレル」と「グループ」で行うという2つの側面から構成されていますが、現在では様々な形に発展させるための取り組みを実施中です。
バリエーションや、メリハリのある活動提供のためには、今ある「マンネリ化」している活動を「大枠」とし、それを分析し、治療的要素、側面を把握した後、それに則した新たな要素を組み込んでいくことが、大きな近道だと考えます。そのため、「マンネリ化」と言われる、大枠の部分こそ大切にしていく必要があるのです。
そこで、今回は、大枠としての活動と、付随する形で展開している一例として「生活相談」について紹介させていただきます。
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今までは、活動の合間などで受けていた相談に、「個人活動」の時間で場面を設定し、個別に受けることとしました。今まで見えてこなかった、患者様本人の生活上のストレスなどの、話を聞くことができ、共に問題解決に向けて考えるということにつながっています。「心理教育」「認知行動」的な考え方を交えながら日々進め方を検討中です。ここで寄せられる相談は、患者様方が自ら「生活相談お願いします」などと声をかけてくれることが多く、病棟生活で困ったことや、家族・スタッフとの関係づくりなどについて相談があります。病棟での患者様の様子、スタッフからの声がけの真意、家族とのやりとりの仕方など、共にスタッフと考えながら生活に活かしていけるように話し合いを展開しております。
また、それ以外にも、社会とふれあうことを目的とした「ソーシャルクラブ」や、個別・集団共に必要な身体機能へのアプローチも講師の方をお呼びして鋭意学習しており、さらなる個別のニーズに対応できるOT室づくりを目指しております。
最後になりますが、今回、県士会広報部の方からお話を頂き、記事を書かせていただくこととなりました。末筆ながら、このような機会を頂いたことに大変感謝致しております。今後も日々の中で少しずつにはなると思いますが、変化を⑦けながら、「マンネリ化」と言わ

れないようなOT室づくりに邁進していきたいと思っております。

⑧ ◆つぶやきコーナー◆

 

高森ロマンホーム 葛西 康

ページェントに灯りがともり、今年も残りあとわずかになってきました。一年が過ぎるのが年齢と共に加速していると感じる。県士会ニュースのつぶやき依頼を受け締め切り日までの早い事。
バックナンバーをいくつか読ませていただき、ベテランOTさんになると年齢から避けられない親の介護についての話題が出てくる。私も同じである。親は、いつまでも元気でいるものと錯覚してしまう。不死身な父親もここ数年、入退院を繰り返している。今年は、3度の入退院をした。一度は自宅の風呂場で意識を失い、心肺蘇生を受け救急車のお世話になった。その連絡を受けた時は、さすがにヤバイと感じた。そんな事があり今年は、両親のお見舞いや介護で、宮城と岩手を行ったり来たりした。そんな折、ふと入院の度に弱くなる親の背中を見た。今、自分は何を感じなくてはいけないのか、何をするべきであろうか、何を親の心に残すべきかと考え込んでしまう事が多くなった。しかし、時は答えを待ってくれず悩みは尽きないまま増える。過ぎ行く時の中で感じた事は、今ある事を精一杯する事ではないかと感じ進む日々である。
そんな介護の帰り道、ふと森林浴をしたくなった。日が傾き始めた時間帯であったが、野山で深呼吸をしたい衝動に駆られ妻といっしょに足を運んだ。今年は、熊の出没が多い。大丈夫、熊には会わないだろうと自分に念じをかけた。道端に大きな鐘が置いてあった。看板があり熊に注意とある。出るのであろうか?不安を隠し切れないまま、鐘をカン、カン、カンと大きく3回鳴らした。ふと、小高い山の方を見た。目の前50m先に、まぎれもなく仁王立ちの体長150㎝位の熊がいるではないか。今でも私の脳裏にその姿がはっきりと焼き付いている。後ろ姿ではあったが、立ったままで、左右の耳をピクピクと動かしていた。私は、立ち止まり固唾を呑み、妻に小声で「クマ、クマ。」と囁いた。急な動作は相手を刺激する、相手を見てゆっくりと退く事。熊に遭遇した時の対応知識は一応あった。しかし、一目散に走ってしまった。しかも背中を向けて。今年一番怖い出来事であった。
先日、地域包括研修会に参加させていただいた。研修会の参加者の大半は30~40歳代のベテランOT達であった。次いで若い卒後数年の方、そんな中に60歳代では1人、大先輩O様が参加されていた。お話を伺うに「もうひと肌、この世界でがんばろうと思って一から勉強しに来た。」とお聞きした。謙虚で前向きな姿勢と意欲に、さすが一流の方は違うと感銘を受けた。高齢化時代が必要とする職業の中から、より適切に社会貢献できる職業が検討されている。ある意味、別世界の生き残りかもしれない。私達作業療法士は、日々の実践を大切に、地域の中でも自分たちの技術、知識に対して自信を持ち、出来るだけ多くの方々に広く伝え実践してゆく事が大切であると感じる。50年に一度の作業療法の追い風が吹いていると聞く。私達、作業療法士の腕の見せどころである。

編集後記

2016年はもう少しで終わろうとしています。
今年も多くの作業療法士が活躍し、みなさんそれぞれがいろいろな思いを込めて患者様にリハビリを提供してきたと思います。
今年の県士会ニュースでも多くの先生方の、いろいろな思いをお伝えしてきました。
全ての記事を網羅することはなかなか難しいことだと思います。
ですが、その中で1つでも自分にとって印象に残った記事があり、それをどこかで患者様たちの助けにしていただければ幸いです。
2017年も多くの先生方の思いを届けることで多くの患者様たちが救われる県士会ニュースを発行していこうと思います。 佐藤(崇)

県士会ニュース140号 2016.10.20

2016.10.20
県士会ニュース

目次

① 教育部から生涯教育制度について … 紀國谷恵子
② 新任部長紹介 … 熊谷竜太
③ 福利部主催会員向け「肩こり・腰痛セミナー」を実施しました … 半沢正道
④ 第50回日本作業療法学会に行ってきました … 三浦南美
⑤ ◆職場紹介◆ 南浜中央病院 … 高野恭平
⑥ ◆つぶやきコーナー◆ 老いの構え … 山根佳子

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① 教育部から生涯教育制度について

-OT協会生涯教育制度を活用しキャリアアップをめざそう!-

 

教育部長 紀國谷恵子

みなさん、こんにちは。教育部の紀國谷です。いつも県士会活動にご協力いただきましてありがとうございます。日々みなさんは作業療法士として、それぞれの役割の中で対象者の意味ある作業をめざし作業療法を実践されていると思います。
日ごろ教育部は、OT協会が取り組んでいる生涯教育制度(2013年改訂)に基づき各種研修会を運営および単位認定、臨床教育検討等を担っておりますが、今回は生涯教育制度をより身近なものとして、またみなさんのキャリアアップに活用していただこうと思い、現在の制度改定についてポイントを絞り、情報を提供したいと思います。
生涯教育制度改定の構造図を示します。

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ご存じのとおりOT協会では、作業療法士の質保証と社会的地位向上を目的に認定作業療法士制度、専門作業療法士制度を創設しました(資格認定審査)。
改めて認定作業療法士等のキャリアアップを目指すためのステップを示します。
ステップ① 資格取得約5年までに「生涯教育『基礎研修』」を修了
※「基礎研修」修了には、1~3が必要
1.現職者共通研修(10テーマ受講修了で基礎ポイント20p付与)
2.現職者選択研修(2領域以上)
:平成28年度OT協会入会会員からは、生活行為向上マネジメント
(MTDLP「基礎研修」)受講が必須となり、他に1領域を受講
3.基礎ポイント50ポイント取得(1の20pを含む)
ステップ② さらにその後約5年間の研修を経て「認定作業療法士」、さらに「専門
作業療法士」をめざす。(実務経験5年以上が必要)

OT協会では、研修会への参加のしやすさと生涯教育制度の進めやすさに研修要件を改訂しており、以下に例を挙げます。
「基礎ポイント50p取得のための有効期間を5年間超えても有効とする」
「現職者選択研修受講の際は、その都度基礎ポイント2p付与する」
「MTDLP実践者研修における事例検討会での発表を現職者共通研修の10。事例報告に読み替え可能」
「新入会員になる前の当該年度の研修会参加も認める」
など
教育部としては、みなさんがOT協会生涯教育制度を活用し、スキルアップできるよう取り組んでおります。基礎研修が修了された方も現職者研修(特に選択研修)に参加され、改めて作業療法を振り返り、明日からの作業療法実践に役立てていただければと思います。なお、選択研修生涯教育制度※に関する不明な点や個別の質問、ご意見等については、生涯教育推進担当者と連携し、お答えしたいと思います。県士会ホームページの「お問合せ」からご照会ください。

今年でOT協会発足から50年を迎えました。創成期の作業療法士の方々の熱い思いを引き継ぎ、対象者ひとりひとりやそのご家族、ひいては国民に真に認められ、期待される作業療法士をめざすためにも生涯教育制度に取り組んでいただけるよう、教育部として活動を推進していきたいと思います。(新規部員の加入も絶賛募集しております!)
※生涯教育制度(http://www.jaot.or.jp/post_education/shougai.html)

 

② 新任部長紹介

仙台青葉学院短期大学 熊谷 竜太

この度、庶務部の部長を拝命いたしました、熊谷竜太と申します。初めましてという方が多いので、簡単に自己紹介をさせていただきます。

養成校を卒業後、北海道のとある病院で精神障害領域の作業療法士として勤務しておりました。その6年後に自分が卒業した母校(旧仙台医療技術専門学校)の教職員になるために、仙台に舞い戻ってまいりました。現在、教職員になって5年目に突入し、人に教えることの難しさを日々、痛感しています。また、仙台南・名取ブロックの事務局として県士会の活動に参加し、様々な会員の方と「つながり」を持つことができました。そして、「つながり」のおかげで、庶務部の活動に参画させていただくことになりました。

さて、宮城県作療療法士会の庶務部は、
① 会員の把握及びOT協会会員管理システムでの会員情報一括管理のための情報整理などを行う「調査資料班」
② 理事会(常任理事会含む)運営及び理事会資料・議事録作成などを行う「会議運営班」
③ 庶務部活動に係る経費の処理の実施などを行う「会計係」
④ 定期総会議案書の発送などを行う「印刷発送関連業」
⑤ 入退会を管理する「賛助会員入退会管理」の活動を行っています。

これらの仕事を、庶務部の部員や事務所の事務員の方たちが各班や係に分かれて、責任をもって役割を遂行してくれています。とても心強い部員や事務員の方たちがそろっているので、新米部長として安心して仕事をまかせることができています。

会員の皆様の業務等が円滑に進むよう、庶務部として支援していきます。よろしくお願いいたします。

※現在、庶務部では、部員を募集しています。活動に参加して下さる会員の方の連絡をお待ちしております。

 

③ 福利部主催 会員向け

「肩こり・腰痛セミナー」を実施しました

 

福利部長  半沢 正道

会員の皆様、こんにちは。

さて、例年会員向けの新人歓迎会やレクリエーションを実施している福利部ですが、今年は新たな試みとして、 2016年7月30日(土)に東北文化学園大学にて、会員向けの「腰痛・肩こりセミナー」を無料で開催しました。講師は西仙台病院の山田孝弘氏でした。日々の作業療法業務を遂行するにあたり、セラピスト自身も心身の健康状態を保持しながら勤続することは重要なテーマだと思います。そこで、領域を問わず業務の支障となりやすい腰痛・肩こりの予防や対策についての理解を深めることは、会員の福利厚生にもつながると考え企画いたしました。今回の参加者は13名で概ね20~30代で身体障害、老年期、精神障害領域からご参加いただきました。
アンケートでは「役に立つと思う」「大変満足した」の回答が多く得られました。今後の業務に活かしていただければ幸いです。

福利部では今後も様々な企画を練っていきたいと思います。また、「一緒に活動してみたい!」という会員も随時募集中ですので宜しくお願いいたします。

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④ 第50回日本作業療法学会に行ってきました

 

