宮城県作業療法士会

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県士会ニュース134号 2015.2.10

2015.02.10
県士会ニュース

目次

① 年頭に寄せて … 上遠野純子
② 新設された企画管理局の活動について … 道又顕
③ 研修会参加:認知症リハビリテーション研修会に参加して … 大嶋貴子
④ 職場紹介:ないとうクリニック通所リハビリテーション … 市村敦
⑤ 活動紹介:新聞バックで生きがい支援 … 小林真弓
⑥ イクメン・イクママより:育児と仕事と … 新妻純一
⑦ イクメン・イクママより:子どもの笑顔を育むために … 木川田紗千枝
⑧ つぶやきコーナー:怪我の功名(?) … 早坂順子

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① 年頭に寄せて

 

一般社団法人宮城県作業療法士会 会長 上遠野純子

新年あけましておめでとうございます。旧年中は会員の皆様には大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。まもなく東日本大震災から4年の月日が過ぎようとしています。震災後の会員の皆様の心の復興は、震災前の状態と比べてどのくらいまで実現されているでしょうか。震災が私達に残していったものは何だったでしょうか。私たちはあらためて立ち止まり、考えてみる必要があるかもしれません。

さて、宮城県作業療法士会の26年度の年度初のニュースにも書かせて頂きましたが、本年度の活動のキーワードを以下のように掲げました。「連携」、「人材育成」、「啓蒙」、「組織力強化」です。対象者の地域包括ケアの実現のありようには、多職種連携のもとでの支援の形と積極的な民間資源の導入が礎になるものと考えます。そのためにも私たちは多職種が集う場で、お互いにその専門性を尊重しながらも、いかにして連携を深めていくかを、またそこで我々作業療法士がどのような役割を果たすべきかを、ある程度明確にしておかなければならないと思います。継続的な応急仮設住宅での支援活動では、領域を超えた幅広い知識と技術、即応力と実践力を兼ね備えた会員の皆様の活動を、地域の保健師さんたちは高く評価をして下さっています。県内の作業療法士の仕事ぶりに多くの方々が関心を寄せて下さっていることを私たちは忘れず、地域で活き活きと作業療法を展開していきましょう。また、啓蒙活動については、昨年末ホームページをリニューアルし、より見やすく、会員をはじめとする様々な方々の情報発信のツールとして利用しやすいものになるよう意識しました。広報活動の充実は、将来的にはより良い人材の確保に繋がっていくことですので、これからも作業療法士の仕事のありようを丁寧に表現していけるようなツールにして参りたいと思います。

最後に私の個人的なことを少しお話しさせて頂きたいと思います。私が県士会長の役割を拝命しまして今年度で3期目、6年という時間が過ぎました。この間全国作業療法学会の運営や法人格の取得、東日本大震災による士会活動の停止とその後の活動の再開までの道程、避難所や仮設住宅への復興支援活動、30周年記念事業など、いずれも多くの会員の皆様のご協力とご支援がなければ実現しなかったことです。私は決して、牽引力があるわけでもなく、先を見越した見識を持っているわけでもなく、ただただ、前任の佐藤会長をはじめとして、私自身を導いて下さった諸先輩から教えて頂きたことを、若い人材につなげていくための活動をこの県士会の中で実現して来ました。ただ今後は現状に妥協せず、何事にもチャレンジする姿勢を持ち、失敗を恐れず、粘り強く物事に取り組むことが出来る作業療法士の姿とパワーを感じる県士会活動を、会員や世の中にアピールしていかなければならないと思います。そのようなことが実現できる組織作りを、私の県士会活動での最後の仕事にして行きたいと考えている次第です。どうぞ本年もよろしくお願い致します。

 

② 新設された企画管理局の活動について

 

企画管理局 局長(第一副会長兼任) 道又顕

県士会会員の皆様、新年明けましておめでとうございます(このニュースを見る頃には2月の後半になっているとは思いますが、平成27年の初のニュースとなりますので)。今年も宜しくお願いします。

企画管理局は平成25年の定期総会において承認され昨年度の後半より活動を開始しました。企画管理局が創設された背景として、県士会員の増加に伴い多様化してきた県士会活動を全体的に把握しきれていないこと、新規事業に係る企画、調整をする部局がないことがありました。現在は企画管理局の中に企画調整部、地域支援班、特別支援教育班があります。企画調整部は14名、地域支援班は6名、特別支援教育班は7名で活動しております。以下にそれぞれの活動内容をお伝えします。

・企画調整部
2か月に一回程度の頻度で会議を開催しています。今年度の活動としては会全体の中期・長期事業計画の立案のため「事業計画書」の刷新を図りました。各局・各部が次年度の事業計画を効率よく立案できるように活用をすすめていきます。今後の活動として、県士会の事業の効果や効率を検討するために、事業実施後の報告書のフォーマットと研修会実施後に実施するアンケートのフォーマットを作成中です。また、引き続き新規事業に関する企画調整を進めていきたいと考えています。

・地域支援班
皆様は「地域包括ケアシステム」を知っていますか?これは「重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるシステム」のことです。日本の政策により厚生労働省において、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に構築を進めているところです。このシステムの中で作業療法士に求められていることがあることを皆様はご存知でしょうか?地域支援班では今年の1月から各ブロックを訪問しこのシステムの説明をはじめたところです。会員の皆様とこのシステムの理解を共有し、作業療法士に求められている役割と県士会としてどのようなスタンスで取り組んで行こうとしているかを共有していきたいと考えております。ブロック会にお邪魔したときには宜しくお願いします。

・特別支援教育班
「特別支援教育」とは、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものです。特別支援教育班では来年度の特設委員会化に向けて①人材育成および県士会員の資質向上、②外部専門家事業の整備、③宮城県士会内に特別支援教育を含む包括的発達支援相談窓口の設置、の3つを基本構想とし次年度へ向けて具体的な事業計画を立案しているところです。

以上、企画管理局の活動について皆様に報告しました。上記の部・班についてはいつでも一緒に活動して頂ける方を募集しています。興味のある方はいつでも連絡を下さい。お待ちしております。

 

③ ◆研修会参加◆ 認知症リハビリテーションに参加して

 

介護老人保健施設いずみの杜 大嶋貴子

私は認知症のある方々に対する作業療法に大変関心があり、昨年12/22・23に開催された作業療法重点課題研修 認知症リハビリテーション研修会に参加しました。

研修会の主な内容は、認知症リハビリテーションを取り巻く昨今の社会情勢や協会の取り組み、在宅・家族支援、認知症リハ料、認知症リハ・認知症短期集中リハの実践、認知症リハ計画書についてと、大変充実したものでした。その中で、OTとしてのアセスメント能力とどうすればその方のできないことができるようになるのかを常に考えるということの重要性を痛感しました。BPSDはじめ、その方の反応として顕在化している部分だけではなく、いかに潜在化している部分もアセスメント出来るかがOTとしての力の見せ所であるというお話に、関わらせていただいている利用者様の顔を思い浮かべながら日頃の臨床を具体的に振り返る機会となりました。計画書の書き方に関する講義では、評価や目標に関してより具体性が求められていることを学びました。特に、地域包括ケアシステムの中ではICFの活動・参加に焦点を当て、OTの働きかけが十分に出来ているのかが問われているということでした。認知症のある方々が地域生活を営み続けるためにOTが早期から果たすべき役割が大きいことを再確認できました。

現在、私は老健内での勤務となっていますが、地域包括ケアシステムやオレンジプランといった社会情勢的な側面にも常に関心を持って内容を理解し、OTの立ち位置や役割を確認することも重要だと感じました。また、日々の臨床では、その方らしい在宅生活を継続するために必要なアセスメントと、実施するプログラムが活動・参加レベルの何を改善したのかということを常に意識したいと改めて感じました。

全国からお越しいただいた先生方のエネルギッシュなお話に、とても刺激を受けた2日間でした。今後、OTの効果をしっかりと示しながらも、多職種協業でその方らしい生活を支援していけるよう、日々の臨床を頑張りたいと思います。

 

④ ◆職場紹介◆ 医療法人社団静実会 ないとうクリニック通所リハビリテーション

 

市村敦

【施設紹介】
当法人は仙台市茂庭の地に平成7年より「ないとうクリニック」を開業しておりましたが、平成26年4月に「通所リハビリテーション」と仙台市でも初めてとなる「複合型サービス」の機能を加え、「ないとうクリニック複合サービスセンター」としてオープンしました。以下は駆け出したばかりの通所リハビリテーション事業所の紹介となります。

・一日定員数
15名
・サービス提供時間
9:30~16:15(6時間45分)営業日は月曜から土曜で祝日も稼働しています。
・サービス提供地域
仙台市太白区、青葉区の一部
・スタッフ数
PT1名、OT1名、ST1名(非常勤)、ケアスタッフ4名、看護師2名(クリニック兼務)
・主なサービス提供内容
健康状態の確認、入浴介助、個別リハビリ、各種レクリエーション活動
・リハビリ内容
身体機能、認知機能、ADL等の評価と練習、ご自宅を訪問して環境面の評価と環境調整(福祉用具の紹介、フィッティング)
・対象疾患
利用者様の持つ疾患は様々で、疾患による受け入れ制限などは特にありませんが、通所施設なので車いすで移動できる方が対象となります。リハビリを必要としている方であれば、できる限り受け入れております。

【通所リハの紹介】
当事業所は、利用時間が6時間45分と比較的長いため、個別リハビリだけでなくレクリエーション活動などを取り入れながら、日中の時間を楽しんで過ごしていただけるよう、工夫しながらサービス提供をしています。

また、当事業所の特徴としては運動機能の障害だけではなく失語症や嚥下障害などにも幅広く対応できるよう、リハビリテーション専門職3職種を配置しております。利用者様全般にいえることですが、運動機会が減少していることで身体に様々な不調をきたしている方が非常に多いため、リハビリでは動く機会を提供しながら、ご自身の身体状況を把握してもらい、最終的にはご自宅でも運動を継続できるようにすることを心がけながらリハビリ内容を検討しています。

当法人の理念には【「住み慣れた町でなじみの関係を大切にその人らしく自由に生活していただく」を推進します。】のフレーズがあります。この理念をモットーに茂庭の地になくてはならないようなものになれるよう頑張っていきます。

職場紹介ないとう② 職場紹介ないとう①

<住所>
〒982-0252 仙台市太白区茂庭台3丁目30番30号
※茂庭台団地北口の交差点にある鉄骨造り2階建ての建物です。
TEL 022-796-6943 FAX 022-796-6944

 

⑤ ◆活動紹介◆

今号より皆さんの作業療法の成果を気軽に発表していただける場として新コーナー「活動紹介」をはじめました。病院や施設で取り組んでいる活動や患者様・利用者様の作った作品等を写真とともに掲載していければと思います。第1回目は、介護老人保健施設なとりでの取り組みをご紹介します。

新聞バックで生きがい支援

介護老人保健施設なとり 小林真弓

当施設では、入所・通所利用者に対する生きがい支援のための作業療法の1つとして、新聞バッグ作りを行っています。高知県の四万十で環境保護活動の一環として始まった新聞エコバッグを“海の手山の手ネットワーク”の方から職員が教わり、利用者様と一緒に作成しています。このバッグは、新聞と糊だけで作るため、環境に優しく、意外と丈夫です。また、選んだページや折り方のセンスで、新聞とは思えないとても綺麗な作品に仕上がります。工程は少し複雑ですが、「取手作り」や「書道でメッセージを書く」等、工程を分けることで、1人では難しい方も、それぞれの能力を活かしながら協力して1つの新聞バッグを完成させることができます。
活動紹介なとり

今年度の夏祭りでは新聞バッグコンクールを開催しました。お酒が大好きな方は、お酒がたくさん並んだ作品、ひ孫と仲良しな方は、ひ孫に似た子供の笑顔が可愛い作品を出品される等、展示コーナーには利用者様の個性が光る素敵な作品がたくさん並びました。
新聞バッグは、ソーシャルビジネスとしても展開されており、新たな雇用の創出にも繋がっています。当施設においても、生きがい支援に加えて、利用者様の社会貢献の支援に繋げていければと考えています。

活動紹介なとり③ 活動紹介なとり②

⑥ ◆イクメン・イクママより◆ 育児と仕事と

 