東北医科薬科大学病院 三浦 南美

今回私は札幌市で行われた第50回日本作業療法学会に参加させていただきました。
会場はJR札幌駅からタクシーで5分程のところにあるロイトン札幌、ホテルさっぽろ芸文館・ニトリ文化ホール、札幌市教育文化会館の三ヶ所の施設で行われていました。徒歩でも20分程のところであった為、札幌市内を眺めながら移動することも可能でした。
会場周辺は学会へ参加されるスーツ姿の方で賑わっており、今学会の規模の大きさを実感しました。
会場内ではシンポジウム、口述発表、ポスター発表など各会場にて行われていました。その他には機器展示コーナーにてスタンプラリーが行われており、とても賑わっていたように思います。
私が本学会に参加するのは今回が2度目であり、初めての参加は作業療法士1年目の時でした。当初は作業療法士の偉大さに只々圧倒されていましたが、4年目となった今回は自分が学びたい分野や日々の臨床での経験を意識しながら参加することができ、ほんの少しばかり自分自身の成長も感じることができました。
終わりに、今学会からスマートフォンアプリを導入したプログラムが配布され、スケジュール管理が行いやすく、学会側からのお知らせも随時受け取ることができ、状況が把握しやすかったと感じています。運営者の方々には感謝の気持ちでいっぱいです。本当にお疲れ様でした。

 

⑤ ◆職場紹介◆ 特定医療法人 松涛会 南浜中央病院

 

髙野恭平

今回、職場紹介ということでお話を頂き担当させていただきます、南浜中央病院作業療法士の髙野です。当院は今年で四十周年を迎え、今後も益々の発展を目指し、活動を続けておりますが、それらについて、一部では有りますが、ここで紹介させていただきます。
【病院紹介】
名  称:特定医療法人松涛会 南浜中央病院
開  設:昭和51年9月1日
理 事 長:高階 憲之
総 院 長:牧尾 一彦
院  長:玉垣 千春
職 員 数:120人
診療科目:精神科・内科・歯科
ベッド数:
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医療設備:CT、X線、エコー、透視、心電図、脳波
認定施設:精神保健指定医 医療観察法通院施設

【作業療法士の配置】
・精神科作業療法:担当スタッフ(OTR3名、OTA1名)
・認知症デイケア:担当スタッフ(OTR1名)
(他スタッフも、活動時には都度介入している)
・精神科認知症治療病棟:担当スタッフ(OTR1名、OTA1名)
それぞれの部署で配属先がまちまちであり、各部署で様々な活動を展開中。

【診療部作業療法科の紹介】
各部署で作業療法士が活躍しておりますが、その中で、今回は私が所属している診療部作業療法科について説明させていて頂きます。
作業療法科は今までスタッフが定着せず、ここ数年は、中々安定した活動や、患者様との関わりが持てずにいました。一時は、私一人となり、同クオリティの作業を日々提供し続けるために、業務改善を繰り返しながら、毎日を送っておりました。しかし、患者様に提供する作業は、マイナーチェンジを繰り返してはいましたが、方法の定着化と、基準作りのために、大枠は変えておらず、「マンネリ化」と言った声も聞かれてしまう状態でした。「マンネリ化」と言えば聞こえが悪く感じますが、取り方によっては「一定の活動を提供し続けている」という、組織維持の観点を重視した形であると捉えることも出来るかと考えます。結果、その定着化が功を奏し、新たに入ってきてくれた素晴らしいスタッフたちとのやり方の共有や、新しい活動への発展が円滑に進められたようにも感じます。
次号に掲載される私の記事“日々の「マンネリ化」を感じている皆さんへ”が、同じように「マンネリ化」や「日々の活動」に悩みを抱いている精神科の作業療法士の皆さんに少しでもお役に立てれば幸いです。

 

⑥ ◆つぶやきコーナー◆ 老いの構え

 

宮城厚生協会 山根 佳子

身内が介護を必要とするようになり、1年以上が経つ。老いと進行性の病に、次第に動けなくなり、介護するのも重労働となってきた。当人の後ろ向きな態度に苛々を募らせ、つい叱咤激励し、身内が老いるという現実を受け入れられないでいる。
そんな日々、何気なく過ごしてきた自身の生活の場が不自由になってきたことに、ある時気が付いた。それは、地下鉄の階段であったり、家の棚と棚との隙間であったり、‥全く意識に上ることなくこなしてきた日常で、多少の時間や集中力を使うようになり、失敗も多くなった。そして、半年程前、手すりに左肘を強打し、猛烈に痛い思いをした。かなり勢いよく動き、自分の動く空間を見誤っての事故、ついにやってしまったと、強いショックを受けた。さらに、日が経つ程に痛みは増し、日常もままならなくなり、ようやっとで受診した。「上腕骨外側上顆炎、いわゆるテニス肘です」、といわれ、あーそうか、テニスはしてないけどやっぱりそういうのか‥と変なことを考えたものだ。薬と自分流リハビリを続けるうち、ようやく痛みが治まり、日常生活も多少は楽にこなせるようになった。自身で動ける範囲やどう動けば無理がないのか、経験と学習で大まかはわかるようになった。自分のことというのは気が付きにくく、できなくなることを受け入れるのは容易ではない。痛い目に合うというのは、現実を、自分を受け入れるための一つの術となるらしい。
それにしても、痛みを忘れ、安楽に眠れたり、おいしくご飯が食べられたり、温かい湯船に身を委ねられたり、日常に心地良さを感じられることがどれほどありがたいことか。Quality of Lifeの本質はこういうところにあるのかと一人納得した。もし、自分が自身の日常をこなすのに人の手を借りなくてはならなくなったら、心地良さを提供してくれる、できれば上手な人の手がほしいと思うだろう。はたして、自分はそういう「人の手」になるだろうか、援助してくれる人の手に対して素直にありがとうといえるだろうか‥後者はNOかな。

編集後記

県士会ニュースでは今必要な情報を会員の皆様にお伝えすることはもちろんのこと、興味深い取り組みや様々な会員の声を紹介できればと思っています。つぶやきコーナーは、初めの頃は3年目や5年目のキャリアの浅い会員に、最近ではある程度キャリアのある方に日ごろ感じていることをつぶやいていただいています。読む人のその時の立場や気持ちで感じることが変わると思います。ホームページでバックナンバーも閲覧できますので、ぜひ読み返していただければ幸いです。川勝

県士会ニュース139号 2016.7.10

2016.07.10
お知らせ

目次

① 平成28年定期総会開催報告 … 畑中一枝
② ONE FOR ALL,ALL FOR ONE … 三浦晃
③ 生涯教育制度の一部改訂について … 紀國谷恵子
④ ◆職場紹介◆ さくらの訪問看護ステーション … 伊藤奈津美
⑤ ◆つぶやきコーナー◆ 義母と暮せば … 藤野あさ子
⑥ OTカフェで語りませんか? … 伊藤智之

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① 平成28年定期総会開催報告

 

事務局長 畑中一枝

平成28年6月5日(日)に定期総会を開催しました。総会時の会員数は休会者を除いて787名となっており、会員数の増加と参加の利便性にも配慮しての会場の選定には毎年悩まされますが、今回は仙台青葉学院短期大学の長町キャンパスを初めてお借りしての開催といたしました。参加された皆様にはいかがだったでしょうか?
総会前には現職者共通研修「作業療法生涯教育概論」を兼ねた新入会希望者向けのオリエンテーションと、財務部による担当者向け会計説明会の開催も行い、当日の参加者数は120名、委任状の提出385通、計総会有効数は505名でした。今回の総会参加数は最近の総会開催としては多いほうではありましたが、全体の会員数から考えると15%(6.5人に1人)、総会議決行使率は69.8%となります。
今回の総会では、役員任期に係る項目等についての定款の改定も承認されております。これは法務局からの指導によるものですが、この改定により、役員の選挙方法がこれまでとは異なる形になります。具体的には、これまでは「会長」「副会長」「理事」「監事」にそれぞれ立候補、投票となっておりましたが、今後は「理事」と「監事」のみの立候補、投票となり、選出された理事の中から互選にて「会長(代表理事)」「副会長」「常任理事」を選出するかたちになります。次回の選挙は来年度の予定となっていますので、今年度中に選挙に関する規程も含め定款施行規則等関連規程の修正を進めていくことにしています。
また、今回の総会に併せ、広報部で公募していた県士会キャラクターについて会員の皆様に投票していただいておりましたが、応募作品の中に他社のキャラクターと類似しているものがあるとの指摘があったため、今回の投票は無効とさせていただきました。今後の対応としましては、指摘のあった作品を候補から外すことと、その他の応募作品についても類似品がないかの確認を行った上で、12月に開催予定の県学会時に再投票を行うことといたしましたので、会員の皆様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご協力をお願いします。
県士会の活動は「県民の保健・医療・福祉の充実及び向上に寄与するため、作業療法士が学術研鑽、技能の向上に努め、リハビリテーションの普及発展を図る事を目的」としています。会の運営を活発にしていくためには、会員個々人の皆さんの協力が必要です。総会では、今年度の各部署の活動計画と予算案も承認されておりますので、参加されなかった会員の皆様にも総会議案書の内容の確認の上、今後の活動への協力をお願いします。

 

② ONE FOR ALL,ALL FOR ONE

企画調整局地域支援班 班長 三浦晃

「生活行為向上マネジメントができる作業療法士に担当をお願いしたい」
「作業療法士は、心身機能を含めて、活動と参加への支援のプロセスを分かりやすく助言してくれる人」
ある県における居宅支援事業所、そして地域ケア会議メンバーからの声である。
昨今の医療・介護・障害・福祉に関する施策の風向きは、地域包括ケアシステムの構築の方向へと、その勢いを強めながら吹いている。この風に乗って、冒頭の話は聞こえてきた。…心が震えた。何故ならば、そこにOTの未来のために汗を流す「あの方々」の姿が浮かんだからだ。
作業療法士以外の方々が、“作業療法”を理解し、自立支援の手段として求めるに至った背景は何だろう?まずは、この現象を紐解くことが大事だ。きっと、“作業療法”が実践できる作業療法士と出逢い、その効果を実感したからではないだろうか。言葉では伝わりにくい“作業療法”の魅力を伝えるには、実際に“作業療法”に触れていただき、その効果を実感してもらうことが大事ではないだろうか。地域包括ケアシステムの構築に作業療法士が貢献していくには、何にも増して、より多くの方々に“作業療法”に触れてもらうこと。これに尽きるのではないだろうか。
このように考えると、作業療法士一人ひとりが取り組むべき3つのアクションが見えてくる。①作業療法が実践できるスキルを学ぶこと、②地域のさまざまな方々と接点をもつこと、③その方々に作業療法の思考や実践に触れていただくこと、である。そして、このアクションの延長線上には、いたる地域で作業療法が積極活用されている未来像が見える。
ご存知だろうか?この「作業療法が積極活用される地域づくりプロジェクト」は、すでに県士会として発動している。平成27年度の半ば、県内の各市町村における地域包括ケアシステム構築に貢献すべく、地域支援班は発足した。平成28年度を迎えるにあたってメンバーを募り、“作業療法が必要とされる地域づくり”のための2ヵ年戦略を策定し、「地域包括ケアシステムおよび地域ケア会議」「介護予防・日常生活支援総合事業」「認知症初期集中支援」「生活行為向上マネジメント」の4つの推進チーム体制で活動中である。新人から大ベテラン、そして理事4名を含む総勢45名超の仲間が生む相乗効果を推進力に、着実に前進している。
「地域包括ケアシステムと作業療法士の関係を知りたい」
「作業療法ができる作業療法士になりたい」
…これは4カ月前、「私なんかがこの班に入ってよいのか…」と言っていた若手OTの言葉である。
「○○さんと一緒に仕事をして、私もOTになりたいと思った」
「私も母と同じOTになろうと思った」
…これは、大ベテランの先輩OTにまつわるエピソードである。
ここ地域支援班内・外での意味ある交流が、心の奥にある作業欲を引き出し、意味ある作業を生むという頼もしい化学反応が起こっている。
「作業療法の真髄って何ですか?」もしも、こう問われたとき、自分なりの言葉でちゃんと答えらえる作業療法士でありたいと思う。
基本的欲求の一つと位置づけられる「作業欲」を引き出し、その方にとっての“意味のある作業”をマッチングすること。この作業欲と意味ある作業とのマッチングによって、今ここにいる自分の存在を肯定できるように導き、元気づくり、健康づくり、やりがいづくり、生きがいづくりを、ともに行っていくことではないだろうか。

 

③ 生涯教育制度の一部改訂について(平成28年度改訂)

 

教育部長  紀國谷恵子

日本作業療法士協会生涯教育制度の一部改訂について、ご周知のことと思いますが、お知らせいたします。日本作業療法士協会ではすべての作業療法士へMTDLPの習得をより強力に推進することを目的に、その研修を生涯教育制度に位置づけられました。(協会が定める生活行為向上マネジメントの研修制度の構造を図に示します。)
<現職者選択研修>
修了には4領域(身障・精神・発達・老年)から2領域選択受講が要件だったものが、生活行為向上マネジメント(MTDLP)基礎研修が必修研修として新たに組み入れられた。
(2016年度以降入会の会員の現職者選択研修修了要件は、MTDLP基礎研修に加え1領域以上の選択研修を受講すること。2015年度までに入会の会員についても、現職者選択研修の修了の有無に限らず、MTDLP基礎研修の受講を推奨とする。受講時に基礎ポイント2Pを付与する。)
<現職者共通研修>
MTDLP実践者研修における事例検討会での発表が、一定の条件により現職者共通研修「10.事例報告に読み替え」が可能となった。
マネジメント図

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平成28年度生涯教育共通研修・選択研修の計画(案)

共通研修:例年連続する土日で開催しておりましたが、今年度は7テーマを2回に分けて異なる日程で開催します。
・第1回 10月下旬(3テーマ予定)
・第2回 11月下旬(4テーマ予定)

選択研修:
MTDLP基礎研修
・8月27日(土)、9月24日(土)、10月22日(土)、2月予定
老年期
・2月予定

 

④ ◆職場紹介◆ さくらの訪問看護ステーション

 

伊藤奈津美

【施設紹介】
株式会社さくらの「さくらの訪問看護ステーション」は、笑い声が聞こえる住み慣れたご自宅で「安心して、ゆったりと」過ごして頂きたいとの思いを抱き、平成26年8月にオープンしました。訪問リハビリは平成27年4月から本格的に開始しました。
《スタッフ》 看護師3名、准看護師1名、理学療法士3名、作業療法士1名、事務2名《業務内容》 ご利用者様のご自宅や有料老人ホーム・高齢者専用賃貸住宅等の施設へ訪問し、バイタルチェック、身体機能・ADLの評価と練習、環境調整(福祉機器の紹介・導入、家具の配置検討)などを実施。
《訪問地域》 仙台市、塩釜市、多賀城市、利府町、富谷町
《対象疾患》 脳血管疾患、骨折等の整形外科疾患、廃用症候群、認知症、悪性腫瘍、呼吸器疾患、神経難病(パーキンソン病、脊髄小脳変性症、筋ジストロフィー)等
《職場の位置》 ファミリーマート泉関場店の隣

【リハビリの紹介】
当ステーションにはPT3名、OT1名が在籍しており、対象疾患は脳血管疾患後遺症から神経難病など多岐にわたり、介護保険と医療保険では3:1程となっています。訪問範囲は仙台市を中心に利府町や富谷町まで幅広く訪問しています。
PTとOTの住み分けは特に行っていませんが、OTでは主に認知症がメインの方、高次脳機能障害のある方、福祉用具や住宅改修の必要な方への相談やアドバイス、動作練習、環境調整、自宅での運動指導等を行っています。
生活場面で具体的に困っていることをご本人様やご家族様と共有し、より生活しやすく、その人らしく在宅生活を送れるようリハビリテーションを提供しています。ステーション内には看護師とリハビリ職員が同室にいるため、訪問前後でコミュニケーションを図りながら業務を行っています。
さくらの訪問看護写真

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈住所〉
〒981-3111 仙台市泉区松森字関場26-1
TEL:022-375-1611 FAX:022-375-1612
URL:http://sakurano.sakura.ne.jp/inde

 

⑤ ◆つぶやきコーナー◆ 義母と暮せば

 

松島医療生協 まつしまの郷 藤野あさ子

ウチには、義母がおります。
夫の母、いわゆる姑ですが、ご縁があり一緒に暮らすこと十数年になりました。
なかなかの天然さんです。
下の子が小学校の頃、公園で逆あがりをしている我が子を見て、私もしてみたくなりました。この時、ワタクシ30代後半!結果は、惨敗。あまりのショックに帰宅するなり義母に報告すると「あら~」と。次に出た言葉が
「じゃあ、ばあちゃんも出来ないべか?」
デキナイサ、アナタ、ロクジュウスギテルヨ
義母は私が料理を作っていると、隣に来てじっと見ます。私がいない時、代わりに作れるようにとの配慮からなのですが、嫁としては、じぃ~っと見られて良い気はしません。もう同居して十年過ぎたしと、思い切って言ってみました。
「ばあちゃん、私も嫁だから、お姑さんにこんなに見つめられるとなぁ・・・」
すると「あら、私、姑じゃないから大丈夫」と。次に出た言葉が
「ばあちゃん、お友達だから!」
オトモダチ ダッタノカ~
数々の伝説を持つ義母ですが、私の事をとても可愛がってくれます。仕事にも理解があり、藤野家の主婦として一生懸命です。私といえば、お陰様で震災以降の多忙な毎日を男らしく過ごし、夫には「おまえ、そのうちヒゲが生えてくるんじゃない?」と、言われております。
我が家では、義母の意見が一番です。自然とその様に出来ています。ナゼカシラ・・・?それはやはり「信用」だと思います。
彼女は、主婦という客観的に評価されにくい業務を手抜きする事なく全うします。自分が決めたルールを決して曲げず、365日営業です。そこには信頼と実績、何より愛情があります。「彼女のいうことなら、まず間違いない」いつも、そう思っています。
若い頃は、自分を理解してもらうための「表現力」や「説得力」が欲しいなぁと思ったものでした。もちろん今も思いますが、それだけではない様に感じます。 毎日を誠実に生きていれば「多くを」そして「上手に」語らなくとも何かがついて来るということを教えてもらいました。私のああでもない、こうでもないと悩みながら走る様を見て「この人、間違いないな・・・」と思っていただけるお仕事がしたいものです。

 

⑥ OTカフェで語りませんか?~OTカフェのご案内~

 

事業部長 伊藤智之

OTカフェは、今年度から始まった新しい企画です。
同じ領域で働くOTが集い、語ることで日ごろの悩みや相談ごとを共有し、
明日へとつなげる場です。経験年数は問いません。

今回は精神科領域で働いている もしくは 精神科領域に興味があるOTを対象に行います。第一部は、フィンランドへ視察に行った手代木先生からの「オープンダイアローグ」のご報告、第二部は、ゆったり、お茶を飲みながら、日ごろの思いを語る時間です。

あなたの語りが、仲間のヒントになるかもしれません。
仲間の語りが、あなたの力になるかもしれません。 ぜひ、参加してみませんか?


日 時  平成28年7月23日(土) 14:00~16:00(受付 13:30~)
会 場  東北保健医療専門学校
仙台市青葉区花京院1-3-1(JR仙台駅から徒歩5分)
対 象  宮城県作業療法士会会員で精神科領域にお勤めの方、
精神科領域に興味がある方
内 容  第一部14:05~14:35「フィンランドオープンダイアローグ視察報告」
講師 宮城県立精神医療センター 作業療法士 手代木 理 先生
第二部14:45~15:50「OT語り場」
少人数でのグループワークを予定しています
会 費  500円  *生涯教育ポイント2ポイント
申 込  メールにて 件名「OTカフェ参加申込」 本文①氏名 ②会員番号、所属
③経験年数 ④懇親会参加の有無 を記入しotjigyou※yahoo.co.jp に送信してください
締 切  平成28年7月19日(火)
お問い合わせ 金子 愛(鹿島記念病院)0225-73-2420 a.kaneko※kaihokai.or.jp

*メールアドレスは※を@に変えて送信してください

*当日17:00より、仙台駅周辺で会費4,000円にて懇親会を予定しています。
懇親会からの参加も可能です。

編集後記

2016年も残すところ半年となりました。歳を重ねるたびに1年、1ヶ月、1週間、1日がすぐ過ぎ去ってしまうように感じ、厄年もあと半年かと思うと、なんとか無事に乗り切れるような気がしています。慌ただしい日々でも、ただなんとなく過ごしてしまわぬよう、自分の中の長期目標や短期目標を見直し、残りの半年を有意義に過ごしていきたいと思います。義野

県士会ニュース138号 2016.3.1

2016.03.01
県士会ニュース

目次

① 県士会活動への誘い … 大貫操
② 新理事紹介 … 伊藤智之
③ 新理事紹介 … 山田孝弘
④ ◆職場紹介◆ エバーグリーン病院 … 長谷亜哉
⑤ ◆つぶやきコーナー◆ 「いろんな意味で日々モヤモヤ?!!」 … 仙石健治
⑥ ◆イクママより◆ 丸山美希

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① 県士会活動への誘い

 

副会長 大貫操

宮城県作業療法士会の理事になって約13年。副会長を拝命して3年が経過しようとしている。最初は県士会がどんな役割を担っているのかもわからずに、先輩の皆さんのサポートをする事しかできなかった。既存の組織に対しても方向性にも疑問をもつ事もできなかった。若い作業療法士のために貢献できる事、県民に作業療法を身近に感じてもらうこと、が理事の仕事を引き受けたときのテーマだったので「できることをやる」のが私のスタンスだった。
新人時代を考えると、養成校を卒業して、札幌に就職したが、先輩に引っ張りだされて新人でも士会の仕事をするのは普通の事だった。何もできないと思っていても、指導してもらってできる事はあるし、他病院・事業所に知り合いが増えていく事で、仕事の悩みが解決したり、多くの知識を得たり、いいきっかけをいただき、たくさんの先輩に育てていただいたと思う。
仙台に戻っても同じく、理事を続けるうちにできたネットワークは、OTとしての仕事をいつも助けてくれた。地域で仕事をする事が多かったので、対象者の望む生活の実現に、幅広く支援を提案できたり、必要な人に繋ぐ事ができたり、OTとしての知識技術は格段向上したと思っている。すべての仕事において必要な事であるが、OTの仕事にはネットワークが重要だと思う。
県士会の目的は、緑色の表紙の定期総会議案書の後半にある「定款」の第3条を見ていただきたいが「県民の保健・医療・福祉の充実及び向上に寄与するため、作業療法士が学術研鑽、技能の向上に努め、リハビリテーションの普及発展を図る事を目的とする」となっている。県内で働くすべてのOTのみなさんに県士会活動に協力いただかなければ、この目的は達成できない。
個々人がその領域において作業療法士として確実に成果を上げる事、関わる人の役に立つことが、作業療法の最高の広報=啓蒙につながる。時に自分の仕事を、客観的に、そして俯瞰してみることは大事な事だ。本当に成果を上げられているのか、他者にどのように伝わっているのか。その作業が、きっと県士会の仕事に関わる事でできると思う。県民のために何ができるのか考え、今OTに求められている事は何かを知りながら県士会活動をやって行く中で、OTの立ち位置を知る事が多い。
皆さんも県士会活動の中で試行錯誤してみませんか?今は職場での仕事に忙しく何もできないと思っている方、チャレンジすると悩みが解決される、新しい知識が増える、たくさんの新しい先輩ができる等々のメリットもあります。
「いつもあなたのそばに作業療法士」。これから数十年後の未来にもOTの活躍の場が広がっていくように、県民にとって身近な職種となるように、皆さんの力を貸して下さい!