介護老人保健施設なとり 新妻純一

記事の依頼を頂き、イクメンについて調べてみると“育児を楽しむ男性”“育児を積極的に行う男性”とありました。私が積極的に育児に取り組んでいるかは分かりませんが、1つのケースとして読んでいただければ幸いです。

私は介護老人保健施設なとりに勤務しています。昨年からは主に系列のデイケアやデイサービスへ出向して訓練等に携わっています。出向先のデイサービスではリハ職員がいないため、自分自身の動きや職員との関わり方などについて上司からアドバイスを頂きながら試行錯誤している状況です。

家では専業主婦の妻と2歳7ヶ月になる息子の3人で暮らしています。子供は、2歳を過ぎ、少しずつ自分で出来ることが増えてきた反面、まだまだ難しいことでも“自分で”と言って挑戦しています。良いことですが、そこは魔の2歳児と言われる時期、こちらが手を出し過ぎると“イヤ!”と逃げ、挙句に“自分でできなかった…”と寂しそうに言われてしまいます。その為、こちらが一方的に手伝ってしまうのではなく、子供にやり方を教えつつ、少しでも自分で出来たと感じられるような関わり方を心掛けています。これを繰り返すうち、子供が自分で出来るようになった時の誇らしげな様子は私まで嬉しくなります。
この取り組みと達成感という一連の流れはリハビリにとって大事なことですが、子供との日々の関わりの中でその大切さを改めて感じ、仕事においても以前よりも意識するようになりました。

仕事をしていると子供と関わる時間は限られますが、それでも負担に感じることがあります。関わる時間が長ければ長いほど負担感も強まるかと思います。子育ての大部分を受け持ってくれている妻に感謝しつつ、出来るだけ子供と過ごす時間を持ち、3人で少しずつ成長していければと思っています。

まだまだ寒い時期が続きますので、皆さんも体調に気を付けて育児に取り組んで下さい。

 

⑦ ◆イクメン・イクママより◆ 子どもの笑顔を育むために

 

川崎こころ病院 木川田紗千枝

今回、自身の経験談を紹介することで、少しでも励みになる方がいればと思い引き受けさせて頂きました。また、日頃から育児中の方々を支えて下さっている皆様にも感謝しながら書き記したいと思います。

私は、今年で7年目になる作業療法士であり、2歳半の娘がいる1児の母です。育休を1年頂いて仕事に復帰し、病院にて精神科病棟を中心に働いています。

娘は保育所に預けていますが、体調を崩すことが多く、その場合は主に自身が休みを頂くか、実家の協力のもと働いています。慣らし保育を終えて仕事に復帰しようとした初日は、見事に娘の熱発から始まりました。その後も、月に1度は必ず体調を崩し、数日入院したり、夜通しの看病が続いた日もありました。

ですがそんな娘も、最近になってようやく体調を崩さなくなり、だんだんと生活が安定し始めてきたように思います。育児中の先輩方からは、「3歳を超えれば体調を崩すことは殆どなくなるから、それまで頑張って」という言葉をよくかけてもらっていましたが、娘もその言葉に当てはまりつつあるように思います。

今、私自身が働き続けていられるのは、職場の理解や協力がとても大きいです。迷惑をかけることが多いのに関わらず、娘の体調を気にかけるなどの暖かい言葉を頂いたり、負担が少ないように仕事の内容や環境を配慮して頂いたりととても感謝しています。

また、家事と育児に協力的な夫や実家の家族にも大分助けられています。仕事で残りたい時や学会に参加したい時などには、保育所の利用だけでは限界があるため、やはり周囲の協力が不可欠になっています。働きたくても働く環境や状況に厳しい方々がたくさんいることを考えると、自分は本当に周囲の方々に恵まれているのだと思います。

そして最後に、私の個人的な考えですが、家事・育児・仕事は個人だけで両立できなくても良く、社会全体で両立できれば良しとしたいと思っています。子供にしてみれば、全てを1人で両立できるパパ・ママでなくて良いのです。子供は、ただ、ただ、笑顔で安心感をくれるパパ・ママでいて欲しいのです。そして、それが子供の笑顔を育む一番の源なのです。どの職場も、直接的に子に関わるだけを子育てとせず、社会全体で子を育くむことを子育てとしていく環境になっていくことを願いたいと思います。

 

⑨ ◆つぶやきコーナー◆ 怪我の功名(?)

 

東北薬科大学病院 早坂順子

いやあ骨を折った。いや折れた。マジで。

大晦日、自宅で神棚の大掃除中、もはや終わるという頃に脚立から落ちた。瞬間、右膝がしこたま痛かったもののほんの数分で歩くことはできた。なーに湿布を張っておけばと、年の瀬のお酒もたらふく味わった。翌朝、膝の腫れ具合を見ていやな予感。元旦早々、当番医に出向き「それなりのトラブルはありそう」とシーネ固定され、文字通り寝正月となった。

休み明け、右脛骨近位部後方の骨折が判明、ギブスと両松葉杖、車椅子の生活が始まった。
今まで病気らしい病気、怪我らしい怪我もせず、病院に勤務してきた。こうなってはやれる仕事はほんの僅かだがこれも性分、継続出勤を決意したが、文字通り患者の身になって感じることの多いこと多いこと。
重い扉を開閉する大変さ、狭いトイレ、邪魔なケーブル、何より片足免荷で両松葉杖では物が運べない。朝の1杯目のコーヒーは缶コーヒーになった。物を落としても満足に拾えない、人に頼むのも忍びない、予想はしていたが不便なことこの上ない。年のせいか今まで使ったことのない筋肉や関節を過用し、最初はあちこちに湿布を張っていた。いやあ皆こんなしんどい思いをしていたのかとつくづく身に染みた。今までこの手の患者の話を「そういうことあるよね~」と時に聞き流していたような自分を反省し、「大変だよね」と簡単に言う前にちゃんと話を聞こうと今更ながら思った。

思わぬ怪我に閉口する中、60~70代の男の担当患者が「今度は俺がリハビリしてやっから!」「今日送ってやるか?」と気さくに声をかけてくれて精神的には随分救われた。またある時は、外来のリウマチ患者に「こう言っては不謹慎だけど、なんだかちょっぴり嬉しいわ。」と外来の輪(?)に取り込まれたり、ある時は、以前担当した患者からの電話に思わずこちらの近況と不便さを話すと「いやあ俺、今から先生と飲みたい気分だわ。」と妙に親近感を持たれたりで、かえって今まで聞いたことのない様々な思いを聴く事ができた。
患者になってみて今までとは違う意味で、人の話し方、声色にも敏感になった。
患者との共感とか傾聴とか、口でいうのは簡単だが、その人のコンデションや感情の在り様に左右され易く難しい。ただ、何よりもそうありたいと思う姿勢そのものが相手に伝わるものだという気がする。上っ面の言葉や行為はすぐに見抜かれるからご用心。患者が気づかぬふりをしてるだけだと思った方がいい。

今はギブスも取れ1/3荷重となり、PTも受けている。1/3荷重って体重もわかっちゃうし、こんなことなら寝正月であんなに餅を食うんじゃなかったと後悔してももう遅い。
ホント患者って大変。とにかく早く良くなることだ。取り敢えず2月中旬の独歩が目標。
こうやって新年早々、身を以て患者の事を色々考えさせられたのも怪我の功名か、はたまた神棚のなせる業か。

◆お知らせ◆ 宮城県作業療法士会 ニュース 原稿募集!!

広報部では県士会ニュースに掲載したい記事を募集しています!!
ご希望の方は、県士会広報部(メールアドレス:otkouhou@yahoo.co.jp)までお気軽にお問い合わせください。
※記事は随時募集しています!!(次号掲載希望の場合は3月31日締め切り)
皆さんからのご応募お待ちしております!!

テーマの例
・病院・施設で実施しているアクティビティ
・制作した自助具
・おすすめ新刊紹介など

 

編集後記

今年度も残すところあと僅かとなりました。皆さん、新年度に向けて多忙な日々を送られているかと思います。この時期は別れだったり、新しい出会いだったりと環境の変化が多いかと思います。私もこの一年、共に働き支えてきてくれた仲間たちとの別れには大きな不安と切なさを感じます・・・しかし、その分新しい出会い(新人)に期待しながら春を待ちたいと思います!さて、お知らせ通知機能への登録はお済ですか?最新の研修会などの情報が随時メールで届くので便利ですよ!未登録の方はぜひ県士会のHPから登録してみて下さい。
中山

 

県士会ニュース133号 2014.12.10

2014.12.10
県士会ニュース

目次

① 各市町村認定審査員情報交換会 開催 …  畑中一枝
② 第16回宮城県作業療法学会を終えて … 大貫操
③ 第16回宮城県作業療法学会に参加して …  丸子佐和子
④ 平成26年度会員交流会の報告 … 安達健朗
⑤ ブロック合同研修会に参加してみて … 櫻井僚
⑥ イクメン・イクママより:そして父になる … 佐藤亮太
⑦ イクメン・イクママより:はたらくママが思うこと … 峯田舞子
⑧ 職場紹介:JCHO仙台病院 … 加藤聡美
⑨ つぶやきコーナー:後輩を指導する立場になり … 山川裕崇
⑩ つぶやきコーナー:趣味の力 … 伊藤智之
⑪ 編集後記

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① 平成26年11月1日 「各市町村認定審査員 情報交換会」を開催しました

 

一般社団法人宮城県作業療法士会 事務局長 畑中一枝

当士会は、「県民の保健・医療・福祉の充実及び向上に寄与するため、作業療法士が学術研鑽、技能の向上に努め、リハビリテーションの普及発展を図る」ことを目的とした、宮城県内に勤務あるいは在住する作業療法士で構成する専門職団体である。

その性質上、各行政機関における様々な事業に関して作業療法士の推薦依頼を受けることも多く、そのなかでも定期的に依頼がくるものとして、県内各市町村からの「介護保険認定審査会審査員」及び「障害支援区分(障害者総合支援法)認定審査会審査員」の推薦依頼が挙げられる。

こちらはそれぞれ2年任期で、現期は介護認定に6市町村28名、障害程度区分に6市町村12名を推薦させていただいている。そして現在次期平成27年度の切替時期に合わせ、すでにいくつかの市町村から推薦依頼が届き推薦調整を行っているところである。

これに先駆け、現任期で審査員を担当いただいている会員の方から、現状の課題や推薦に当たっての要望などを伺う目的で情報交換会を開催させていただいた。認定審査員の推薦はその性質上、依頼市町村の状況を把握していただいている方に担当いただきたいと考えており、推薦調整の際にブロック長に人選の協力をお願いすることも多いため、ブロック担当の方々にも参加いただいた。参加人数は、介護認定審査員5名(ブロック長1名含む)、障害支援区分認定審査員6名(ブロック長2名含む)、ブロック担当者3名の計14名であった。内容としては、それぞれの制度の説明を各担当代表者が行い、実際の審査会での様子や参加していての悩みや疑問点などをグループワーク的に話し合った。

それぞれの合議体は5名構成が基本で単独開催されるため議長となる方の裁量で進行具合は異なるが、中にはOTが議長となっている合議体もあるとの報告や、「介護認定審査会DVD教材」の視聴なども行い、実際の審査会の進行状況や意見の出し方などについて互いの報告も行った。

審査会担当者の人選に当たっては、事前の資料から障害像をイメージできる事が大切であり、ある程度経験値のある人が務めるべきとの意見や、経験値が低くても勉強という意味で審査員を務めることも必要ではないかとの意見も出された。また、障害支援区分認定審査員に関しては、精神科領域の担当者が少ないことや、知的・精神・身体の3分野を対象としなければならないため、机上での勉強だけではなく、他施設などで研修できる機会があればよいとの意見も出された。

今回の意見交換会を開催後、ブロック勉強会などで今後の人材の育成・啓蒙・啓発の観点での研修会も開催したいと考えていたが、認定審査員に関しての単独の研修会では会員の参加が見込みにくいのではないかとの意見をいただき、再考することとした。

会員の人材の育成・啓蒙・啓発に関する研修会については、地域ケア会議やその他作業療法士として今後活躍が求められる事業が増えていくことが見込まれているので、それら全体を含んでの企画を今後検討していきたいと考えている。会員各位についても、個々人が参画することで士会の活動が成り立っていることを再認識していただき、今後の活動にも参加いただきたい。

 

② ◆第16回宮城県作業療法学会◆ 第16回宮城県作業療法学会を終えて

 

第16回宮城県作業療法学会 学会長 大貫操

10月25、26日宮城県作業療法学会が開催された。参加者は160名と多くの方に参加していただいた。講演、演題発表、福祉機器展等、すべてにおいて活発に意見交換が行われ、活気あふれる学会だったと思う。

今回の学会のコンセプトはいくつかあって、もちろん一つは学会テーマである「暮らしを支える作業療法の視点」であるが、二つ目は宮城県内の作業療法士を知り、顔の見える関係作りのきっかけとなる事、三つ目は県士会員のメリットを考える事でした。

学会のテーマである「暮らし」は、病院や施設勤務のOTから「在宅支援がわからない」と聞かれる事が多かった事や、地域包括ケアシステム構築に向けての取り組みが始まる中で、作業療法士としてはどうしても理解したい事であると思い、テーマにさせていただいた。特別講演講師の宇田薫氏も話されたが、私達も「暮らしている」のであり、生活をその人の思いと共に理解する事、作業療法アプローチの中にどう落とし込んで考えるかという事をわかりやすくお話しいただいた。対象者その人を友人や家族のように考え、理解し、暮らしを考えていく過程が、作業療法そのものだと受け取って下さった方も多かったようで、アンケートにも「今までの支援で足りなかった事がわかった」「作業療法を考えた」「作業療法士になってよかった」とあった。

二つ目の顔の見える関係作りは、自分が日々在宅支援の中でネットワークの力を実感する事が多いこと、作業療法士として多くの人に育てられ、助けられ、スキルアップさせていただいた作業療法士同士のネットワークを、築く事ができれば、宮城県の作業療法士の強みとなるのではないかという思いから、意識してプログラムの中に組み込ませていただいた。演題発表やセミナー、シンポジウム等から、魅力的な作業療法士の思いや仕事や活躍を知り、きっと顔を覚えていただき、声をかけやすくなったのではないかと思っている。後は皆さんが勇気を持って、遠慮なく、声をかけるだけで、確実にネットワークは広がっていきます。

三つ目の県士会員のメリットを考える事について。初の2日間開催、低い会費設定(=赤字予算)、学ぶ事ができるプログラムを多くする等、県士会員への還元を意識して企画しました。メリットは皆さんが作り上げるものです。多くの会員が積極的に県士会活動を企画運営し、意見すること=参加が、県士会を育て、メリットを増やす。だからみなさんの参加が必要なのです。県学会を一つのきっかけとしてぜひ年間通した活動に多くの会員に積極的に参画して欲しいと思っています。

最後になりましたが、2年間力を貸してくれた実行委員の皆さんに感謝するとともに、学会にご協力いただいた皆さん、参加してくれた皆さん、すべてに感謝いたします。

 

③ ◆16回宮城県作業療法学会◆ 第16回宮城県作業療法学会に参加して

 

介護老人保健施設せんだんの丘 丸子佐和子

10月25、26日に開催された宮城県作業療法学会の25セミナーというプログラムで「地域密着型作業療法士のすすめ」と題した発表をさせていただきました。内容は病院勤務のOTとケアマネージャーとのサービス担当者会議でのやり取り、という寸劇から始まり、パワーポイントの発表でケアマネージャーとどのように関わっていけばいいのか、という事をまとめたものでした。なぜ、このような内容になったのか、何か裏話はないか、というご質問を受けましたので、その辺について簡単にお伝えしたいと思います。

寸劇に参加した大塚、三浦、丸子の3人のOTは普段、ケアマネージャーや老健相談員として勤務しており、医療機関や介護保険事業所との関わりの中で、OTとの連携を体験する機会が度々あります。そんな時、自分たちのOT時代の過去を振り返りつつ、OTの連携を客観的に見ることができます。その中で、時々「これでは専門用語が多すぎて家族やヘルパーには伝わりにくいのではないか」とか、「この介助方法では在宅では実現できないのではないか」等と様々なことを感じることがあり、自分たちの過去にも反省しながら、OTのあり方について考えることがあります。OTの置かれる状況や気持ちもわかるものの、やはり他職種として感じている事を機会があればOTに伝えたいと思っていたのが、セミナーの内容になりました。

内容の詳細に関しては、主にサービス担当者会議等で言われたことのある「OTケアマネが感じる病院OTあるある」を出し合って決めたものでした。セミナーでは色々な事例を寄せ集めて、ややオーバーな表現になりましたが、医療に限らず、介護分野のOTに改めて連携の在り方を考えて欲しい、という気持ちがありました。

発表後に、訪看で働くOTから「ケアマネさんが怖い」という相談も受けましたが、ケアマネージャーにも色々な人がいるので、その人に合わせながら、どのように連携していくのが良いのか、OTとしてコミュニケーション方法を工夫して頂ければ、と改めて感じました。

余談ですが、寸劇の原稿が出来上がったのは学会の前々日、練習も前々日、前日の2回という不安のある状況でしたが、終了後は「面白かった」と声をかけて頂き、非常にほっとしました。

☆第16回宮城県作業療法学会資料掲載のお知らせ☆

期間限定ではありますが、第16回宮城県作業療法学会で行われたシンポジウム、セミナー等の資料を公開しています。学会に参加された方だけでなく、参加できなかった方も閲覧・ダウンロードができるようになっています。ぜひご活用ください!
トップページ右側にあるバナー 「16回宮城県作業療法学会 ※学会資料掲載中です。」 をクリックしてください!

 

④ 平成26年度会員交流会(ボウリング大会)の報告

 

福利部長 安達健朗

11月8日土曜日、仙台プレイボウリングにて平成26年度会員交流会としてボウリング大会を開催いたしました。例年フットサル大会を開催しておりましたが、より多くの方にご参加いただきたく今年度はブロック対抗によるボウリング大会を企画し、22名の会員の方にご参加いただきました。

チーム内でアドバイスしあったり、ストライクがでればみんなでハイタッチで迎えるなどどのチームもはじめて知り合ったメンバーとは思えないくらいチームワークが良かったことが印象的でした。

そして、栄えある優勝チームは「石巻、岩沼・仙南、栗原・登米合同チーム」でした!!仙台中心部には負けまいという県南、県北を熱くしたいという気持ちが伝わってきました!

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この交流会は、会員同士の交流を深めて、同じ仲間として共にがんばっていきましょう!という目的があります。年々地方からの参加者も増え、会員間の結びつきがより一層強まっていきていると感じます。これからもレクリエーションを通して会員の皆さんの輪が広がるような交流会を企画していきたいと思います。今回参加して下さった皆さんも、参加できなかった皆さんも、また次の機会にご参加お待ちしております。
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⑤ 宮城野・東仙台・青葉ブロック合同研修会「認知症の理解と実戦での取り組み」に参加してみて

 

介護老人保健施設サニーホーム 櫻井僚

現在、私は認知症の方々と関わる介護保険領域にて勤務しているため、今回他ブロックである宮城野・東仙台・青葉ブロック合同の研修会に参加しました。

研修内容は、上遠野先生の臨床での体験を基にした話が中心であり、臨床家としてとても参考となるものでした。

まず利用者自身と関わる上では、これからどのような生き方を望み、どのようなライフイベントを大切にし、人生の物語を続けたいと考えているのか傾聴し、共に協業しながら築き上げる事が前提として大切だという事を改めて実感しました。

また、人的環境である利用者家族については、利用者と関わる中で必要な助言や指導だけではなく、利用者家族が施設に預ける事で感じている後ろめたさといった精神面での支援も必要である事を痛感しました。そして、利用者の支援にあたる介護士などの他職種にも目を向けて、適切な評価を基になぜ必要なのかを分かり易く助言していく事で利用者に対する支援の質の向上に繋げられるようにすることも同じく重要だと思いました。

若年認知症者への長期的な目線としては、認知症を呈した利用者が地域生活へソフトランディングするには「自分であることへの支援」へどのように関わっていくのかという事について学びました。具体的には、社会生活(会社・家業・主婦業)からの切り替えとして上手な縮小、整理、切り替えを援助し、その人の特性にあった選択をすすめていき、新たな場への適応を促す。そして、本人との直接的な対話・会話から本人の選択・行動ペースの理解する事が求められるとの事でした。

今回の研修会を通じ、私自身が痛感した事は作業療法士が支援すべき領域は、作業療法士自身が関わる利用者との時間だけでなく、それ以外の生活時間全てに関わる要因へ目を向けることが重要だという点を改めて実感する事が出来ました。今後も、自分が所属するブロック関連の研修会に加え、他のブロックの研修会にも目を向ける事で自分自身の知識や技術の研鑽だけでなく作業療法士同士で顔の見える関係性を築くきっかけ作りを続けていきたいと思います。
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⑥ ◆イクメン・イクママより◆ 「そして父になる?」

 

坂総合病院 佐藤亮太

「ここで意識消失したら、一生言われ続けるだろう・・・」

2014年7月某日。少しでも妻の精神的なサポートが出来ないかと第1子の立会い出産に臨みました。しかしながら、様子がおかしい(私の)。滝のような汗。目の前もどんどん霞んでくる。どうやら、夫が分娩室で倒れるという良くある笑い話の当事者になろうとしていました。

「ちょっ・・・旦那さん!大丈夫ですか!?」

尋常ではない汗をかきながらふらつく私に助産師さんもびっくり。妻の汗を拭くはずのタオルで自分の汗をぬぐいながら、もう倒れる寸前・・・という中、待望の我が子が生まれてきてくれました。今度は涙が止まりませんでした。妻には終始情けないところを見せてしまいました。

小話から始まって申し訳ありません。私は総合病院で働く7年目の作業療法士です。作業に焦点を当てた実践、より効果的な上肢機能練習、脳損傷者の自動車運転支援など考えながら臨床に取り組んでいます。そして、子供が生まれてもうじき5ヶ月になります。日々すくすくと成長しています。手の届く物を口に持ってきたり、不十分ながらも寝返りが出来るようになってきた事もあり、安全かつ快適に過ごせる家具等の選択や配置を考えているところです。月並みな話ですが、子供から教わる事、気づかされる事は多いなと思います。親の有り難味、時間の使い方、仕事への取り組み方など日々子供と接する中でいろいろな気づきがあります。

誰もが、子供が生まれた瞬間から良い親になれる訳ではありません。きっとこれから、様々な困難や喜びを経験して父に、より深い家族になっていくのだと思います。息子の誕生の時に感じた妻と息子への感謝の気持ち。これからも一生忘れずに支えていきたいです。

私はまだ新米子育て作業療法士(イクメンって言葉は何だが私には似合わない)です。父として、作業療法士としてこれからも一歩ずつ成長していけるよう、先輩方からのアドバイスよろしくお願いします。

 

⑦ ◆イクメン・イクママより◆ 「はたらくママが思うこと」

 

内科佐藤病院 峯田舞子

私は至って普通の28歳、作業療法士であり、2歳になる娘の母です。こんな私がイクママとしてのメッセージを書くなど、とても恐縮ですが、少しでも共感頂いたり、情報交換できるようになればと思い、経歴や妊娠、出産、現在に至るまでを書かせて頂きます。

山形県の老健で2年間勤務し、結婚を機に退職して仙台に引っ越し、半年は働かずに専業主婦をしておりましたが、じっと家にいることができない性格で、仕事を探し始め、佐藤病院に勤務させて頂くこととなりました。その半年後に子供を授かり、産休・育休を頂き、昨年10月に仕事に復帰し、現在に至っています。

妊娠中はつわりや体の変化に戸惑い、母になる不安から精神的に不安定な時期がありました。しかし、患者様との会話や笑顔、職場の方々からの配慮のおかげで乗り切ることができたように思います。

出産後、仕事に復帰したい、OTとして働きたいという思いと、子育てとの両立はできるのだろうかという不安がありました。復帰してしまうと、今は毎日が本当に忙しく、朝起きてから寝るまで、仕事に家事に育児に、こなしているのが精一杯な状態です。仕事中、自分のOTとしての技術や知識の少なさに焦ったり、後輩育成に頭を悩ませたりすることもあります。1年経って、ようやく少しずつ勉強会等に参加できるようになってきましたが、まだまだ不足は補えません。