 

② 新理事紹介

 

長町病院 伊藤智之

こんにちわ、長町病院の伊藤です。平成27年5月より、宮城県作業療法士会の理事をさせていただいています。私が当士会へ入会したのは2003年だったと記憶しています。それまでは他の士会を2ヶ所ほど渡り歩いてきました。
長町病院と聞くと回復期病棟というイメージが強いかもしれませんが、当院では訪問リハと通所リハにも関わっており、私も一昨年より介護部門で仕事をさせていただいています。昨年の介護報酬改定では、新しい書式や運用を考えたりと忙しい日々だったと思い出します。
話は戻りますが、私は6年ほど前に仙台南・名取ブロックのブロック長をさせていただきましたが、ブロックの主となる目的として、地域での会員同士の繋がりを作るという事でした。その事により患者様・利用者様が急性期から生活期まで円滑に移行できるだろうと考えていました。地域での横の繋がりが増えるようにと、ブロックの活動として、定期的な症例検討、また時期別アプローチの症例報告、そして懇親会など行ってきました。その甲斐あって繋がりができてきたと思いますが、当ブロックに在籍しているOT数から考えると参加会員が少ないのが現状です。
今後、さらに横の繋がりが増えるよう、県士会やブロックでの活動を支援していきたいと思っていますので宜しくお願いします。県士会の中には経験が豊富な先輩やある事が得意なOTも沢山いますので、ぜひ士会での人脈を増やし、楽しくそして作業療法士が活躍できる場を皆さんで増やしていきましょう。

 

③ 新理事紹介

 

西仙台病院 山田孝弘

県士会の皆様、はじめまして。今年度より理事を務めさせて頂いております山田と申します。
私はこれまで身体・精神障害、医療・介護保険を問わず、様々な領域・分野にて業務を行ってきました。現在はIMSグループ 医療法人財団 明理会 西仙台病院にて主に老年期障害分野にて臨床に携わっており、平行して研修会の講師や一般の方に作業療法を普及・啓発する活動を行わせて頂いております。
私には夢があります。それは「どんな障害、どんな問題にも対応出来る幅広い専門性をもった作業療法士」になることです。私が作業療法士としてのキャリアを始めたころに比べ、現在はその活躍の場は間違いなく広がっており、同時に求められるものもより多様化していると感じています。また、作業療法士はその対象となる方の可能性を引き出し、希望ある未来に繋げてくれる素晴らしい仕事だと思います。そのような観点から県士会のお力になれるように、また皆様に少しでも貢献できるように理事の業務を全うしていきたいと考えております。
これからも皆様にお会いする機会が多いかと思いますので、その際気軽に声を掛けて頂けると嬉しいです。是非今後とも宜しくお願い致します。

 

④ ◆職場紹介◆ エバーグリーン病院

 

長谷亜哉

【病院紹介】
<診療科目>一般精神科外来
<病床数>精神科療養病棟:100床(2病棟) 認知症治療病棟:100床(2病棟)
<デイケア定員>重度認知症患者デイケア:50名
<リハスタッフ数>作業療法士(常勤)7名  (非常勤)1名
理学療法士(常勤)1名
<OT業務内容>精神科作業療法、生活機能回復訓練、デイケアでのOT提供
<リハ対象疾患>認知症(アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体性認知症、前頭側頭型認知症 他)、脳血管疾患後遺症、廃用症候群 など

【リハビリテーション部の紹介】
当院では、認知症の方の主体的な生活の実現や住み慣れた場所で生活を続けられるよう、入院部門・通所部門において支援を行っております。
入院部門は4病棟(各50床)あり、病棟ごとにさらに12~13名単位で4つのユニットを形成しユニットケアを行っています。認知症治療病棟では50名に対しOT1名が、精神科療養病棟では50名に対しOT2名が担当とし配置されています。
その中で認知症治療病棟においては、多職種による生活機能回復訓練の動きの中で、CWやNrsなど他職種と情報収集を積極的に行いながら日常生活動作の中での支援方法(基本動作、ADL動作、余暇時間の過ごしかた等)を発信するなど対象者の生活時間のマネジメントを行うことや活動性の向上、生活リズムの構築を目的としユニット内外での集団体操等の活動提供を行っています。病棟を超えた他者交流の場や役割活動の提供を目的とし院内喫茶「あおば」という喫茶店の運営を行い、その方の能力や役割としてできることを多くの方に知ってもらったり、他の方に役立つことができることを体験してもらったりする取り組みも行っています。また今年1月からはPTも配属になり、認知症患者リハビリテーション料での関わりも開始しました。精神科療養病棟においては活動性の向上、生活リズムの構築を目的とし1~2ユニット単位での集団体操や小集団活動(創作活動、運動クラブ等)等を行っています。また必要に応じてROMexや歩行練習、ポジショニング等必要な個別練習等も行っています。
通所部門では定員50名に対し2名のOTが配置され、毎日20~30名の対象者が利用されています。デイ利用時間を心地よく過ごす事で帰宅後も穏やかに過ごせるよう他職種職員に情報発信しながら支援を行っています。医療保険下で運営されるデイですが、介護保険サービスと併用される対象者がほとんどである為、それらのサービスの利用状況も踏まえながら家族様の介護負担軽減に向け情報提供も行っています。また昨年10月より当院周辺地域を対象とした認知症カフェ「てらおかふぇ」を開催し、地域住民の認知症への理解を深めることや認知症の方を介護する家族を支援していく取り組みも始めています。

職場紹介エバーグリーン病院

 

 

 

 

 

 

 

⑤ ◆つぶやきコーナー◆ 「いろんな意味で日々モヤモヤ?!!」

 

涌谷町町民医療福祉センター 仙石健治

先日(11月初めだったかな?)、広報部のHさんからの久しぶりの電話があり、何かいい話かと思いきや内容は何と「原稿依頼!!」。他からの依頼なら即答で断るところをHさんからの頼みでもあり、今回も快諾(笑)。いろんな人に「言いたいこと」「書きたいこと」は沢山ありすぎて、何を書くか悩んでしまった(心の中ではモヤモヤ感がいっぱい!!)。
まずは最近の近況を報告しよう。私の身体的な変化としては、目は近眼・老眼、耳はやや難聴。大分前に訪問リハ勤務時に捻挫した右足関節が、天気・疲労で時々痛む。肩は交互に五十肩でほぼ年中痛く、腰痛も再発。12月初めには仕事中に肋骨にヒビが入り、完治しないままの年越し。そして元日から風邪を引き、仕事始めはかすれ声。そして、完治するのに1か月もかかってしまうありさま(ん~年を取った感じがするなあ)。気が滅入りながらも担当ケースとはしっかり向き合っている。
この原稿の依頼があった後にやっと担当ケースが減り、その他の業務も一段落して気分的に少しほっとしていた。だが、そんな状況はそう長くは続くはずがなく、東北厚生局の監査、地区の在宅医療に関する懇談会、今年度の実績の検証、来年度の計画など年明けからバタバタした日々を送っている。春から秋までずっと担当ケースが多い中で、学生指導、管理業務、他部署との調整、上司との打ち合わせ、各種会議等々。10年前なら難なく複数の課題を処理できていたことだが、徐々に処理能力スピードも遅くなり、忘れることもたびたび(ため息の連発)。しかし、中堅以上のOT、PTがしっかり役割を果たしてくれているので、いつも助けられている。・・・スタッフに恵まれているなあと常々感じている(感謝!感謝!!)
当施設は複合施設で行政の仕事や外部の関係機関との関わりも深い。このような環境の中で、私たちは常にリハビリ専門職としての「プロ意識」を持って、患者・住民に接している。そのためには、OTとしての基礎知識以外に、「自分で考える」「主体的に学ぶ」「失敗して次に活かす」「自ら聞いて覚える」「その場の空を読む」「周りのスタッフへの気遣い(協調性含め)」などの姿勢・態度・行動が必要である(このことは、いつも実習生に言っていることでもある)。
みんなも一度、今の自分の「OTとしての仕事」「行動」を見つめ直してみてはどうか?
私もこの原稿を書きながら過去を振り返り思ったことは、患者・利用者・住民のため、地域のため、職場のため、若いリハスタッフのために、もう一踏ん張りしなきゃいけないなと思ったことである。
今回はこのあたりで「ぼやき」でもあり、「つぶやき」を終わりにしておこう。まだまだ「言いたいこと」はたくさんあるが、また機会があったら書くことにしよう。

 

⑥ ◆イクママより◆

 

東北薬科大学病院 丸山美希

東北薬科大学病院に勤めている4年目の丸山と申します。現在駆け出しの新米ママです。妊娠中は特にイクメン・イクママのページを見ることを楽しみにしていましたが、自分が書くとなると何を書いたらいいのか迷ってしまったので、子供が産まれてから感じたことを書いてみました。
私は昨年の秋に長女が産まれました。出生時、少し小さく産まれた娘は一時保育器に入っていました。現在は体重も倍になり、首もすわり寝返りの練習に意欲的でどう寝返ろうか試行錯誤の毎日のようです。私も体を誘導したり、おもちゃで気をひいたりしてまるでリハビリしている感覚になって過ごしています(笑)。
育児のことは決して甘く見ていたわけではないけれど、数時間置きの授乳、オムツ交換、寝ぐずり、理由もわからないぐずぐず…自分の生活リズムが一変し産まれてすぐはその生活に慣れることと育児で精一杯でした。育児書通りにいかない育児に追われ、退院後1ヶ月は正直“育てる”ということに必死で自分の子供という実感は湧かない時期だった気がします。
それでも娘は成長していきます。少しずつ出来ることが増え、生後3ヶ月になる頃には私に微笑みかけてくれるようになりやっと母としての実感が湧いてきました。子供が笑顔を見せると今までの大変なことは帳消しになるとよく聞きますが本当にその通りでした。
産休をいただいてから半年が経とうとしていますが、日常生活に作業療法はありふれてるなと職場を離れてから特に実感することが多くなりました。娘が産まれ私は母という新たな社会の役割を獲得しました。また、娘もこの世に産まれ日々学び“ヒト”としての役割を模索中です。妻であり、母であり、職員でありそれぞれの立場は違うけれど社会を形成し、環境に適応するように生活しているのだと思います。
私も育児をしているからか最近ニュースや、ドラマで出産・育児の話題がよく目にとまるようになった気がします。それぞれ環境や生き方が異なり本当に子育ては十人十色だと実感します。娘と一緒に生活していく中で今度は母としての観点を取り入れたOTが復帰後に行えるよう、娘の成長に置いて行かれないよう育児に今日も奮闘しています!