幸い娘は丈夫なようで、仕事中に保育園からお迎えの電話がくることはほとんどなく、夫の家事や育児への協力、実家の母の協力があって、今の生活が成り立っているように思います。また、職場の方々にも色々な場面で助けていただくことが多く、たくさんのやさしさを感じています。

はたらくママになって、まだこの経験が役に立っていると感じる余裕はありませんが、いつかこの毎日が自分のOTとしても人としても糧になるように、今はただがむしゃらに頑張ってみたいと思っています。また、頂いたやさしさを少しでもお返ししたいと思っています。

これから更に寒くなり、行事が目白押しで忙しくなる季節となります。体調には十分注意して、笑顔で毎日を過ごしていきたいものです。

 

⑧ ◆職場紹介◆ JCHO仙台病院

 

加藤聡美

【病院紹介】
当院は平成26年4月より仙台社会保険病院からJCHO(ジェイコー)仙台病院(独立行政法人 地域医療機能推進機構 仙台病院)へ名称変更となりました。

・診療科目:内科、呼吸器科、消化器科、小児科、外科、循環器科、整形外科、皮膚科、
泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線
科、麻酔科、歯科、歯科口腔外科(以上全17科)
・病床数:428床(実働病床数:418床(一般))
・リハビリスタッフ数:OT 3名、PT 7名、マッサージ師1名、
・対象疾患:整形外科疾患、内部障害、外科疾患、廃用症候群等
【作業療法紹介】
当院は、急性期病院の機能を有しているため、早期離床・自宅復帰を目指し様々な場面でADL練習をはじめ、退院後の生活様式を念頭に置いたプログラムを実施しています。腎疾患を中心とした内部障害においては、他職種と連携し、摂食嚥下等、多角的な視点からアプローチ出来るよう進めています。また、整形外科領域においては脊椎、肩、手外科専門医のもと、機能訓練はもとよりOTの視点から応用動作獲得を目指しています。手術見学の機会もあり医師と積極的にコミュニケーションを取りながらリハビリを進めています。当院でのOTの歴史は浅く、まだまだ発展途上ではありますが、院内で他職種向けのADL指導勉強会の開催等を通して活躍の幅を広げられるよう奮闘しております。
当院の特徴のひとつとして、日本で始めての腰痛・仙腸関節センターを開設し、腰痛疾患への治療に力を入れております。リハビリテーション部としましてもOT、PTを対象とした腰痛セミナーを開催し、多くの方々に参加頂いております。今後も各種セミナー、勉強会を開催予定ですのでよろしくお願い致します。
職場
<住所>
〒981-8501 仙台市青葉区堤町3-16-1
TEL022-275-3111 URL:http://sendai,jcho.go.jp/

 

⑨ ◆つぶやきコーナー◆ 後輩を指導する立場になり

 

総合南東北病院 山川裕崇

今回の掲載の話をいただき、改めて自分はいつの間にか5年目になっていることを実感しました。国家試験合格の発表の喜びを、物心がついて以降初めて母親と抱き合いながら(恐らく、先にも後にもこれが最後ではないでしょうか)分かち合い、緊張のなか現在の職場に入職しました。その時の5年目の先輩といえば、とても頼もしく見えたのを思い出します。現在、キャリアだけはその当時の先輩に追いつきましたが作業療法士としての実力と考えると当時の先輩方に追いついたかというといささか不安を覚えます。

しかし、自分も学生や新人の指導、教育を担当させていただくようになり、彼らが作業療法士としてのキャリアを歩むにあたり少しでも手本、ヒントになれるよう奮闘している毎日です。また、同時に彼らと接する中で自分自身も様々なことに気づき、成長させてもらっているなと実感もしています。

その中で、特に強く感じることは患者さんとの接し方、言葉遣いです。自分も、学生時代に指導していただいていたバイザーの先生に「学生さんは言葉遣いが丁寧ね。初心を思い出させるわ。」と言われたことがありました。5年目の現在、自分も新人や学生を見ていて全く同じこと感じます。無論、自分も患者さんと会話をするときに雑な言葉遣いをしているつもりは全くなく、少しでもきついだけのリハビリにならないようにとの思いで接しているつもりです。しかし、不意に崩れた言葉遣いになってしまっていることもあります。そういった際に、同じ訓練室で丁寧な接し方をしている新人の姿を見てハッとさせられ直前の自分の言葉遣いを反省します。作業療法士という仕事が対人間であり、かつ現在の職場では自分の2倍、3倍の人生経験の大先輩方を相手としている以上、患者さんへの最大限の敬意を払いながら接していかなければと再認識させられます。患者さんに、楽しく充実したリハビリの時間を過ごしてもらうためにも上記のことを決して忘れないよう日々の業務に取り組んでいきたいと思っています。

作業療法士5年目も残り僅かになりました。これからも、先輩はもとより後輩からも多くのものを学び作業療法士として、何より人間として成長させ作業療法士6年目を迎えたく精進していきたいと思っています。

 

⑩ ◆つぶやきコーナー◆ 趣味の力

 

長町病院 伊藤智之

長年お世話になっていた煙草をやめてからもはや2年になる。

それまでにも止めようと思う機会は何度かあった。子供が生まれる時、子供に「煙草臭い、止めて」といわれた時、身体の調子が悪い時など、いずれも止めようと試みたが失敗に終わっていた。そのうちに「別に長生きしたいとも思わないし」と開き直るありさまであった。

ある日愛煙家の先輩が「バイクでも買えるのなら煙草を止めてもいいけど、そうでもなければ楽しみがなくなるよな」と話したていた事が気に留まっていた。最近では時代の影響もあり、周囲のヘビースモーカーだった人も、煙草を止めたという話を聞く。ぱっと止められない自分が情けなく、何とかせねばという気持ちは持ち続けていた。

私はこれまでの健康診断では特に異常を指摘される事も無かったが、40歳を過ぎた頃、初めてのぎっくり腰を経験し、膝は痛くなり、視力がだいぶ低下してきた。消耗品が劣化してきているのか、少しずつ問題が見られるようになってきた。このような不甲斐無い状況に妻が「人生折り返しだね。何もやってない(趣味)けど、何かやったら」と話をしてくれた。

チャンスかも!あの先輩の話していたあの言葉、「バイクでも・・・」「ああバイクに乗りたいな」という思いが徐々に高まっていった。3人の子供とローンもあり葛藤は尽きない、利口な判断ではない事も承知ではあったが、バイクの購入を決意した。

バイクで走っている時の爽快感はなんとも言えない。四季の移ろいを見て走るのが気持ちいい。走った後の洗車もすがすがしい気持ちになり、なんとも達成感がある。

この趣味をきっかけに煙草は止めることができた。理由は単純だ。「煙草にかかる金を趣味にまわす」この趣味を行うためにはある程度、筋力・体力が必要なので筋トレ・縄跳び・ジョギングなど運動も始めた。趣味を通して新しい仲間が増え、色々な仕事をしている人たちとの交流も生まれ、医療関係以外の視野が増えた。年齢と共に、いろんな役も加わり様々な事に追われながら生活している毎日であるが、少しメリハリがついた。これまでの予定にバイクに乗る予定が加わり、他の事も計画的に行うようになった。なにより、忘れていたものを呼び覚まされた感じがあった。

このような事で心境にも変化があり、これまでよりも心に余裕が生まれたような気がする。最近の私は、以前に比べるとあまり患者様とじっくり向かい合えていなかった。それが、この趣味をはじめてから以前のように、ちゃんと向かい合い、思いを傾聴するように戻った気がする。以前から患者様と接する時に気をつけていることがある。“患者様の不安であったり、落ち着かない気持ちを、少しでも和ませる事である”気持ち静かに穏やかに、特別なテクニックではなくその瞬間を過ごせる事が心地よい関係でいたい。このように趣味によっていろいろな事に影響が得られた。

皆さんは趣味によって人生観に変化はありますか。やりたい趣味があるけどやれていない方はぜひ始めてみてはいかがですか。きっと療法士として・人としての深みが増しますよ。(40代男性)

 

◆お知らせ◆ 宮城県士会会員の皆様へ

今年度から宮城県士会のホームページがリニューアルし、とても便利になりました。
会員の皆様!!
ホームページ更新のお知らせ機能への登録(メールアドレス登録)はもうお済でしょうか?
登録しないと、県士会の研修会や他団体の研修会などの情報をいち早く入手できないので、不便ですよ!?
会員向けのお知らせ・ニュース更新も随時メールでお知らせします。
会員の皆さん全員に登録してもらうことで、今後さらに情報発信のツールとして士会活動に活用していく予定です。
登録する際は、県士会ホームページのトップページの右側の箱[お知らせ機能]をクリックしてください。
尚、ご不明な点などありましたら、ホームページ内の「お問い合わせ」からアクセスしていただけますようお願いいたします。
宮城県士会 広報部

◆お知らせ◆ 宮城県作業療法士会 ニュース 原稿募集!!

広報部では県士会ニュースに掲載したい記事を募集しています!!
ご希望の方は、県士会広報部(メールアドレス:otkouhou@yahoo.co.jp)までお気軽にお問い合わせください。
※記事は随時募集しています!!(次号掲載希望の場合は1月10日締め切り)
皆さんからのご応募お待ちしております!!

テーマの例
・病院・施設で実施しているアクティビティ
・制作した自助具
・おすすめ新刊紹介など

 

⑪ 編集後記

忘年会シーズンとなりました。今年は例年にないくらい声をかけていただいており、大変うれしく感じております。普段職場でなかなかコミュニケーションをとれていないスタッフとも交流できる貴重な時間となるため、飲みにケーションの大切さを改めて実感しております。皆様も肝臓と相談のうえ飲みにケーションを楽しみましょう♪ 二瓶

 

県士会ニュース132号 2014.10.10

2014.10.10
県士会ニュース

目次

① 地域ケア会議について …  大内義隆
② がんのリハビリテーション … 高橋晴美
③ 全国研修会に携わって …  稲垣成明
④ 障碍者の就労支援研修会に参加して … 今野琢也
⑤ イクメン・イクママより … 三宅由洋
⑥ イクメン・イクママより … 小野智美
⑦ 職場紹介 株式会社 わざケア … 渡部達也
⑧ つぶやきコーナー 5年目を迎えて … 滝沢瞳
⑨ 研修会のお知らせ
⑩ 編集後記

バックナンバーはこちら

 

① 始まってます!地域ケア会議

 

一般社団法人宮城県作業療法士会 学術局長 大内義隆

平成25年度、仙台市のモデル事業として、区レベル(一般的には市町村レベルに該当するもの)での多職種連携の地域ケア会議が年2回、若林区にて開催されました。この地域ケア会議では、「多職種の視点でのアセスメントにより、個別課題の解決を図る」、「多職種専門職の立場から助言をもらい、支援者のアセスメントの質の向上を図る」などを目的としています。アドバイザーとしては、医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士に加えて、作業療法士として私が参加いたしました。介護保険におけるサービス担当者会議とは異なり、担当事業者ではない第3者的立場の専門家がアドバイスを行うのが特徴です。

実際の会議の場においては、地域包括支援センターの担当者より、個別事例のプレゼンテーションがあり、それに対して専門家からのアドバイスを行います。約2時間の間で5~6事例程度の検討を行います。地域の現状としては「リハビリ=体操(機能訓練)」といった偏った思考も根強いため、私自身は生活歴や家庭内の環境などについても考慮しながら、活動や参加に対して自立支援に結びつくような思考を持っていただけるように心掛けながらアドバイスを行っております。

今年度からは、若林区に加えて太白区での開催が決定しており、どちらの区もリハビリテーション専門職の代表として、「作業療法士」がアドバイザーとして参加します。平成27年度からは仙台市全域で本格的に行われる予定であり、今後、多くの作業療法士が関わる可能性があります。地域包括ケアシステムの構築に向けての取り組みが進んでいく中、その一役を担う地域ケア会議です。仙台市が、そのアドバイザーとして「作業療法士」を指名している意味を大切にしながら、宮城県作業療法士会としても、それらの期待にしっかりと応えられる準備を進めていかなければならないと責任も感じています。

県士会では、今後もこのような地域包括ケアなどに関する情報配信や研修会の企画等も検討しておりますので、皆さんも興味を持って情報収集等に努めていただければと思っています。

 

② がんのリハビリテーション

 

東北大学病院 高橋晴美

がんは自分勝手に増殖を繰り返し正常な細胞を侵蝕してその臓器の機能障害を、また、血行性、リンパ行性による遠隔転移により転移した臓器(肺・骨・リンパ節等)の機能障害を起こしてしまいます。さらにがん悪液質により倦怠感や電解質異常など様々な症状が引き起こされ、手術や化学療法、放射線療法による副作用(骨髄抑制、食思不振、神経障害等)も生じてしまいます。がんのリハは、これらさまざまな症状に対して行われます。

当院OTでは脳腫瘍、骨軟部腫瘍、乳癌、頭頚部癌、その他さまざまな臓器の進行がんに対するリハを実施しています。たとえば乳癌の方との最初のかかわりは乳房切除術の周術期における肩の可動域訓練とそれを維持するための退院後の自己管理指導から始まりますが、手術で腋窩リンパ節郭清をした方にはリンパ浮腫予防指導(主に看護が行いますが、必要時それを補います。)も行います。リンパ浮腫が起きてしまった場合にはスキンケアからドレナージ、圧迫療法、運動療法、生活指導といったリンパ浮腫に対する包括的リハも行います。乳癌は比較的進行が緩やかながんではありますが、それでもやはり長い経過の中で再発や転移(骨、肺、リンパ節、脳、肝など)を起こしてしまう方がいらっしゃいます。骨転移が起きた場合にはまずは起居動作方法の指導を行いながら生活環境の調整を行いますし、肺転移が起きた場合には呼吸リハ(呼吸方法指導、ADL指導など)を、脳転移を起こした場合には片麻痺に対するリハを行います。また治療やその副作用により廃用症候群をきたしてしまった場合には、離床を進めながら心身の回復を促すために筋力訓練や作業活動等を行います。

治療の進歩とともに「がんサバイバー」といわれるがんの診断を受け、治療やフォローアップを受けながら社会生活を送っている方が増えています。緩和医療もがんの診断を受けた時から始まることが提唱され、全人的ケア(身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな痛みに対するケア)を行うことにより、患者とその家族のQOLを維持することが強く求められています。がんの患者さんの生活を支えるためには私たちリハ職種を含めたチーム医療が欠かせません。

 

③ 全国研修会に携わって ~作業は人を健康にする~

 

日本作業療法士協会教育部全国研修会担当 東北福祉大学 稲垣成明

作業療法全国研修会は、毎年東・西2会場にて、日本作業療法士協会が都道府県の作業療法士会に協力を依頼し開催している。近年の参加者は、経験年数10年未満の作業療法士が多く、作業療法のちからを養うための講演を16講座企画している。

本年度のテーマは、「作業は人を健康にする~その人の暮らしを支える技術~」とし、作業療法の原点となる「作業」「生活」を基に、作業療法における不変的な核を深く理解すること。その実現・実施において参加者が無限の可能性を学び・共感し、ひとりひとりが臨床で力を創出することへ期待を込めている。

平成26年8月30~31日の2日間、青森県の八戸市公会堂・公民館にて、第54回作業療法全国研修会(青森会場)が開催された。開催までの準備ならびに当日運営には青森県作業療法士会の全面的なご協力のもと開催となり、総勢約360名(協会員・他職種・学生及び一般:公開講座)の方々に参加いただいた。

公開講座では、町亞聖先生(アナウンサー)には「十八歳からの十年介護」のテーマで、ご自身の介護者としての苦悩・希望・楽しみなどの経験や作業療法士との出会いについて講演いただいた(町さんのブログに講演のことが載っていますので時間がある時に是非ご覧ください)。県士会企画講座では、今明秀先生(八戸市立市民病院 副院長・救命救急センター所長)に「救命救急の現状・Drヘリについて」のテーマで、研修医時代~救命救急医としての経験・重要性など講演いただいた。その他を含めた全16講座が作業療法の近年のトピックス、国政やOT協会の動向といった幅広く、内容も濃い内容で行われ、私自身、運営という立場での参加でしたが、第一線で活躍されている作業療法士の方々の講演を領域を超えて直接聞くことができたことはとても有意義でもあり、各先生方が作業療法の可能性や臨床家一人一人に道しるべをしっかりと示してくれていると実感し、その思いは会場全体で共有され、それぞれの道に広がっていくと確信している。

第55回作業療法全国研修会(奈良会場)は、奈良県文化会館にて、12月6~7日に開催する。内容は今年度のテーマに沿い、青森会場とは多少演者を変えた形となる。事前受付は、10月31日まで、当日受付も行っているため、多くの方の参加を期待している。また、平成27年度は、富山県、山口県で開催予定となっております。

 

④ 障碍者の就労支援 ~作業療法士が知っておきたい基礎知識2~ に参加して

 

坂総合病院 今野琢也

仙台市内にある就労支援センター ほっぷ で行われた、高次脳機能障害者の就労支援に関する学習会に参加しました。今回この学習会に参加させていただいたのは、私が所属する職場ではスタッフ数が多い事もあってか、就労支援を経験した事がほとんどなく、職場の他スタッフと会話をする中で経験の少なさに不安を感じたからでした。

今回の学習会では初めにNPO法人 ほっぷの森 理事長の白木福次郎氏と副理事長深野せつ子氏より「障がいのある人の就労」ということで就労支援事業についてのお話があり。実際の ほっぷの森 での支援事業を例に分かりやすく説明して下さいました。また、元々、医療関係者ではないお二人が支援事業に関わるようになった経緯等もお話し下さいました。

次に東北保健医療専門学校の原田勝行先生から作業療法士が知っておきたい基礎知識と題して講演がありました。原田先生はその中で、これからのOTに求められる事として「働かない」のか「働けない」のか「働かないほうがいい」のか、『見極め』が大切だと話されていました。

その見極めのための手段として、二つのツールを紹介していただきました。1つ目は就労支援マップです。目標を統一するためのツールで、県内のそれぞれの圏域ごとに分かれており、その圏域で利用できる事業所が支援内容ごとに分類され、一覧から選び出すことができるようになっています。実際に必要箇所を入力すると、目的にあった支援を行っている事業所名を知ることができました。

2つ目は幕張版ワークサンプル(簡易版)です。「出来る」「出来ない」を作業から見るためのツールという事で、OA作業などの事務作業や、重さ計測など実務作業が用意されており、自分はPCでの文章入力を体験しましたが、先に進むと難易度が高く、ダイアログが出てくるなど一定の手順を踏んでから先に進むように工夫がされていました。

今回は実際に就労支援事業が行われている場所が会場で、実場面を一部体験し普段当事者の方と直接関わっている方からお話しを聞くことができた事は貴重な体験でした。院内では情報が偏りやすく、一人のスタッフの経験を多くのスタッフが共有できる環境も必要と感じました。また、退院後の患者様の様子を把握することも難しく外部に目を向けていく必要があると感じました。今後も職場内で、情報を共有しながら、日々取り組みたいと考えました。

 

⑤ イクメン・イクママより 「パパ・ママセラピスト日記」

 

仙南サナトリウム 三宅由洋

みなさんこんにちは、今回はパパセラピストとしての私の日常を紹介して欲しいとの依頼でしたので、私のパパセラピストとしての考えと家族について書きたいと思います。

私は、白石市内にある精神科で認知症治療病棟の専従OTとして働いています。私以外5名の作業療法士に囲まれ、日々楽しんで仕事をしています。家では4歳と2歳の可愛い息子、同じ作業療法士をしている妻と暮らしています。趣味はフットサル、週末は公園で遊ぶことやフットサル観戦をしています(しっかり仕事もしていますよ)。

急ですが、パパ・ママセラピストって大変ですよね。家事や育児をしながら、患者さんのことを考え・・・体と頭が悲鳴を上げても休めない・・・そんな経験、みなさんもありませんか。

最近「マタニティブルー」って言葉を多く耳にします。簡単に言うと、産後に情緒不安定になることです。子育てと仕事の両立って、本当に大変です。「自分の子供だろ!甘い!」って聞こえてきそうですが、実際に経験すると想像以上ですよね。ママセラピストなんか、もっと大変ですよ。小さい子供は、24時間ママを求めていますからね。一時も気を休めないと思います。仕事に復帰しても、保育園からのお迎えの電話・・・患者さんがいるのに、子供の面倒をみなきゃいけない。職場によっては、精神的に辛い思いをしている方も多いのではないでしょうか。

皆さんの職場にも子育てをしているスタッフがいたら、しっかりと応援してあげてくださいね。ちなみに、私の職場には、同世代の子供を持つスタッフが多いので、患者さんのことだけではなく、育児の悩みなどもオープンに話をし、パパ・ママセラピストが子育てをしながら気持ちよく働けるように応援しています。

みんなで協力して働きやすい環境が出来たらいいですよね。子供にも、働く親にも優しい社会が出来ることを願っています。

最後に私事ですが、妻が今年の春に作業療法士国家試験に合格しました。結婚や出産・子育てを経て、6年越しの合格を果たしました。ママセラピストとしての第一歩を踏み出しました。日々頑張っているパパ・ママセラピストの方も、共に頑張りましょうね。

 

⑥ イクメン・イクママより 「私が仕事と子育て両立から思うこと」

 

仙台リハビリテーション専門学校 小野智美

「子育て中の方、これからの方への応援メッセージのつもりで書こう!」と、出産から今までを振り返ってみました。・・・しかし考えてみると、私も現在2児の子育て真っ最中。よそ様を励ますなんておこがましく、私自身が応援をもらっている立場であることに改めて気づかされました。

現在、OTを目指す学生の育成に従事しています。学生の成長を目の当たりにする喜びとともに、私自身がもっと成長しなければと感じながら奮闘しています。

学生の育成では、個々人に合わせた課題を見つける視点を持ち、設定した課題に取り組む意欲をもたせることが大切。そして、医療人として適切な行動や情緒面、人間関係を築く力を促すことが求められますが、それらすべてが子育てと共通していることを日々感じています。

我が子の行動を客観的にとらえ、どのようなやり取りを展開させれば子どもが成長できるだろうかと考えるとき、作業療法で学んだ事が母親として生かされていると改めて感じます。このように、作業療法の知識や技術は、様々な場面で私を助けてくれています。

仕事と子育ての両立は、沢山の方たちの理解と協力のおかげで成り立っています。私は、幸い家族の協力が得られ、子どもを保育所に預けて産後半年から仕事に復帰することができました。その時に周囲から、「そんなに小さい子どもを預けるなんて可哀そう」と言われたことがありました。当時の私は、子どもと一緒にいたい気持ちを抑えて仕事復帰を前向きに考えていたため、この言葉を言われることがとても辛かったです。仕事を続ける中で、子どもの体調が悪いときにそばにいてあげられないことがあり、負い目を感じることもありました。上の子が小学校に入り、これまでを振り返ると、乳幼児期からの保育所での経験やたくさんのお友達との出会いが、我が子をしなやかに育んでくれたなぁとしみじみ感じます。子どもだけではありません。私自身も、仕事に復帰したからこそ得られた人のつながりがあり、作業療法士として仕事に悩んだ時も子育てで悩んだ時も、周囲に支えられていることに感謝する日々です。周囲の優しさに気づいたとき、自分も優しくなりたいと思うようになりました。

 

⑦ 職場紹介 株式会社わざケア

 

渡部達也

【施設紹介】
株式会社わざケアは、「医療人として職の『わざ』を磨き、利用者に対し常に最高の『ケア』を提供し、年齢や障害のあるなしに関わらず、だれもが住み慣れた家・住み慣れた土地で地域社会の一員として生活できるように支援します。」を理念とし、平成26年2月に創業しました。現在は指定訪問看護(平成24年4月~)と居宅介護支援(平成26年4月~)を運営しています。
今はまだ介護保険制度の範囲でしか事業を展開していませんが、いつか地域でもっと伸び伸びと作業療法士が活躍できる仕事の環境を作りたいと考えています。

≪所在地≫地下鉄富沢駅と山田インターチェンジの間の田園風景が広がる太白区富田に事務所を構えています。
わざケア外観
≪スタッフ≫看護師4名、作業療法士5名(1人非常勤・1人産休中)、介護支援専門員1名の計10名(10月1日現在)が在籍しています。

【作業療法紹介】
作業療法士は訪問看護ステーションに所属しており、そこから訪問リハビリテーションを行っています。訪問範囲は主に仙台市太白区・若林区、名取市で、対象者は介護保険と医療保険では半々くらいとなっています
対象疾患は神経難病の方が比較的多いですが、小児や精神の方もおり対象疾患は多岐にわたります。そのため医療知識から環境調整や制度まで身につけなければならないことが多いので、日々研鑚を積みながら地域に選ばれる事業所を目指しています。

リフト研修会

リフト研修会

まだまだ地域にリハ職は足りていません。地域で仕事をしたい!と思っている人がいれば事業所としていつでも同行訪問を受け付けています。下記までご連絡ください。
これからのOTの活躍の場は地域にあります。一緒に盛り上げていきましょう!