編集後記

今号のトップ記事、県士会活動への誘いに通じますが、私は縁あって(先輩に誘われて)1年目から広報部に所属しています。今年度は7年目でした。7年間の県士会活動を振り返ってみると、誘われて始めたものではありましたが、次第に自分の役割だという自覚が生まれ、取り組む中での経験が、自分を成長させてくれたと思います。まだ、絶やさず発行することに精一杯で失敗も多いですが、原稿作成へのご協力をしてくださる方への感謝の気持ちを忘れずに取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。川勝

県士会ニュース137号 2015.12.10

2015.12.10
県士会ニュース

目次

① 新副会長挨拶 … 大内義隆
② 新理事紹介 … 稲毛義憲
③ 新任部長紹介 … 藤井貴
④ ◆研修会参加◆ 福祉用具使ってますかっ!!「車いすクッションの選定と適合性」ワークショップ開催に携わって … 今井卓馬
⑤ ◆研修会参加◆ 第26回東北作業療法学会を通して … 相原笛
⑥ ◆職場紹介◆ 仙台オープン病院 … 今野菜美子
⑦ ◆職場紹介◆ 仙台市南部発達相談支援センター … 千田由美
⑧ ◆つぶやきコーナー◆ 多生の縁 … 戸田祐子
⑨ ◆イクママより◆ 田邉飛鳥

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① 新副会長挨拶

 

介護老人保健施設なとり 大内義隆

作業療法士として19年目になり、福島県にある枡記念病院から宮城県の介護老人保健施設なとりに移ってからは、約13年が経ちました。宮城県作業療法士会の主な活動としては、平成23年度から理事(学術部長)として関わらせていただき、今年度からは副会長に任命いただきました。
さて、平成27年度の介護保険改定は、リハビリテーションの原点回帰とも言われています。リハビリテーションの本来の目的であるより良い生活や人生の構築に向けて計画的に取り組むことが重要視されています。その中で生活行為向上マネジメント(MTDLP)のコンセプトが反映された生活行為向上リハビリテーション加算の新設に代表されるように、作業療法に対する期待が高まっているように感じています。一方で、各現場の状況としては、作業療法士と理学療法士のプログラムに差がないなどというデータも示され、われわれ作業療法士は、その役割を見つめ直すことが必要となってきています。
宮城県においては、平成27年度から宮城県地域包括ケア推進協議会を設立しました。これは、京都、広島に次いで、全国でも三番目の取り組みです。村井知事をトップに、宮城県医師会、地域包括支援センター連絡協議会、ケアマネジャー協会など官民46団体が参加しています。私自身も、宮城県作業療法士会の代表として、道又会長とともに委員となっています。そのような中で、宮城県や各市町村との関わりも増えてきており、リハビリテーション専門職として、理学療法士や言語聴覚士との連携、医師や看護師、介護支援専門員との連携を図ることは重要です。しかしながら、先に述べたように、作業療法士の役割が周囲に理解されない中で、また各現場で作業療法士が作業療法を実践出来ていない中で、意味のある連携を構築することは出来ません。
私は、作業療法士の活躍の場は、今まで以上に広がっていくと信じています。そのためにも宮城県作業療法士会としては、「作業療法士の形」を共有しながら、会員の皆様と共に学び、地域貢献していくための仕組み作りが必要と思っております。
今後とも、県士会活動に対する皆様の積極的な参加をお待ちしております。よろしくお願い致します。

 

② 新理事紹介

 

東北福祉大学 稲毛義憲

はじめまして、という方が多いかと思います。
宮城県士会に入会したのが平成20年4月。それまでは山形県士会に所属して仕事をしていました。現在は東北福祉大学健康科学部で教鞭を、せんだんホスピタルでは臨床をと二足のわらじを履いています。山形に自宅があるために毎日奥羽山脈を越えて通勤しています。モンテディオ山形とベガルタ仙台のみちのくダービーでは心が引き裂かれるような思いで応援しています。こちらも二足のわらじです。
専門は精神科作業療法ですので、県士会では精神領域における作業療法の普及・啓発に特に貢献していきたいと考えています。まずは会員互いの実践現場を知り、顔の見える関係を作っていくことが必要だと考えています。
当年とって53歳。ロートルに差しかかっていますが、少ない力を振り絞ってみますのでどうぞよろしくお願いします。

 

③ 新任部長紹介

 

東北保健医療専門学校 藤井貴

この度、学術部長を拝命いたしました、藤井貴と申します。現在は、養成校の教職員として勤務する傍ら、学術部の活動に参画しております。宮城県作療療法士会の学術部は、①「みやぎ作業療法」の企画及び発行②「宮城県作業療法学会」の協力及び支援③「宮城県作業療法研究・事業助成事業」の整備及び周知の3点を主活動として行っております。
ご承知ながら、日本作業療法士協会の定める倫理綱領では「学術的研鑽」が掲げられています。また、職業倫理指針においては、「作業療法の発展と作業療法学に貢献することが期待される」と示されています。専門職としての責務を果たす上において、綱領や指針は、我々が眼目すべきものであると考えます。
しかしながら、専門職に課せられた努力義務と捉える側面だけでなく、我々には作業療法及び作業療法学に寄与する機会が与えられているという理解も可能なのではないでしょうか。会員の皆様方が日々の実践で得た知見について、研究という形でその成果が得られますよう、また、発表する場を提供できますよう、学術部として後方支援してまいる所存です。よろしくお願い申し上げます。

 

④ ◆研修会参加◆ 福祉用具使ってますかっ!!「車いすクッションの選定と適合性」ワークショップ開催に携わって

 

公立黒川病院 今井卓馬

去る平成27年10月31日に仙台市シルバーセンターにて「福祉用具の日」記念イベントが開催されました。今回のイベントは宮城県作業療法士協会 福祉用具相談支援委員会 委員長の大場薫氏による、ワークショップ「車椅子クッションの選定と適合性」、日本シーティングコンサルタント協会 理事の木之瀬隆先生による、セミナー「車椅子シーティングと走行性」の2部構成となっていました。私は今回、福祉用具相談支援委員として1部目のワークショップの運営側として関わらせて頂きました。当日は、参加定員30名を大きく上回る58名の申し込みがあり、遠くは福島、山形から、また一般の方が対象でしたが、施設、病院、在宅サービスに携わる専門職の方の参加もあり、その関心の高さに驚かされました。

福祉用具の日①

福祉用具の日②

 

 

 

 

 

 

今回のワークショップは「車椅子のクッションの特性や利用者への適用をイメージすること」を目的としていました。内容はグループ毎に素材の違う7種のクッションに交代で座り、各自で感想を専用のフローチャートに項目ごとに5段階評価で記入するというシンプルなものでした。クッション素材に対する事前の座学(情報提供)なしに、実際に自分でモノに「触れ」、「座り」、「考える」体験をして頂けたので、今回参加した方々には今後モノを見るキッカケとなって頂ければと思いました。

「車椅子クッションをご利用者の方に提案するのに自分が座ったことがないし、クッションの事、知らないの、いけないなって思って・・・。」「自信なく提案するのは、相手に悪いなと思って今日来たんです!」というケアマネさん。「家族が今度、特養に入所が決まったんです。誰に相談すればいいかわからなくて来ました・・・。」というご家族。今回のワークショップの運営に関わり、福祉用具に対する関心は作業療法士以外の職種、家族も高い!と感じました。ご利用者、家族の方々のためにも、またこの様なワークショップを開催し、今後、県士会の方々と一緒に福祉用具についてお話できる機会があれば良いなと感じました。

 

⑤ ◆研修会参加◆ 第26回東北作業療法学会を通して

 

仙南中央病院 相原笛

今回、二日間にわたって参加した学会では生活行為向上マネジメントについての発表が多く、それを用いることで、治療者と対象者との間で目標のすり合わせができているようだった。障害後、現実的に今後の生活を考えることが難しくなることがあるが、患者さんのニーズに近づくにはどのようなことが必要か、多角的に共に考えられるようになっていると感じた。対話が増え、患者さんから治療目標の合意が得られたり、治療者が勝手に対象者のニーズを決めつけ治療が進められるリスクが減ると思われる。
特別講演の中では作業療法士の多くが様々な要因から機能訓練に重点を置いてしまい、本来の生活行為の向上、社会参加の促しに至っていなかったという事が述べられ、自分自身も改めて作業療法士として患者様をどのように導いていくべきか考えさせられる機会となった。生活行為向上マネジメントを取り入れることで機能訓練だけではなく患者様が望む生活を意識した関わりが持てるのだと事例発表を通して学ぶことができた。
しかし今回の発表の中では当病院のような精神科領域では生活行為向上マネジメントを取り入れた事例はなかった。確かに生活行為向上マネジメントは取り入れてみたいとも思うが、それに沿った進め方をするのは精神科の患者様には難しい点も含まれている。
生活行為向上マネジメントでは意識障害や認知機能障害、妄想などにより患者本人との疎通が困難であると使用が難しいように思われる。本院で使用するイメージも持ちにくい。ただ、日頃から患者さんや他職種にOTについて具体的に理解されづらいことは感じており、生活行為向上マネジメントのOTを「見える化」するという良さは感じている。課題や不安はあるが、まずは挑戦し、どのような結果が得られるか実践してみたいとも感じた。

 

⑥ ◆職場紹介◆ 仙台オープン病院

 

今野菜美子

【病院紹介】
当院は昭和51年に紹介・外来型の医師会病院として設立され、全国で第一号の地域支援病院として地域医療への貢献にも努めています。
診療科目(全19科)
●病床数● 一般病床330床(うち人間ドック10床、救急専用37床)
●リハビリスタッフ数● 理学療法士:3名、作業療法士:1名、言語聴覚士:2名
●リハビリ対象疾患● 消化器・循環器外科疾患、内部障害、廃用症候群、がんなど

【作業療法紹介】
当院では、術後や治療に伴う長期臥床による廃用症候群の進行予防と身体機能・ADLの改善などを目的に、平成22年に現在のリハビリテーション室が開設されました。高齢社会に伴いリハビリテーション(以下、リハビリ)の需要・意義は拡大しており、より多角的なリハビリの実施のため平成26年度より新たに作業療法が始まりました。
現在、当院では手術や内科的治療に伴う廃用症候群、嚥下機能低下による誤嚥性肺炎、がんなどを中心に多岐に渡り作業療法を実施しております。
リハビリ内容としましては、早期の離床・退院を目標に、起きる・立つなど基本的な動作の練習や、食事・排泄など日常的な身の回り動作の練習などを中心にリハビリを実施しております。また、せん妄や認知機能障害を呈した方に対しては、生活リズムの改善や活動性の向上を図るべく、作業活動を通したコミュニケーションや趣味活動の提供等も行っております。
今後、平成30年には救急センター棟を含めた新病棟が完成予定となっております。そのような中で、心大血管リハビリやがんの緩和ケアなどリハビリの拡充を進めるため、リハビリテーション室が一丸となって日々研鑽しております。作業療法としましては、今後新設されるがんの緩和ケアに取り組むため、がんリハビリ研修への参加等の準備を進めております。
病院全景

 

 

 

 

 

 

⑦ ◆職場紹介◆ 仙台市南部発達相談支援センター(南部アーチル)

 

千田由美

【施設紹介】
仙台市発達相談支援センター(以下「アーチル」)は、子どもから大人まで、仙台市に住む発達障害のある方と家族が地域で生活していくための相談支援を行うセンターです。発達障害のある方とその家族が地域で安心して生活するためには、地域の方々や日々関わる支援者などの理解やサポートが必要です。アーチルでは、支援を求めている本人や家族との「早期出会い」と乳幼児期から成人期にわたる「生涯ケア」の実現を目指し、一人一人のニーズに応じて、関係機関と連携しながら一貫した支援を行っています。
※「アーチル」とは「アーチ(橋)」と「パル(仲間)」とをかけたもので、センターが障害のある方と市民の「架け橋」になるようにとの願いを込め、市民公募によってつけていただいた愛称です。南部アーチルは、若林区と太白区にお住まいの方を担当しています。

対象は、脳性麻痺などの運動障害や知的障害、自閉症、学習障害など発達障害やその心配のある乳幼児期から成人期の方とその家族です。そして相談支援は、医師、保健師、保育士、教員、ケースワーカー、心理判定員、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士などがその方のニーズに合わせてチームを編成し行っています。

【乳幼児期の相談支援】
0歳から就学前までの子どもについて、「ことばが遅い」「運動発達が遅い」「動きが多い」「お友達とうまくかかわれない」「発音がはっきりしない」などの相談に応じています。小集団で子どもの育ちに不安を抱えながら子育てしている保護者の「なんで?」「どうして?」「こうなりたい」を一緒に考える場として、初期療育グループによる支援も行っています。

作業療法士もニーズや子どもの状況に合わせて相談に入っており、対象児の状況も未定頸で日常的に医療的ケアのある子や落ち着きのない子、不器用な子と様々です。その中で発達面や神経学的所見、感覚面や遊び、コミュニケーション、ADLなどの評価を行い、来所だけでなく家庭や所属する施設に訪問しての支援も行っています。

 

⑧ ◆つぶやきコーナー◆ 多生の縁

 