<住所>
〒982‐0033  仙台市太白区富田字上野西16-6 小島興産事務所2階
TEL:022-743-1580 FAX:022-393-6131 E-mail:watanabe@wazakea.com

 

⑧ つぶやきコーナー 5年目を迎えて

 

仙南病院 滝沢瞳

今の職場に入社して、作業療法士になって5年が経ちました。就職して約3年間はOTは1人という環境で、患者様のことはもちろん作業療法とは何か・自分に何ができるのか等たくさん悩んでいました。PTとの違いが分からなくなったり、リハビリが上手くいっても「本当にこれで良いのか」とモヤモヤした日々を過ごしていたような気がします。

現在OTは大ベテランの先輩と新人さんの3人で日々楽しく頑張っています。他スタッフも面白い人ばかりで少しずつですがOTの仕事の楽しさや大変さ、役割を見出しているところです。

先輩が出来て感じたことは尊敬と自分の実力不足でした。同職種でしかもベテランの先輩が出来て喜びを感じるとともに知識・技術・患者様に対する接し方などを目の当たりにし、単純にすごいと思いました。少しでも近づきたいと思う反面、あまりの治療技術等の差にそれまでの積み重ねが小さく思えて落ち込んだ時期もありました。しかしその積み重ねをきちんと評価してくれて、今は落ち込むのではなくその技術に追いつこうと頑張るきっかけとなっています。

後輩が出来て感じたことは不安と期待でした。先輩として何をしたらいいか、何ができるのか不安でした。しかしそこは先輩や他スタッフと一緒に取り組めているおかげで後輩も一生懸命ついてきてくれています。

思い返してみるとOTが増えたのを機に視野が広がったように感じます。先輩との違いに対し「違って当たり前。頑張って追いついてね。」と励ましてくれたり、リハビリがうまくいかない時に一緒にみてくれたり、悩んだ時に助けてくれたのはいつも他のスタッフ達でした。実は相談できる人が近くにいたのに最初の頃は「1人で頑張らないと」と、周りに目を向けれず自分の殻にこもっていました。OTが増えたことで肩の荷が降り先輩はもちろん、患者様や他スタッフに色々な話ができるようになり多くのことを学べたように思えます。

今回この記事を書いて改めて人との繋がりやそれを受け入れることの大切さを感じています。5年目を迎えて自分だけでなく後輩や実習生の事も考えていく時期かと思います。助けてもらった分、今度はその人達にも何かしらのきっかけを与えられるよう、職場の人達や患者様と一緒に成長していきたいと思います。

記事を読んで頂きありがとうございました。古くてちょっとボロが多い病院ですが楽しいスタッフばかりなので是非遊びに来てください!

 

⑨ 研修会のお知らせ

平成26年度 現職者共通研修・選択研修研修会(予定)

●第2~8回現職者共通研修 研修会
日時:平成26年11月~12月予定
実施テーマ:「作業療法における協業・後輩育成」「職業倫理」「作業療法の可能性」
「保健・医療・福祉・地域支援」「実践のための作業療法研究」
「日本と世界の作業療法の動向」「事例報告と事例研究」
※予定につき変更の可能性があります。
詳細が決まり次第、宮城県作業療法士会ホームページにアップいたします。

●第1回現職者選択研修 研修会
日時:平成27年2月上旬予定
実施テーマ:「身体障害領域の作業療法」
※予定につき変更の可能性があります。
詳細が決まり次第、宮城県作業療法士会ホームページにアップいたします。

 

⑩ 編集後記

県士会ニュースが紙面からHPへの掲載となり、今回が4回目の発行となりました。みなさんに読んでいただけていましたでしょうか? 県士会HPも新しくなり、今後も新たな機能が追加されていく予定です。勉強会や県士会活動などの情報収集をしながら県士会ニュースにも目を向けていただければと思います。角山

県士会ニュース131号 2014.7.30

2014.07.30
県士会ニュース

目次

① 平成26年度宮城県作業療法士会の活動方針 …  上遠野純子
② 平成26年度会員交流会(新人交流会)の報告 … 安達健朗
③ 平成26年度定期総会の様子
④ WFOT2014への参加 … 角山亮祐
⑤ 職場紹介 訪問看護ステーション青葉 … 及川貴枝
⑥ つぶやきコーナー … 大場郁美
⑦ 編集後記 … 義野知里

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①◆平成26年度宮城県作業療法士会の活動方針◆

 

会長 上遠野純子

新年度を迎えはや3ヶ月が過ぎ、会員の皆様には慌ただしい毎日をお過ごしのことと存じます。
先日6月1日には当法人の26年度総会を開催し、昨年度の活動報告ならびに本年度の活動内容の概要を説明させて頂き、全ての議案に承認を頂きましたこと会員の皆様には厚く御礼申し上げます。
今回のニュースには今年度の活動方針の概要を説明させて頂きたいと思います。あわせて、詳細は総会議案書に記載しておりますので是非ご一読下さい。

さて今年度の県士会の活動に関しては、4つのキーワードを掲げました。
①連携②人財育成③啓蒙④組織力強化です。
当法人も一般社団法人格を取得して5年が経過し、他職種との連携事業も増え、その中では作業療法士への期待や要望も数多く聞かれています。
またここ数年、後援依頼等も増えていることは、当士会の、地域医療や保健・福祉向上ために果たす役割の大きさを裏付けていると考えます。
私たちは、周囲の期待の大きさを実感しながらも、積極的な行動をとっていたでしょうか。
他職種が集う場では、お互いにその専門性を尊重しながらも、作業療法士として果たす役割を認識し、より良く連携する方法を会員ひとりひとりが体得していかねばなりません。
また当士会で行ってきた災害支援活動においては、作業療法士の技術は震災後の県民生活の復興支援に大いに役立ったと認識しています。
避難所支援に引き続き,継続的な応急仮設住宅での支援活動では、領域を超えた幅広い知識と技術、即応力と実践力を兼ね備えた作業療法士が求められています。
次世代を担う若い作業療法士が、地域で活き活きと作業療法を展開出来るようにするためにも、作業療法で用いる技術の習得や展開しやすい作業活動のスキルの向上を目指した研修活動を県士会活動でも展開して行きたいと思います。
そして地域になくてはならない存在として作業療法士があることを実現し、作業療法士のさらなる職域拡大を図って行きましょう。
また、啓蒙活動についてですが、広報活動の充実は、将来的にはより良い人材の確保に繋がっていくことですので、より積極的にアピールして行きたいと思います。
今回県士会ホームページをリニューアル致します。
内容の充実をはかることはもちろんのこと、より見やすく、使いやすいものにして行くことを考えております。
啓蒙活動におけるホームページの役割も大きく、会員の皆様のご意見も伺いながら、内容の充実を図って行きたいと思いますので、是非ご意見をお寄せ下さい。
当士会の会員数もまもなく800名を超えようとしている今、大きな組織として社会の注目を受けていることは前述の通りです。
この現実をむしろ強みとして新たな県士会としての事業を展開すべく積極性を持った運営を心がけて、活動を展開して行きたいと思いますので、何卒会員の皆様のご支援ご協力を今後ともお願い申し上げます。

 

②◆平成26年度会員交流会(新人交流会)の報告◆

 

福利部長 安達健朗

6月1日日曜日、東北保健医療専門学校にて平成26年度会員交流会(新人歓迎会)を開催いたしました。
この交流会は、新入会員の皆さんが県士会員として、共に働く仲間と交流する機会を提供できればと、福利部の事業の一環として毎年定期総会の昼休みを利用して開催しております。
ブロックごとに用意されたテーブルに分かれて軽食をとりながらお互いの顔合わせや先輩OTとの交流を行ないます。

今回は昨年の60名をはるかに上回る101名の会員が参加し、大いに盛り上がりました。
予想参加人数を大幅に上回り、用意していたオードブルだけでは足りなくなり、急遽福利部員が食事の追加のため会場周辺のコンビニを走り回るといううれしい誤算もありました。

多くのブロック長の方々にもご参加いただき、各ブロックの活動報告やPRをしていただきました。
それぞれのブロックの特色を知ることができ、ブロック間で積極的に情報交換をされている会員の方々も見受けられました。
養成校を卒業して間もない新入会員の方にとっては同級生との久々の再会の場にもなったようです。
また、今回は9月に岩手県で開催される第25回東北作業療法学会のPRもあり、宮城県のみならず東北の作業療法の現状についても知る機会になりました。

このような交流会を通して、職場内のOTだけでなく、ブロック内のOTと、そして県内のOTと繋がりを持ち、お互いが協力していけるようなきっかけとなって頂ければ幸いです。
今回参加して下さった皆さんも、参加できなかった皆さんも、またのご参加をお待ちしております。

福利記事写真

 

③◆平成26年度定期総会◆

6月1日に平成26年度の定期総会と合わせて、新人オリエンテーション、会員交流会が行なわれ100名を超える方たちが参加されました。
こちらではその様子を写真でご紹介します。

『定期総会』

定期総会① 定期総会②

『会員交流会』

会員交流会① 会員交流会②

 

④◆WFOT2014への参加職場紹介◆

 

介護老人保健施設なとり 角山亮祐

6月18日から開催されたWFOT2014(第16回世界作業療法士連盟大会・第48回日本作業療法学会)に参加してきました。
世界作業療法士連盟大会はアジアでは初めての開催となり、日本の方はもちろんですが海外からも多くの方が参加されていました。
4日間にわたって行なわれた学術プログラムでは、テーマごとに様々な国の方々がそれぞれの国での取り組みについて発表されていました。
国際学会ということでプログラムの多くは英語でしたが、同時通訳があったこともあり英語の苦手な私も講演や様々な発表を聞くことができました。

今回、私は発表者として参加させていただき、当施設での生活行為向上マネジメントを活用した取り組みについて発表を行ないました。
WFOT2014は私にとって初めての国際学会であり、わからないことも多く、英語での抄録の作成、演題登録と発表にいたるまで困難なことも多くありました。
しかし、昨年の準備期間から多くのご指導をいただけたことでなんとか発表当日を迎えることができました。
発表はポスターで行ない、1時間程度のフリーディスカッションという形式でした。
当日は日本の方だけでなく海外の方への対応も想定しながら資料を用意し、ポスターの前で緊張しながら簡単な英語の挨拶などを思い出していました。
発表の際は海外の方から会場の案内を頼まれるといったまさかの事態もありましたが、つたない英語とジェスチャーを交えたコミュニケーションで対応しつつ、発表の場では様々な領域で働くOTや学生と幅広い方々と意見交換をすることができ、今後につながる良い経験をさせてもらいました。
気がつくと1時間という時間はあっという間に過ぎ、緊張しつつも楽しかったと感じる充実した時間を過ごさせてもらいました。

WFOTについては、学生の頃から知ってはいたものの、あまり縁がないものだと思っていました。
今回、参加するチャンスをいただいた当初も言葉の壁を感じ、不安も多くありました。
しかし、学会を振り返ってみると、多くの方々と出会い、様々なお話を聞くことができ、「楽しかった」ということが一番の感想です。
今回得ることができた貴重な経験をこれからに生かしていきたいと思います。

次回、第17回世界作業療法士連盟大会は南アフリカでの開催となります。
日本からの移動はなかなか大変かと思いますが、今回の学会には南アフリカの方も参加されていました。興味のある方は是非参加されてみてはいかがでしょうか。

WFOT

 

⑤◆職場紹介◆

 

『訪問看護ステーション青葉』

及川貴枝

【施設紹介】
《スタッフ数》 看護師 3名、理学療法士 4名、作業療法士 2名
《業務内容》 利用者様のご自宅や有料老人ホーム・高齢者専用賃貸住宅等の施設へ訪問しバイタルチェック、身体機能・ADLの評価と練習、環境調整(福祉機器の紹介・導入、家具の配置検討)などを実施。
その他に訪問施設職員への実技指導など。
《対象疾患》 脳血管疾患、廃用症候群、骨折等の整形疾患、呼吸器疾患、悪性腫瘍、神経難病(パーキンソン病、ALS、皮膚筋炎、多系統萎縮症、脊髄小脳変性症)等
《職場の位置》 石巻市立青葉中学校となり、第二恵仁ホーム内

【リハビリの紹介】
石巻市では市町村合併で市の面積が拡大し、訪問リハビリの事業所は市中心部に集中しているため、広範囲への訪問が必要となっています。
そのため当施設では東松島市、登米市、雄勝・北上地区など片道約1時間の距離も訪問しています (要相談) 。

訪問地域内には震災により家を失い、仮設住宅に長く住まれている方や新しい住居に移った方が多くいらっしゃいます。
そういった方々の生活には、仮説住宅の広さの問題から利用できる福祉機器が制限されたり、コミュニティを移ったことで活動や交流の幅が狭くなったりと被災地独特の問題がみられます。
外に出て人と係る機会が少なく、話し相手として必要としている方も多いため、話すことや聞くことも重要な仕事となります。
限られた環境の中で利用者様やご家族様がより生活しやすいよう、各家庭に合わせた工夫をしながら指導・支援を行うよう努めています。

施設内には看護師とリハビリ職員が同室にいるため、訪問の前後でコミュニケーションを図れる連携のとりやすい環境となっています。
職員同士で地域のイベントに参加するなど交流も多く、日々楽しく仕事を行っています。

職場紹介

<住所>
〒986-0853 石巻市門脇一番谷地57番地の18
TEL:0225-21-8207 HP:http://www.jinmei.or.jp/saito/index.html

 

⑥◆つぶやきコーナー◆

 

『5年目を迎えて感じること』

大崎市民病院鳴子温泉分院 大場郁美

気が付けばあっという間に5年目。
この原稿依頼のお話をいただいて改めて振り返ってみると、仕事を覚えることにただただ必死だった1年目を思い出しました。
多岐にわたる仕事内容から自分に何ができているのか分からず、作業療法ってなんだろう?と悩む毎日だった気がします。

私が作業療法を知ったきっかけは、福祉関係の仕事に就きたいと探していた時に、以前准看護師をしていた母が教えてくれたのが最初でした。
その後看護師をしている祖母の仕事先に作業療法士がいることを知り、見学をさせてもらったり、友人が理学療法士を目指していることを知ったりとまったく知らなかったリハビリ、作業療法士という仕事が身近なものになりました。

就職してすぐは回復期病棟の専従として様々なことを経験させていただきました。
基本的な技術や関わり方、カンファレンスやご家族との面談など初めてのことばかりでしたが、日々変化していく患者様をみて、成長しなければという思いが強くなりました。

今年度で5年目を迎え改めて感じることは、「人」を相手にすることの責任の重さです。
一人ひとりの思いや長年の生活スタイルがあり、その中に自分が関わることはとても難しいことだと感じています。
また、患者様ご本人はもちろん、その周りを取り囲むご家族や医師、看護師、ケアマネジャーなど様々な方と関わりを持つ中で、自分の一言、行動が自分の思っている以上に周りに影響を与えていたり、逆に上手く伝わっていなかったりすることも多く、伝える内容やタイミングなどには毎回苦戦しています。

「作業療法士として自分に何ができるのか」は常に自分のテーマとなっていますが、技術の向上はもちろん、日々の会話を大切にし、患者様が自然と「~したい。」と話せるような関わりをしたいと思っています。
自分を支えてくださる方々に感謝し、これからも患者様とともに挑戦しながら成長していきたいと思います。
読んでいただきありがとうございました。

 

⑦◆編集後記◆

 

先日、10月に行われる第16回宮城県作業療法士学会の演題登録を終えました。人前で発表するのは苦手な私ですが、上司や先輩方の勧めもあり、また、今年でOT4年目ということもあり、発表する機会を作ろうと決めていました。今年は職場の中でも新人指導や学生指導をやらせていただくポジションで、伝えることの難しさを日々実感しています。これから発表の準備をしますが、下半期も自分のいいたいことを人に伝える術を深く考え、悩む日々になりそうです! 義野

県士会ニュース第130号 2014.3.10

2014.03.10
県士会ニュース

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目次

生活行為向上マネジメント研修会報告… 酒井良隆 ①

事業部研修(発達シリーズ)無事終了~!… 遊佐亜希子 ②

デンマーク王国研修に参加して………高橋春信  ③④

職場紹介① 特養エコーが丘…………山田みゆき? ⑤

職場紹介② 特養せんだい郷六の杜 ……… 川越晴美 ⑥

つぶやきコーナー………………阿部知美、鈴木竜二 ⑦ 佐藤かおり ⑧

編集後記……………………………………? 蒲原みなみ ⑨

 

今回、事業局 局長の葛西康先生より、事業部精神班研修報告を投稿いただきましたので、下記に掲載いたします。

 

 

①◆事業部精神班主催 生活行為向上マネジメント研修会報告◆

 

事業部 酒井良隆

 平成26年2月8日に東北文化学園大学にて介護老人保健施設なとり 大内義隆先生、介護老人保健施設せんだんの丘 松本幸子先生を講師に生活行為向上マネジメント研修会を開催致しました。参加者数は、40名でした。大内先生は生活行為向上マネジメント推進委員でもあります。生活行為向上マネジメントを推進していくにあたっての根拠と推進方法、国策に連動した日本作業療法士協会の実施計画をはじめにお話し頂き、必要性及び有効性について話されました。その後実際の取り組みを学会発表の内容を交えて実践報告して頂きました。生活行為向上マネジメントを作業療法の「見える化」のツールとして活用するという、作業療法の普及啓発も役割としてある点も話されました。松本先生からは、実際に施設で生活行為向上マネジメントを活用されている事例についてご紹介頂きました。対象者への支援ツールとしてだけでなく、施設内でも他職種との連携のツールとして利用されており、その実践例を交えてお話し頂きました。

対象者の方の「こうありたい」という思いに、ADL・IADL面にとどまらず、人生そのものを豊かなものにしていく作業療法の役割を、わかりやすく、「見える化」して示すことが出来るツールであることがわかりました。領域問わず使用できるツールであるだけに、各領域で使用され、多くの事例が集まることを今回の研修企画を通じて願っております。

事業部精神班に所属するものとして、今後に向けてのご提案があります。精神科領域にてご活躍されている皆様に、この生活行為向上マネジメントというツールを使って対象者の方々の支援をして頂きたいと思っております。決してこのツールは特別なものではなく、これまで我々が対象者支援の中で考えてきた事柄を「見える化」したものになっています。つまり作業療法士の行う支援内容が他職種から見てもわかるようになっており、連携がスムーズなものになります。多くの対象者の人生を豊かなものにしていくものでもありますので、ぜひご活用ください。

最後に我が事業部精神班では、班員を大募集中です。精神障害領域でご活躍の方、認知症などを対象とされている高齢期領域でご活躍の方、ぜひ研修会企画や宮城県民への作業療法の普及啓発に向けた取り組みを一緒にやってみませんか。お気軽にお申込み下さい。

 

 

 

②◆事業部研修(発達シリーズ)無事終了~!◆

 

 

事業部 遊佐亜希子

 去る2月1日、第5弾となる発達障害シリーズ、「育てにくいのにはわけがある」の研修会を開催しました。

講師は名古屋大学大学院作業療法学講座教授の辛島千恵子先生をお呼びしました。

昨年10月開催予定が大型台風の影響で延期となり、キャンセルの電話では皆さんの期待の声も大きく、念願叶っての開催となりました。

午前はOT向け、午後は他職種向けでしたが、午後の部が予想以上の反響で200名を超え、急遽変更した会場も定員ぎりぎりに達した状況でした。

“情動的コミュニケーション(=繋がりや共有を目指し関係をとり結ぼうとする関係)”、私には聞き慣れない言葉でしたが、感覚-運動機能と併せて重要な発達の視点であると先生の話を聞いて共感しました。

先生にお会いした第1印象は、“小柄でかわいい”でした。講義をお聞きする中で、先生の信念やOTとしての経験の積み重ね方など発達障害の知識だけではない想いの詰まったお話もお聞きすることができたことも有意義な時間でありました。

さて、今回の研修会(午後の部)は県の委託事業でもあり、PT・ST 3士会に加えて広く周知しました。参加者の半数以上が保育士さんで、その他ご家族や当事者の方も数名いらっしゃいました。

アンケートでも、「具体的でわかりやすい」、「なるほどと感じた」、「再確認した」等…そして「もっと話を聞きたかった」と多数ご感想をいただきました。

毎年少数の発達班メンバーで研修会の企画については頭を悩ますところですが、周囲の声も聞きつつ興味深い先生をお呼びしてお話が聞け、そして啓発活動へつながるきっかけとしては年に数回よい機会と思っています。

反響があることでまた班員でも次の企画へつながっていけるかなと感じています。

もしぜひ班員へ興味がありましたらいつでも事業部へお声掛けください。お待ちしております。最後は宣伝で終わらせていただきます(*^_^*)

 

 

③④◆デンマーク王国研修に参加して◆

 

涌谷町町民医療福祉センター

高橋春信

 私が勤務する涌谷町町民医療福祉センターは、涌谷町の地域包括ケアに取り組んでいる。涌谷町では平成15年にデンマーク王国(以下:デンマーク)ソロー市と姉妹都市を締結。交流事業として医療・介護スタッフの現地研修が実施されている。昨年8月、現地研修にて貴重な経験を得ることが出来たので報告をさせて頂く。

01

デンマークでは成人になると独立して生活することが慣例で、核家族化が進んでいる。そのため、病気やケガ等により病院での治療終了後や加齢からくる機能低下、認知症等により生活障害が大きくなり、自宅での生活が難しくなる等の理由により、高齢者・介護住宅に入居等をして、各種の公的サービスを受けるのが一般的である。愛用していた家具などが持ち込まれ、そこが新しい『家』となる。

02

高い税率(消費税:25%、所得税:38~68%等)を背景に国家予算の8%を公的サービスに使用。医療・介護サービスや福祉用具レンタル等は各自治体の判定会議で認められれば無料で受けることができる。街中では歩行補助車やセニアカーを利用し、買い物や散歩をされている方を多く見かけ、福祉用具が普及していることがうかがえた。

03

リハビリテーション(以下:リハビリ)も公的サービスで提供されている。ソロー市ではリハビリセンターにOT・PT・STを配置。外来個別リハビリの他、膝靱帯損傷術後者やバランス能力低下者などテーマ毎のグループリハビリ、在宅生活者への訪問リハビリなどが実施されている。脳卒中などの脳血管疾患の方は少なく、靱帯損傷や骨折等の術後の方が外来で多く通われていた。リハビリの内容はフィットネストレーニング中心でセラピストによる徒手的な関わりは少ない印象を受けた。また、日本では医師の指示の下リハビリは提供されるが、デンマークではセラピスト単独で提供できるのも大きな違いである。

04

今回の研修では充実した2週間を過ごすことが出来た。皆さんもチャンスがあれば他国の制度やリハビリを見聞してみてください。

 

 

 

 

⑤◆職場紹介①◆

 

『特別養護老人ホーム エコーが丘』

山田みゆき

【施設紹介】
《定員》長期入所:70名 短期入所:30名
《リハビリスタッフ数》作業療法士 1名
《OT業務内容》長期および短期入所の機能訓練指導員として勤務
《対象疾患》