仙台青葉学院短期大学 戸田祐子

私は平成3年、病院に併設する形で開設準備中の介護老人保健施設に就職しました。開設準備と並行して、先輩方のいる介護老人保健施設で学ばせていただきました。試行錯誤の毎日でしたが、就職して5年目に初めて5日間の長期研修の機会をいただきました。ただし、宿泊、旅費は自費で・・・。研修開催地は東京と大阪。「自費なら遠慮なく遠くへ行こう!」と大阪の研修に申し込みました。研修参加者は東北からは私のみ、北海道から1名と他はすべて関西、四国、九州地方の方ばかり。既に介護老人保健施設で働いている方、これから開設するために受講している方など年齢も立場も経験年数もバラバラ。それぞれの立場から色々な意見が出て毎日が刺激的でした。
この研修の前年、阪神淡路大震災がありました。研修で親しくなるうちに、震災の被害状況や想像も絶するような体験を聞き、胸が苦しくなりました。と同時に、私は震災復興のために何もしていなかったと後ろめたい気持ちになりました。
研修終了後も連絡を取り合い、東北温泉ツアーを組んで遊びに来るなど交流がありましたが、それぞれライフスタイルの変化に伴い、行き来することが減っていました。今年の年賀状で、メンバーの一人の住所が大阪から岩手県宮古市に変わっていました。何があった?気になり年賀状に書かれていた電話番号にすぐにかけました。すると、彼女は「20年前の震災の時にたくさんの支援をいただいたから、今度は自分が力になりたい」と宮古市で東日本大震災復興事業の一環として活動していました。彼女の職場は、理学療法士Yさんの名前がついています。Yさんは震災時に車椅子の女性を避難させようとして津波に巻き込まれ命を落としたそうです。そしてYさんは、本学の前身であった専門学校の卒業生でもありました。このご縁があって今年8月に約20年ぶりに再会し、彼女からYさんのこと、ご両親との交流の様子を聞きました。直接お会いしたことのないYさんが再び私たちを会わせてくれたように感じました。袖振り合うも多生の縁。思い立って大阪に研修に行って知り合った方とこうしてまた長い時を経て同じ時間と思いを共有できる。人と人との縁とは不思議なものです。どのような関係であってもご縁があってこそ。今何か行動を起こそうか迷っている方、行動の先には人生を彩るご縁が待っているかもしれませんよ。

 

⑨ ◆イクママより◆

 

涌谷町町民医療福祉センター 田邉飛鳥

私は涌谷町町民医療福祉センターに勤務しております、田邉と申します。OT歴、当センター勤務歴共に10年になります。私にとって高校生の時初めてOTを見たのが、当センターであり、更には治療実習もお世話になるという、私のOTのすべてがあるような職場です。
さて、私の子育て…とても書けるようなものはないので、今のバタバタした日々を書いてみたいと思います。
私には4才0才の二人の子供がおり、現在育児休暇中です。4歳の長女は我が強く何でも自分でやりたいお年頃、自分がやる~!!こうやるのぉ~!!→もーいいからー早くしなさーい!!と大騒ぎの毎日。育児書によれば[早くしなさい]は親の都合、時間に余裕を持って…なんて到底できない私の育児です。おしゃべりも達者な娘。そして時々、方言や訛りまで自分の口調にそっくりな事に気付いてはマズイ…と反省する日々。本当に子は親を写す鏡です。子育ての難しさ思い知らされます。
そして、長男0歳、現在やっとの事で入れた保育園の慣らし保育中。ずっと私と一緒だった日々から集団生活の始まり。声が嗄れる程泣いて、私も胸が苦しくなりながらも大丈夫と自分に言い聞かせ送り出す毎日です。風邪をひき、発熱したりと心配事は尽きませんが、少しずつ慣れ保育園でも笑顔をみせるようになりました。
先日の事、長女が長男にトントンしながら、[保育園はねお家の人は居ないけど、先生とかお友達いっぱ~い居るし、紙芝居とかおもちゃとかあるからさみしくないんだよ、大丈夫だからね]と小さな声で言っているのを聞いて思わずウルウルした親バカな私です。娘の弟を思う優しさに触れ、私の子育ても間違ってなかったかな…と少し安心したり、そんな毎日です。
復帰を目前にし、改めて仕事と育児を両立させることができるのは、家族や職場の皆様の理解があっての事です。本当に感謝です。OTとして母として私なりに精進して行きたいと思います。とりとめのない文章をお読みいただきありがとうございました。

編集後記

今年も残りわずかとなり徐々に風も冷たくなってきましたね。テレビをつけると大雪のニュースを目にするようになり、「また冬が来たなぁ」と実感しています。皆様も雪が降った際は運転に気をつけて事故のないようお気を付け下さい。菅原

県士会ニュース136号 2015.9.13

2015.09.13
県士会ニュース

目次

① 新会長挨拶 … 道又顕
② 第49回日本作業療法学会を通して … 虎岩辰弥
③ 高次脳機能障害者への自動車運転再開への取り組み … 菅野俊一郎
④ イクメンより … 高橋典雅
⑤ つぶやきコーナー:Sさんのこと … 神先美紀

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① 新会長挨拶

 

広南病院 道又顕

今年度の総会で選任され、6月1日付で会長職を拝命いたしました道又です。会員の皆様、宜しくお願い致します。県士会活動では平成16年度から学術部で活動してきました。平成18年度から理事として、平成23年度からは副会長として県士会の役員を務めてきました。その中で宮城県作業療法士会のことをどのくらい理解して活動してきたのだろうと、今回、宮城県作業療法士会の歴史を振り返ってみました。私もそうですが、若い会員の皆様はあまりご存じない方も多いと思いますので紹介したいと思います。

宮城県作業療法士会は昭和57年(1982年)に任意団体として設立されました。この時の理事数は1名(会長のみ)、会員数は17名でした。初代会長の秋藤一夫先生は7期13年間の任期を務めていたようです。2代目会長の大橋秀行先生は1期2年、3代目会長は現在の日本作業療法士協会副会長で精神医療センターの香山明美先生です。2期4年の任期を務めていました。4代目会長は再び大橋秀行先生が1期2年務めています。平成15年度からは5代目会長として、東北福祉大学の佐藤善久先生が3期6年務めました。この頃にちょうど法人格取得に関する議論が行われました。そして平成21年度から昨年度まで、6代目の会長として東北保健医療専門学校の上遠野純子先生が3期6年間を務めました。会員数の変化としては発足当初の17名から10年で62名、20年で283名、30年で711名と増加しています。そして現在の会員数は807名となっています。この人数の力を集結して職能団体として社会貢献に寄与できることは何でしょうか?会員の皆様と一緒にさらに考えていきたいと思っております。

刻々と過ぎる日々、世の中は変化してきています。日本は諸外国に例を見ないスピードで「少子高齢化」が進んでいます。このことは現在の社会問題となり、国の政策として地域包括ケアシステムが構築されていることは皆様がご存じのことと思います。昨年度よりブロック会を中心に地域包括ケアシステムに作業療法士として県士会としてどう関わっていくべきかをお話ししてまいりました。また、県の会議などに出席するたびに、行政施策の大きな変遷により、地域社会での作業療法士を含めたリハビリテーション専門職への期待は高くなってきていることを感じております。まだまだ、不十分ではありますが県や各市町村の要請に応えられるように、組織および人材育成を進めている所です。会員の皆様のご協力の程、引き続き宜しくお願いします。

最後になりますが「継往開来」という言葉があるように、過去の歴史を振り返り、先人が取り組んできた事業を受け継ぎ発展させながら未来を切り開いていくことが必要だと考えております。そのためには個人の力だけではなく全体の力を結集して取り組んでいかなければなりません。県士会活動の活性化のために尽力させていただきますので、なお一層の会員の皆様のご協力の程を宜しくお願いします。

 

② 第49回日本作業療法学会を通して

 

東北薬科大学病院 虎岩辰弥

今回の日本作業療法学会は、兵庫県で27年ぶりに開催されるとのことで、参加者は去年のWFOT(世界大会)のときよりも多い見込みであったそうです。神戸空港から電車で10分、駅の近くであったため仙台空港からのアクセスは抜群でした。会場はポートピアホテルと神戸国際展示場の2か所で行われ、ひとつ道路を挟んでの会場であったため、外にもOT学会参加者が多くみられ、周囲とは異なる雰囲気で盛り上がっていました。

ホテルの大きい会場でシンポジウムやその他の発表、さらに広い会場でポスター発表が繰り広げられていました。シンポジウムは大きい会場でも中に入りきらず、今回の大きなテーマ「温故知新~五十路を還り将来(みらい)を展ぶ~」に関する講演を聞こうという立ち見での参加者が多く見受けられました。今回は、義手の看護師のバイオリン演奏や、漫画家の方が認知症の母との関わりや介護の実態をマンガにした話など、医療職以外の目線に立った公演に心を打たれ、障害に対して少し視点を変えて考えることができました。また、障害を障害としない強い気持ちが「その人らしさ」をさらに引き出したり、自分の能力以上の実力を発揮する……対象者への関わりや対象者にかけるほんの一言が「その人らしさ」を引き出すことになるというOTの役割の重要さを感じます。

その他の発表でも、OTだけでなく医師や多職種からの質疑・応答もあり、医療の在り方や医療間の意見交換等、職種のアピールの場にもなる全国学会が示す大きな意味を感じることができました。ポスター発表では発表者と直接対話ができ、自分の経験と照らし合わせて意見の交換をし、時間が足りないくらい充実した時を過ごせました。

物品展示のコーナーでは各業者のブースでの体験の他、今回は兵庫県の名物を中心とした屋台が並んでいました。また、アクティビティ体験やクイズラリーなど講演や発表以外の企画にも力が入っており、兵庫県士会や学生さんの運営に感謝したいと思います。

 

③ 高次脳機能障害者への自動車運転再開への取り組み

 

坂総合病院 菅野俊一郎

はじめに
当院では平成25年度に自動車運転支援チームを立ち上げ、主に高次脳機能障害を呈する脳卒中患者へ支援を行っている。

なぜ高次脳機能障害を呈する患者に運転支援が必要か?
平成13年までの道路交通法は精神病者、精神薄弱者、てんかん患者、目が見えない者、耳が聞こえない者または口がきけない者、政令で定める身体に障害のある者、アルコール等の中毒者については免許を与えず、これらに該当する者となった時は免許を取り消すこととされていた。平成13年の道路交通法改正では病名で一律に欠格事由として排除せず、運転免許センター内の公安委員会にある運転適性相談を行い相対的に判断することとなった。
特に「自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する病気」という部分に高次脳機能障害が当てはまると考えられる。そのため、高次脳機能障害を呈する患者が自動車運転再開を希望した場合、評価を行った上で公安委員会の確認が必要である。

高次脳機能障害を呈する患者にどのような評価を行うべきか?
自動車運転に関する文献や書物が多数出版されており、当院もそれを参考に包括的自動車運転評価を行っている。具体的にはインテーク面接、院内評価、実車評価を行い、結果を医師報告する。医師が必要に応じて診断書を記載するという流れである。
特にインテーク面接が重要であり、評価の必要性を理解してもらうことが第一歩である。そのためには法律だけではなく過去の事故例や民事的責任などを本人、家族を交え行う。十分に時間をかけて説明することで事故への認識や評価への協力が得られやすくなることが多い。
また、当院では実車評価を近隣の教習所で行っている。実際場面で認知、予測、判断、操作を評価できる面で実車評価は有効といえる。教習所と関係を持つ上で気をつけていることは、教習所に自動車運転再開の決定権がないため、合否の判断を求めないことである。運転の合否は教習所でも病院でもなく公安委員会が判断するものであり、当院では評価の一部として乗車しアドバイスを貰う姿勢で行っている。

最後に
近年、脳卒中後やてんかんを有する方の自動車運転事故ニュースを目にする機会が増えた。医療従事者は必要に応じて患者を運転適性相談へ誘導し、適切な自動車運転再開を進めることが大切である。
当院も良い支援を行なっていけるようチームのメンバーと共に日々精進していきたい。

 

④ イクメンより

 