認知症(アルツハイマー型認知症、老人性認知症、脳血管性認知症、前頭側頭型認知症)

脳血管疾患後遺症、パーキンソン病、廃用性症候群

 

05
【作業療法紹介】

特別養護老人ホームでの作業療法の大きな特徴は、日常生活に、より密着した生活支援が出来ることです。機能訓練指導員としての実施内容は、介護スタッフへの指導が中心ですが、24時間、実際のADL場面を通して機能面に働きかけています。嚥下障害のある人の摂食・嚥下の取り組み、ベッド上での臥床姿勢や車椅子座位でのポジショニング、身体機能維持のための体操指導、より安全な移乗・移動動作の援助、車椅子や歩行器等福祉用具の選択など、機能低下の予防・機能維持を目標に行っています。

06

また、利用者様の中には、疾患や加齢により昔出来ていたことが出来ないことでの落ち込み、不安、諦めなど悲観的感情を抱えている方がおります。そのような方には施設で生活する中での楽しみや趣味を一緒に見つけ、それを作業療法に活かします。洗濯干しや掃除等の家事・手伝いを日課にしたり、散歩や買い物等のIADLの機会も大切にしています。心身機能が低下していても、利用者様のできることを引き出し・伸ばせるように、「出来る体験」「楽しい体験」の支援を行い、心の中からの回復を目指して取り組んでいます。

<住所>
〒989-3212 宮城県仙台市青葉区芋沢字横前1番地の2
TEL:022-391-3371  URL:www.yokofuku.or.jp/echogaoka.html

⑥◆職場紹介②◆

 

『特別養護老人ホーム せんだい郷六の杜』

川越晴美

>【施設紹介】
《定員》長期入所:120床 短期入所:20床
《リハビリスタッフ数》作業療法士2名(うち非常勤1名)
《OT業務内容》機能訓練指導員
《対象疾患》脳血管疾患、整形疾患、認知症など

《職場の位置》折立交差点の南側に位置しています。平成眼科さんの近くにあります。

07
【リハビリ課の紹介】

当施設は、平成24年7月1日に開所したばかりの新しい施設です。ユニットケアを実施しています。1ユニット10床にて、入居者様2名に対し職員1名を配置しています。

ケアプランに基づき個々に応じて問題点を挙げ、目標を設定し、個別機能訓練計画書を作成し、機能訓練を実施しています。また、『生活に根差した活動を』ということで、生活リハビリ指示書を作成し、各ユニットへの提示・指導を行っています。これをもとに、ケアスタッフさんを中心とした生活リハビリの充実を行っています。音楽療法士を中心に月1回15名程度ずつ音楽療法を行っています。この他、同程度の状態のご入居者にてユニットの枠を超えて集まり、歌やおしゃべり・制作活動等を行っていただく集団リハビリや個別機能訓練・ADL訓練等を行っています。また、近隣の行事(芋煮会や夏祭り等)への参加だけでなく、『地域とともにより積極的な活動を』ということで、今後は地域との屋外活動等の検討も行っていく予定です。

08

 

 

 

◆つぶやきコーナー◆

 

⑦『OT3年目の今』

介護老人保健施設藤の里 阿部知美

 高校生の時に楽しそうだしという理由だけで決めた作業療法士という仕事。それが今年の3月で気が付けば大学を卒業し作業療法士3年目となりそれも終わろうとしています。大学時代に抱いていた3年目の作業療法士ってイメージに比べると、思ったよりもずっと遅いペースですが成長しようと頑張っている毎日です。

いろんなことを経験したくて総合病院に就職を決め、直前に震災があり働けないかもと不安を覚えつつスタート。1年目は急性期、2年目は回復期病棟と亜急性期病棟、そして骨折して3か月ほど休み、また3年目の6月から復帰して回復期病棟で働いています。怪我をして就職前とは違う意味でもう働けないかもと不安を覚えた日々。でも職場の先輩方や学生時代からの先生や友人、家族の手助けもありなんとか今も仕事をさせて頂いています。怪我から復帰して今9か月。復帰直後は仕事の覚え直し、買ったけど読んでない本を読み勉強もし直しでとにかく必死でした。最初は居辛かったけど徐々に慣れ、元の居場所に戻りやりがいを再確認しました。

怪我をして自分が患者という立場にたって思ったのは、患者さんの話を上手く聴けていなかったということです。自分でも医療従事者に上手く関わることは大変でした。振り返ると、患者さんはもっと言いたいことがあったのではないかと反省しました。最近はじっくり話をして目標を一緒に共有するよう心がけています。「(右手は麻痺しているけど)里芋の皮を剥きたい」、「父親として子供を抱き上げるくらいはしたい」など今までよりも自分のことを聴けることが増えてきた気がします。

やっと社会人として慣れてきたかと思ったら4年目がもう目の前にあります。初めての学会参加が6月に控えており濃い一年になりそうな予感です。今までできなかったことにとにかくチャレンジして、作業療法士として研鑽を積みたいと思います。拙い文章ですが、お読み頂きありがとうございました。

 

 

⑧『1年目を振り返って ~ 1×1=∞ ~』

真壁病院 佐藤かおり

 2月、今年も国家試験が施行され、あれからもう1年が経ったんだなぁと、感慨深く感じています。この1年を振り返ると、本当に「あっという間」という一言に尽き、周囲の多くの支えと協力を得ながら、無我夢中で駆け抜けてきたように思います。

私は現在、東松島市にある真壁病院に勤務しています。一般病棟・療養型病棟の計131床を有し、地域医療への貢献を目標とした病院です。OTの開設は比較的新しく、まだまだ業務内容や役割が未整備な状況の中、1人職場で奮闘しています。意気込みだけは人一倍で臨床に出たものの、診療報酬の細かな規定や、他職種との連携、在宅復帰の具体的支援については机上の勉強や知識だけでは満足な仕事にならず、現場で失敗を繰り返しながら少しずつ学ばせていただきました。そして常に「これで本当にいいのだろうか」と自分自身に問いかけては、不安と自己嫌悪に苛まれていました。

そんな中、解決の糸口を示してくだったのは、職場の上司・先輩方をはじめ、保健福祉事務所や臨床実習・学生時代にお世話になった先生方でした。自分の思いや不安・質問を先輩方に発信することは緊張の連続でしたが、私の拙い質問や失礼をも受け止め、真摯にご指導・ご助言を頂きました。また、県士会のお知らせ等から参加させて頂く勉強会も、多くの学びと刺激を受ける大切な場となっており、日々人との繋がりの大切さを実感しています。

設備や業務・教育体制の整った施設で先輩方の指導を受けながら、成長し続けているであろう友人の姿を思うと、時々とても焦ることもあります。それでもこの1人職場で我武者羅に走り続ける中で見えてくるもの・学びが無限大に広がると信じ前進していきたいと思います。1年目×1人職場=無限大!
最後に患者様・先輩方・他職種の皆様・・・いつも出会いが自分の行くべき道を示してくださることに、深く感謝致します。

 

 

◆編集後記◆

 

花壇に植えた球根が芽を出し始め、春が近くに感じられるようになりました。北国の春がやってきますね。今時期になると、利用者さんから「暖かくなったら、~したい。」「春になったら、~しようと思う。」などの前向きな発言が聞かれるようになり、ワクワクします。そして、私は暖かくなったらサボっていた運動を再開して、ご当地マラソンや山登りに臨みたいと思っています。皆さんは、春がきたら何をしますか? 蒲原

県士会ニュース第129号  2014年1月1日

2014.01.01
県士会ニュース

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時代(次代)を担う作業療法士へ

一般社団法人宮城県作業療法士会 会長 上遠野純子

新年あけましておめでとうございます。旧年中は会員の皆様には大変お世話になりました。東日本大震災から2年10ヶ月が過ぎ、私達は、作業療法が地域住民の自立生活を支える有効な手段となり得ることを、震災後の様々な活動によって気づくことが出来ました。悲しい出来事ではありましたが、その中での経験が、私たちをより成長させてくれていることを実感しております。

さて、宮城県作業療法士会は発足30周年を過ぎ、昨年6月には30周年記念講演会ならびに記念式典、祝賀会を開催し、宮城県、仙台市をはじめとし、関係団体の方々のご臨席も賜り、我々の活動の新たな節目に多くのエールを頂戴しました。この節目にあらためて、我々の諸先輩が県士会活動の形をこれまで懸命に作って下さったことに感謝しつつ、それを礎に、私達は新たな県士会活動のあり様を形成して行く必要性も感じた次第です。

私は、この3年間作業療法士の養成校の教員として未来の作業療法士を育成するにあたり臨床の方々と、どのように若い人材を育てて行くべきかを話す機会を多く与えて頂きました。そこで私自身が学生の育成について考えていたことは、現状に妥協せず、常に何事にもチャレンジする姿勢を持ち、失敗を恐れず、粘り強く物事に取り組むことが出来る人材を多く輩出して行きたいということでした。私の技術・知識の伝承はままならず、多くの時間は、臨床現場の作業療法士の方々おひとりおひとりの後押しがあってこそ、若い学生達はこの3年間で大きく成長してくれました。しかし加えて、その後の卒後教育の重要性をあらためて再認識した3年間でもありました。時代のニーズは、めまぐるしく変化し、臨床現場で求められる人材は、養成校在籍中のみで育成出来るものではありませんでした。私が臨床で身を置いていた身体障害領域でもこの10年間の中で、例えば呼吸リハビリテーションにおける作業療法士の行う治療的エビデンスは、大いに進化してきました。これはすべて、臨床における対象者との関わりとその研究成果を我々が事例検討等で世に示し続けたためです。そのような卒後教育での取組としての学会運営や研修活動等県士会活動の果たす役割は大きく、時代を先取りし、会員の臨床現場で求められるニーズに、的確に応えて行くことが出来る研修システムのありようをこの1年間で作って行こうと思います。そのためにも、県内の多くの関係機関との連携と協働、そして会員の皆様のご支援をお願い申し上げる次第です。次代を担う作業療法士育成のため県士会は頑張って参ります。本年もどうぞよろしくお願い致します。

第15回宮城県作業療法学会報告①

 

第15回宮城県作業療法学会を終えて

第15回宮城県作業療法学会 学会長 川村謙吉

02 学会当日の朝,国見近辺は強風が吹き荒れ,JR仙山線が動くのか非常に心配したのですが,実行委員と参加者の思いが通じたのか,無事開催することができました。学会参加者は153名で,参加職種は理学療法士,介護士,保育士,福祉用具専門員,一般市民,学生など幅広く参加していただきました。今学会は,地域支援に関わる方に実行委員と発表者になっていただき、まさに、みやぎオールスターズで臨んだ学会でした。

03実行委員は,皆とても熱い思いを持っている方ばかりで、「地域支援の必要性を感じていただけること」、「福祉機器を体感し、業者にも喜んでいただけること」、「実行委員も楽しめること」「若いOTに気づきの機会を提供すること。」をコンセプトに、みんなでつくりあげました。参加者のアンケート結果から学会を振り返ってみると、「OT」を他者へ伝えるためには,自分自身がOTとしての役割を明確にしていなければならないと感じた。」,「訪問リハに関わっていると入院中と在宅でギャップを感じる。その差を埋めることの重要性を改めて感じた。」,「実際に機器に触れて体験することで患者さんの気持ちや便利さがわかった。これから患者さんに合った機器を提案したい。」,「各領域での特徴,役割を改めて学ぶことができた。また,地域へ戻る患者様のためにも連携をとれるようになりたい。」,「地域で活躍できるOTになるために,地域から求められているOTの役割を知り,考えることができた。」
などの意見をいただくことができ、開催までの努力が報われたような気がしました。朝から夕方まで目一杯のスケジュールであったにもかかわらず,最後まで熱心に聞いていただきましたが,プログラムを少し詰め込みすぎたため,発表時間が短くなったことやフロアとの会話が十分できなかったことは,今後に活かしていただきたい反省点だと思っています。

本学会を通じてOTの底力と可能性を再認識できたことは,これからの地域支援を考える上で大きな収穫でした。次年度は,大貫学会長のもとでの開催となります。ぜひ,みなさんの協力で宮城県の作業療法を盛り上げていきましょう。