仙南サナトリウム 高橋典雅

みなさんはじめまして、私は白石市にある精神科の病院に勤めています高橋と申します。私には妻と4歳の娘がいますが、私は6時15分頃に家を出てしまう為、娘と触れ合う時間が帰宅後の僅か1~2時間しかありません。よって育児の殆どを妻任せになってしまい、妻には感謝の気持ちと、娘には淋しい思いをさせてしまっているという気持ちでいます。

さてこんな私が“イクメン”という事で原稿依頼を受けたのですがイクメン?と考えて何ができているのだろうか?私がやっていることといえば帰宅後の時間と休日に全力で遊ぶことと、趣味である園芸を通して食育の真似事くらいでしょうか?こんな一人の父の姿を書いてみようと思います。

まず全力で遊ぶことで娘は喜んでくれますが、私の体力が持ちません!そこで最近では、遊びながらの筋トレやストレッチをはじめました。子どもと遊びながらできるかなぁ?と勝手にいい方へ考えていましたが、娘はとても喜んでくれました。初めは数回しかできなかった筋トレが次第に数をこなせるようになり、娘との遊ぶ体力が付き、抱えての移動が楽になりました。そして、なんと仕事場面でも患者さんと関わる際に体の使い方や体力面で楽になったと思うことが多くなり、体は父としても大切ですが、セラピストとしても大切なのでは?と改めて気が付かされた瞬間でもありました。

次に、私の趣味の園芸を娘とすることで食育の一環になればと思い行っています。始めたきっかけとして、“最近の子どもは野菜が店で作られていると思っている”と聞いたことです。我が子には種から芽が出て、成長には土や水、太陽などが必要であるのだと感じてほしく、また食べ物の有難さ、大切さを感じて欲しいと思っています。そんな私の思いを知ってか知らでか、娘は野菜の成長を報告してくれることがあり、食事では自分で育て収穫したからと、苦手だったトマトをいっぱい食べてくれました。まずはこれくらいでも食育大成功と思っています。そして、“自分がやったから○○○できた”という経験は大切ですよね。そんなことも教えられ気が付かされる一面でもありました。

最後に私事ではありますが、この初秋に娘はお姉ちゃんになり、私は二人の子どもの父になります。下の子も同じように精一杯の愛情を込めて育てていきたいと思っています。そして是非、みなさんも体調に気を付け、育児を通し“気付き”をもらっていただければと思います。

 

⑤ つぶやきコーナー:Sさんのこと

 

宮城病院 神先美紀

友人Sさんのことを書きたいと思います。始まりは、私の中学校からの友人Mからの誘いの電話でした。Mは、ある人にプール通いを勧めていて「プールで歩くことを教えたいから手伝って欲しい」とのことでした。ある人とは、私が以前リハを担当していた女性のSさんでした。「いいよ」と引き受けたことで数年ぶりの再会となりました。Sさんは、左片麻痺で、装具をつけてのT字杖歩行、上肢は殆ど動かない状態です。家事も仕事もバリバリこなす50歳代の発症、私と友人Mよりも数年年上です。退院後、しばらくして「いけ花教室」を再開していましたが、外に出る機会は少なかったようです。親しくしていたMは、Sさんにもっと外に出てほしいと考えていたようでした。

Sさんにとって初めてのプールの日、左足が水の中で浮いてしまうために怖がるSさんでしたが、Mは抱きかかえる役、私はSさんの左足を下から押して、Sさんが踏みしめやすくする役です。2人でなんとかSさんを水の中に入れることができました。温水プールの1コースを貸し切っているので、他の人を気にする必要もなく、ゆっくりと進んで25メートルを歩きました。Sさん曰く、「怖いけど、うれしい」初プール体験でした。プール通いも回数を重ねるうちに、私の役目は手で膝を少し押すだけになり、そのうちお役御免となりました。そこから始まるSさんとの友達関係は、3人での食事会、文通、Mと私がSさんのいけ花教室へ参加することになるなどと広がっていきました。

Sさんは、入院中の私とのOTについて、思い出したようにいろいろ話をしてくれるのですが、最初に手紙で書いてくれたのは、OTの時に「私のボーダーのシャツを、(神先が)さらりと詠んでくれたのを思い出した。」とのことでした。よく似合っていたのでなにか文を書いて渡したようでした。そして、俳句をたしなむSさんは、以前詠んだご自分の作品を5つほど手紙に書いてくれました。情景が浮かぶ俳句で、絶品でした。

いけ花教室には、10人ほどのお弟子さんがいました。私のいけ花初体験はとても刺激的でしたが、それよりもSさんの生き生きとした表情、椅子に座り麻痺側に大きく傾きながら覗き込んで作品を見て、手直しをしたりほめたりアドバイスしている姿、お弟子さんと活発におしゃべりし大笑いする声に驚きました。Sさんは「プールは挑戦、いけ花教室は私を待ってくれている人たちがいる大切な居場所」と言いました。そして「俳句は、今は詠めないの」と苦笑していました。作業は人を元気にする、作業にはその人その人の過去と今があるのだなと、実感する日々です。

広報部からのお知らせ
① 会員アドレス登録について
会員の皆様!!ホームページ更新のお知らせ機能への登録(メールアドレス登録)はもうお済でしょうか?
登録しないと、県士会の研修会や他団体の研修会などの情報をいち早く入手できないので、不便ですよ!? 会員向けのお知らせ・ニュース更新も随時メールでお知らせします。
会員の皆さん全員に登録してもらうことで、今後さらに情報発信のツールとして士会活動に活用していく予定です。
登録する際は、こちらをクリックしてください。
尚、ご不明な点などありましたら、ホームページ内の「お問い合わせ」からアクセスしていただけますようお願いいたします。

② 一般社団法人宮城県作業療法士会キャラクター募集について
[募集目的]
作業療法士の活動を今よりも身近に感じてもらえるよう、様々な活動を通して情報を発信していきたいと考えています。そこで、当士会や作業療法士の活動をわかりやすく県民の皆様にお伝えするための取り組みの一環としてイメージキャラクターの募集をします。ぜひご応募ください。
[コンセプト]
宮城県、作業療法士、作業療法をイメージできるデザインであること
[募集期間]
H27年8月10日~10月30日
[特典]
採用された方には1万円の商品券が贈られます。
※詳しくはこちらをご覧ください。

編集後記

気候が変わったからなのか、自分が気付いていないだけなのか、最近、季節の変わり目を感じることが少なくなったように思います。思えば、小学生のころは夏の夕暮れ、夏の終わりと言えばヒグラシの鳴き声が聞こえて、だんだん秋の雰囲気に染まっていきました。季節の移ろいを感じるゆとりも大切だと昔の自分に教えられているような気がします。これから年末に向けて何かと忙しい時期になります。なかなか難しいことですが、ゆとりを持って過ごしていきたいものです。 川勝

県士会ニュース135号 2015.5.23

2015.05.23
県士会ニュース

目次

① 平成27年度介護報酬改定からみるリハビリテーションのあり方 … 三浦晃
② 認知症初期集中支援チームについて … 小野咲子
③ 研修会参加:第3回岩沼・仙南ブロック研修会に参加して … 菅原理美
④ 職場紹介:まーぶる株式会社 … 佐藤明子
⑤ イクメンより:子供が作業療法士としての私にもたらしてくれたもの … 山田孝弘
⑥ つぶやきコーナー:ポンコツ … 荒井豊

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① 平成27年度介護報酬改定からみるリハビリテーションのあり方

 

介護老人保健施設せんだんの丘 三浦晃

昨今、そして今後行われる医療・介護の改定は、一様に地域包括ケアシステムの構築に集約されるような方向性を持っている。これを背景に、平成27年度の介護報酬の改定は、「①中重度者や認知症高齢者への対応強化」「②介護人材確保対策の推進」「③サービス評価の適正化と提供体制の効率化」という3つの基本方針が打ち出された。①の中に、「活動と参加に焦点を当てたリハビリテーションの重視」という項目が掲げられたことは周知のことと思う。これを受けて、“本来のリハビリテーションの再構築”“リハビリテーションの原点回帰”といった言葉を見聞きするが、これは、長い間、身体機能面への働きかけに偏重してきたリハビリテーションへのテコ入れと受け取ってもよいだろう。しかも、このテコ入れは、まずは川下から開始し、やがて川上へ、…つまり介護領域から医療領域への展開が示唆されており、今は序章の段階といえる。よって、医療領域にいるセラピストも今改定の内容を十分に理解し、川下への流し方(託し方)を意識した支援を実践する必要があるだろう。では何を意識するのか?そのキーワードが「多様性のある“人生”や“暮らし方”の再建」であるからこそ、“活動”と“参加”が強調されている。勿論のこと、各領域によって力点を置く側面に違いはあるが、「一人ひとりの人生や暮らし方の再建に資するシームレスな支援」というスローガンをもった連携が不可欠となる。

さて、今改定におけるリハビリテーション関連の加算は、前述のとおり、活動と参加に焦点が当てられた設定となっている。詳しい要件は解釈通知をご参照いただくとして、ここでは、通所リハ・訪問リハにおける「リハビリテーションマネジメント加算」「生活行為向上リハビリテーション実施加算」「社会参加支援加算」の3つを関連づけながら、これらに示されている支援の方向性と実践すべき支援内容について概説してみたい。

従来のPDCA サイクルの頭に、「S:サーベイ(初回調査)」を加えたSPDCAサイクルにより、利用前の段階で、一人ひとりの人生や暮らし方の再建に関わるニーズを引き出す。これと並行して、心身機能・活動と参加・環境面の各側面とその関連性をアセスメントし、再建に繋がるような合意目標を設定する。そして、その目標達成までの具体的なプロセス・具体的な手段・具体的な役割分担をプラン化し、本人を主人公に据えて、多職種や関連事業所は勿論、家族をはじめ地域に存在するインフォーマルな資源を効果的に絡めながらチーム支援を実践していく。やがて、目標達成が間近となったり達成した場合には、自宅での自主的な習慣や役割、介護予防・日常生活総合支援事業、地域のカルチャー教室や集いの場、もしくは、デイサービスといった、参加に資する資源への橋渡しを支援する。こうした一連の支援をきちんと行い、自立度の向上の延長線上にリハビリテーションサービスからの卒業を目指し、成果に結びついた場合に、手厚いインセンティブがつく仕組みとなっている。

このように、“本来のリハビリテーションの再構築”“リハビリテーションの原点回帰”の序章として、その仕組みと舞台が用意された。いずれの事業所も今は試行錯誤の船出であろう。まずは、今改定が放つメッセージを私たち一人ひとりが受け取ることを前提とし、活動と参加に焦点を当てたリハビリテーションの形を地域一体となって創り上げていく必要がある。

「OT風が吹いている」…今改定を受けて、OTのみならず他職種からも耳にする言葉である。この風を感じ、そして乗るために、私が所属する県士会企画調整局地域支援班としても、ここに貢献できるような企画を準備中である。
最後まで読んでいただいた士会員様へ、「一緒に頑張りましょう!!!」

 

② 認知症初期集中支援チームについて

 

介護老人保健施設せんだんの丘 小野咲子

H24年6月に「今後の認知症施策の方向性について」厚生労働省認知症施策検討が始まり、「事後的な対応」から「早期・事前的対応」への方向性が重視され、「早期診断・早期対応」をする為の「初期集中支援チーム」がまとめられた(オレンジプランをご参照ください)。そしてH25年度には全国14カ所で国のモデル事業が展開され、そのうちの1つが宮城県仙台市の本庁に設置されたチームである。仙台市健康福祉局保険高齢部の介護予防推進室が事務局で、医師・保健師・介護福祉士・作業療法士の専門職が仙台市から委嘱を受け活動を開始。H25年度、このモデル事業に関わっている全国の作業療法士は19名である。

H25年度の仙台市の方針としては地域包括支援センター(以下、包括)をサポートする体制構築を目的の1つに挙げており、仙台市49包括の内、協力包括は3包括(国見・小松島・向陽台)であった。事例としては、妄想性障害を含めた、困難事例が大半を占め、鑑別診断の必要性の有無や、現在介護保険サービスを利用しているがそのサービスが適しているか。などケースカンファレンスに近い状態であり、初期集中支援とは言い難くチーム員としても悩みの多い1年であった。

2年目のH26年度は同じメンバー+薬剤師会、区の障害高齢課のメンバーも加わり、3包括も各専門職に対して、どの視点で評価して欲しいかを具体的に示すことが多くなり、訪問しやすくなった。評価の視点としては、生活実態の把握や家事能力などに対する遂行機能の評価、どの程度動けるかの身体機能評価や認知症分類の見立てが中心であった。平均的には月1~2回の訪問で多い月で4回の時もあった。

仙台市は市全域展開を見込んでいる為、3年目のH27年度は青葉区・宮城野区・泉区の3区圏域32地域包括支援センターに拡大をする。一気に包括の数が10倍になる為、相談・訪問件数がどの程度増加するか予測できない状態である。老健トラストの高橋OTも仙台市から委嘱を受けOTが2名体制になり、いずみの杜診療所もチームに加わり、今年度は2チームで対応することになる。

まだ発展途上の「認知症初期集中支援」である。宮城県士会の地域支援班でもこの認知症に対応すべき研修会を企画する予定である。関心のある方は是非参加をしていただきたい。そして、一緒にOTの強みをアピールしていきましょう!!

 

③ ◆研修会参加◆ 第三回 岩沼・仙南ブロック研修会に参加して

 

介護老人保健施設リハビリパークさくら 菅原理美

去る1月30日、柴田町船迫生涯学習センターで岩沼・仙南ブロック研修会が開催されました。テーマは「終末期の作業療法」について、松田病院の大貫操先生を講師にお招きしてお話を聞かせていただきました。私は今回の研修会に企画の段階から参加させていただいたのですが、予定での参加人数は30名以上と老年期分野以外からも申し込みが多くテーマに対する皆さんの関心の高さがうかがえました。ところが当日の天候はあいにくの大雪で欠席者も多く、開催も危ぶまれるほどでしたが開始時間を遅らせてなんとか開催することができました。

老健で最期をむかえる利用者様や、いつかはやってくる大切な人の最期など「死」が近づいている方やその周囲の方々とどのように接していけばいいのか。身内を見送る機会もまだ少ない私にとって今回の研修は「死」を考えるとともに人とのかかわり方についても考える機会となりました。研修の中ではじめて聞いた「スピリチュアル・ペイン」や「スピリチュアル・ケア」という言葉。正直なところ、スピリチュアルと聞いてもぼんやりとしたイメージしか浮かんできませんでしたが、思っている希望と現実との開きがあると苦痛を感じ、その人が苦しんでいるポイントがどこにあるのかをアセスメントして援助することが大切なのだと学びました。

対象者とともに悲しみや苦痛と向き合い、力になろう、理解しようとする思いは終末期の方だけでなく私たちが関わるすべての人に当てはめられるのではないかと思います。仕事で関わる利用者様はもちろん夫や家族、友人と話をしているときでも、どう話を聴くのか。「話を聴く」ということの大切さや難しさを感じ、仕事の場面では寄り添う姿勢とあわせて専門的な視点を持つことができるように、多くの対象者の方に理解者と思っていただけるような聴き方ができるOTになれればと思いました。

今回は悪天候の影響もあり時間を短縮しての研修となってしまいましたが、ほんとうに有意義で充実した内容だったのでもっとじっくりとお話を聴けなかったことがとても残念でもったいなかったです。もし機会があれば、他施設の方とも意見交換ができればと思いました。

 

④ ◆職場紹介◆ まーぶる株式会社

 

佐藤明子

【会社紹介】
平成26年3月に個人事業主として(まーぶる)を起業。同年7月にまーぶる株式会社となりました。
創業当初は、施設支援事業・講座開催・VOCAなどのコミュニケーション機器販売・住宅改修工事・車いすメンテナンス等を行っておりましたが、小児に特化した支援事業を行いたく、平成27年2月2日 仙台市宮城野区田子に児童福祉法に基づく児童発達支援事業・放課後等デイサービス・保育所等訪問事業を行う「多機能型支援事業所 まーぶる・びーと」を開所いたしました。

・定員数
1日最大10名(児童発達支援5名 放課後等デイサービス5名 保育所等訪問支援随時
・対象年齢
0歳~20歳まで
・サービス提供時間
10:00~19:00
・営業日
月曜から金曜日
・サービス提供地域
仙台市内(宮城野区・泉区・青葉区・太白区・若林区)その他地域
・スタッフ数
児童発達支援管理責任者兼OT1名 OT1名 指導員2名 合計4名
(平成27年7月より、OT1名 追加採用予定)
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【主なサービス提供内容】
・児童発達支援
0~6才までの未就学の時期は、発達の土台を作る時期です。体を動かすことで、自分を知り、他人を知り、社会を学びます。弊社では、様々な遊びの中から自分の体を知り、自分の体をコントロールできるようになるためのアプローチを行っています。

・放課後等デイサービス
小学校等に上がると、多くのスキルが求められます。弊社では、1人1人のお子さまの困り感に寄り添い、できる方法を本人、保護者の方と一緒に取り組んでいきます。いままでの一般的な常識に縛られず、「その子に合う方法」を見つけます。そのため、様々な機器・課題を取り入れた活動が中心になります。

・保育所等訪問支援(仙台市内初の事業認可)
障がいのあるお子さまが集団生活を営む施設等を訪問し、当該施設における障がいのあるお子さま以外のお子さまとの集団生活への適応のため、専門的な支援をおこないます。

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【対象年齢及び疾患等】
対象年齢は、0~20歳までとなり、受給者証をお持ちで児童福祉法に基づくサービスを利用できる方となります。

【まーぶるの想い】
お子さまの発達に必要な時期に①個別のアプローチ②集団でのアプローチを併用することで、お子さまの発達の可能性を広げます。主に病院でしか会うことのできなかった専門職と関わることで、お子さまの成長の早い時期に専門的支援・継続的支援を受けることが可能になり、生活に密着した困り感を親御様と地域の支援者様と一緒に検討・実行していきます。発達に課題をもつお子さまは、「地域」での「生活」を視野に「自立や社会参加」に向けた長期にわたる支援が必要です。日々成長しているお子さまを間近にして今何ができるのか。それには【早期発見】・【早期療育】・【生活地域により多くの支援があること】が何より必要だと私たちは考えています。是非、まーぶるに遊びに来て下さい。子ども達の世界を一緒に体験しませんか?

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〒983-0021 仙台市宮城野区田子字新入10-1 JKビル21 302号
ホームページ http://www.marble555.jp
メールアドレス marblebeat555@yahoo.co.jp
携帯 070-5327-3989 FAX 022-365-5776

 

⑤ ◆イクメンより◆

子供が作業療法士としての私にもたらしてくれたもの

西仙台病院 山田孝弘

県士会ニュースをご覧の皆さん、はじめまして。西仙台病院に勤務している山田と申します。今年でOT15年目になります。子供は娘が1人、現在10歳になります。今回は育児を通して得た体験を基に、この原稿を書かせて頂きたいと思います。

私は小さな個人産院にて出産に立ち会ったのですが、へその緒が首に巻きついた状態で娘が産まれたため、出産後すぐに泣かず、「手伝って下さい、医療職でしょ!」と看護師さんに半ば強引に手伝わされ、スタッフのように動きながら立ち会うという、破天荒なスタートから育児が始まりました。反射が授業で習った通りに出現・消失することに感激し、国家試験対策にて勉強した発達段階の通りに日々成長することに更に感動し(これって、「OTあるある」ですよね?)、はや10年。

娘の成長は、実に多くのものを私にもたらしてくれました。甘いものなんか殆ど食べなかった私が、娘と一緒に甘いものを食べていたら、いつのまにか苦手を克服してしまったこと。今まで全く興味なかったのに、娘と一緒に色々観ていたら、今更ながら、某「夢の国」にけっこうはまっていること等もありますが、何よりもOTとしての私に確実に影響を与えてくれました。

娘が保育園や幼稚園、小学校にて作って持ち帰ってきた作品を見て、何度職場で行う手工芸のヒントを得たか…。娘との「お父さん、今日こんな遊びをしたんだよ」という何気ない一言から、何度閃いて職場で新しいレクを行ったか…。そして娘が怪我をしたり、体調を崩したりした際に、仕事での経験を基に身体を診たり話を聴いたりしたことで、その後何度感謝されたか…。そしてその後、「OTをしていて良かった」と何度自分を顧みることが出来たか…。数えきれない程です。娘と、そしてその娘を産んで、一緒に育児をしてくれる妻に感謝です。

その甲斐もあってか、現在、娘は手芸でぬいぐるみの服を作ることが趣味という実に将来のOTらしい一面を発揮してくれています。

OTの皆さん、機会があったら、是非育児を体験してみて下さい。育児は間違いなくOTとしてのあなたの幅を広げてくれますよ。

 

⑥ ◆つぶやきコーナー◆ ポンコツ

 

青葉病院 荒井豊

1年が過ぎるのは年々早くなっており、自分の年齢さえも数えられなくなってきている今日この頃、幼子2人に振り回され、運動会でも親子リレーに出ようものなら自分のイメージと足の動きがまるで合わず、一歩間違えればすぐにでも転げてしまいそうなことも度々・・・。キモチは若いつもりでいても確実に老化は進んでいることを思い知らされる出来事が増えてきている。40歳半ばを超えた頃から自動血圧計での値が変わりはじめ、「機械だと高いんだよね」などと理由付けをしていたがそれも2~3年も続くとごまかせなくなり、薬の服用が決定。これがケチの付き始めでその後は、十二指腸ポリープ、総胆管結石、TFCC損傷、内痔核、乾癬、大腸ポリープ、おまけに涙もろくもなり・・・。毎年増え続ける病気と通院地獄に「だいぶポンコツになってきたんだなぁ」としみじみ。

ポンコツはポンコツなりにちゃんと整備すればまだまだ大丈夫と一念発起し、ジムにでも通って体を作り直すぞ~。なんて面倒くさがりの私にはできる訳もない。そうか。病気になるということは体力の衰えはもちろんだが、気力が出てこない、つまりストレスを発散できていないことが原因だな(かなり無理矢理)という訳で、自分の趣味をもう一度考えてみることにした。
若い頃は1年365日のうち330日くらいパチンコに明け暮れていたが、子供が生まれてからは誕生日プレゼントということで1日やらせてもらえる程度になったし、テニスやゴルフも簡単には出来ない。健全に屋外できれいな空気をいっぱい吸って楽しく遊べて子供も喜ぶことということで閃いたのは、「東北楽天ゴールデンイーグルス」だった。

爺婆も巻き込んで、まずは形からとユニフォームから帽子、マフラーなどグッズを身にまとい、外野レフトの自由席に陣取りメガホンを叩いて1本ヒットが出る度に選手の名前を叫び、1点入る度に周りの応援団と一緒にハイタッチをしたりバンザイを繰り返し、枯れたのどを生ビールで潤す。日頃のストレスもどこへやら、すっかり虜になってしまった。

そしてあの、2013.11.3。「あとひとつ」の大合唱。マー君の渾身の投球、雄叫び。東北にとって大きな悲しみに包まれた「3.11」を乗り越えて、その逆の「11.3」とても大きな喜びに包まれたその瞬間に立ち会えたことは、自分にとってこの上ないご褒美をもらったような感動だった。

野球を知っている人も知らない人も全く関係なく、ディズニーランドのように計画を立てて行くようなこともなく、気軽に行ける「現実逃避の場所」。

一度、球場に足を運んでみてはいかがかな。

編集後記
新年度になって早数ヶ月が経ちました。わたしは今年度から5年目に突入しました。昨年度は初めて学生指導をさせてもらったりといろんな経験が増え、もうそんな年数なんだと改めて実感しました。5年目…がんばります! 佐藤